GIS 基礎解説 > その他 データ/データモデル関連 > メタデータ

GIS 基礎解説

メタデータ

 

メタデータとは

メタデータ(metadata)とは、「meta」(高次の、上位の)+「data」(データ、情報)、すなわち、そのデータを説明するためのデータという意味です。具体的には、データの作成者名や作成日時、形式、注釈等が格納されています。

メタデータの目的

たとえば、食品や飲料には原材料名や製造者を説明する表示がありますが、この情報がないと安心して購入できません。データも同様で、メタデータがそのデータの中身や内容を説明する情報を持っています。メタデータを作成する目的は、データ利用者が、そのデータの信頼性、有効性を判断できるようにするためです。

GIS の世界におけるメタデータ

GIS のデータにおけるメタデータは、主に下記のようなものがあげられます。

しかし、データの作成者がそれぞれ独自のメタデータを作成すると、各項目の有無や記述方法が統一されず、利用者が混乱するおそれがあります。そのため、メタデータの標準化が各種の分野でも進んでいるように、GIS の世界でもメタデータは標準化されています。ISO 等の国際標準はもちろんのこと、それをベースにして日本国内向けの要素を盛り込んだ仕様を作成するということも行われています。

GISにおけるメタデータの主な標準規格

ISO 19115

ISO/TC211(国際標準化機構の地理情報に関する専門委員会)が定めた、地理情報におけるメタデータについての国際標準規格です。2003 年に正式な規格が発行され、2014 年に最新の規格が発行されています。

日本版メタデータ プロファイル:JMP(Japan Metadata Profile)

上記 ISO 19115 に準拠して策定された、日本国内のメタデータ標準規格です。国土地理院および民間企業 17 社が参加する共同研究「地理情報標準普及・利用技術に関する研究」において、JMP 2.0 が策定されました。

ArcGIS におけるメタデータ

ArcGIS におけるメタデータのデフォルトのスタイルは、「アイテム説明」と呼ばれる簡素なものです。簡単な説明や著作権、利用制限や縮尺範囲の情報がメタデータとして追加されます。

メタデータのスタイルはこの他、「FGDC CSDGM Metadata」「INSPIRE Metadata Directive」「ISO 19139 Metadata Implementation Specification」「ISO 19139 Metadata Implementation Specification GML3.2」「JMP2.0」「North American Profile of ISO 19115:2003」を選択でき、選択されたスタイルによって必要なメタデータを作成することができます。特定の規格に準拠したメタデータを持つデータは、適切なデータの利用や管理に役立ちます。

GIS におけるメタデータの活用例

GIS においても、データを共有、公開する際に特に、メタデータを使用するメリットを感じることができます。たとえば、データの公開者は、公開したいデータの詳細な説明、扱い方や著作権などのメタデータを記述しておくことができます。メタデータを記述しておくことで、このデータの内容や利用方法などを利用者にあらかじめ知らせることができるとともに、データの悪用や濫用を防止し、適切にデータを利用させることができます。一方、データの利用者は、メタデータを確認することでデータの扱い方を知ることができます。使用許諾の有無や二次利用の方法など、利用する際の注意点を把握したり、設定した関連キーワードによってデータを便利に検索したりすることもできます。また、そのデータの座標系や地図上の範囲がメタデータで定義されていると、異なる GIS ソフトウェアで利用する場合でも問題なく利用することができます。
メタデータを活用することで、データを適切に公開、利用することができます。データの公開者も利用者も、メタデータを賢く利用してはいかがでしょうか。