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「モザイク」という言葉を辞書で調べると「石・ガラス・貝殻・木などの小片を寄せて作る絵または模様。映像や写真・画像の一部または全部をます目で区切り、消したい部分の区画をぼかして見えなくすること。また、その処理。」(出典:デジタル大辞泉)という意味がありますが、GIS の世界では、画像の一部をぼかすといった処理ではなく、複数の画像を接合して 1 つの画像にする処理のことを指します。
画像間で重なり合う領域がある場合、単純な画像の重ね合わせや画像をぼかして 接合面を目立たなくするなど、ArcGIS ではさまざまな手法で画像をモザイク処理することができます。
ArcGIS では、画像の重なり合う領域の処理に モザイク オペレーターという機能があります。モザイク オペレーター機能のパラメーター(最初・最後・ブレンド・平均値・最小値・最大値)を選択することで、重なり合う領域の出力ピクセル値を決定することができます。たとえば、[最初] や [最後] は、モザイク処理する画像の入力リストの順番に基づき、[最初] であれば、1 番目の画像が上になるように重なってモザイク処理されます。上記のモザイク画像は、黒背景に隠れている下の画像が上に来るようモザイク処理しています。
First | Last | Mid |
モザイク処理を行うと接合部分やそうでない場所で色の違いが目立つ場合があります。そのような色の補正を行う機能として、カラーマッチングとカラー調整があります。
カラーマッチングは、統計情報または、ヒストグラム、線形相関のいずれかの手法を利用して色の調整が行えます。
カラー調整は、ドッジング、ヒストグラム、標準偏差のいずれかの手法やストレッチタイプを利用して色の調整が行えます。
オリジナル | ドッジング(単一色) |
モザイク処理することで複数の画像を 1 枚の画像として利用することができますが、ArcGIS では、モザイクを仮想化し、画像をデータコレクションのように管理・検索・解析として利用できるモザイク データセットというデータ形式があります。モザイク データセットは、さまざまなセンサーや異なる撮影時期の画像のパスとメタデータなどをジオデータベースに格納します。隣り合う画像は仮想的にモザイク処理して表示されます。1 枚の画像にした場合には残らない個々の画像のメタ情報を利用して、大量の画像データから必要な画像がどこにあるかを検索しアクセスすることができます。また、画像はすべて隣り合う必要はなく、不連続な画像同士を格納することもできます。
モザイク データセットの構成 | 日本全国 Landsat のモザイク データセット |
米国 Esri 社が提供する Landsat サービスは、Landsat 8 の全球データをモザイク データセットに格納し、配信しています。モザイク データセットでは、画像処理や解析を処理テンプレート(ラスター関数)として保存し一緒に格納することができ、単にモザイクした画像だけでなく、画像処理した結果に表示を切り替えることができます 。Landsat サービスでは、この処理テンプレートを追加したモザイク データセットを配信し、オリジナルデータを表示したりさまざまな RGB 合成で表示したり、NDVI(正規化植生指数)の結果を表示することができます。