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地球上のさまざまな地表物・事象を表現する媒体として地図がありますが、それらは紙地図やコンピューターのディスプレイに表示される地図など平面上に表現されるものが主流です。ただし、3 次元空間に存在している地球をそのままの形で平面上に表現することはできません。つまり、曲面を持つ地球を平面状の地図で表現するためには、地球表面の情報を平面に投影する処理が生じます。そのための手法を「地図投影法」と呼びます。
地球を平面に投影する処理においては、必ず「角度、面積、距離」のいずれかに歪みが発生します(この 3 要素がすべて正確な平面の地図は存在しません)。
ここでは歪みが発生する仕組みを説明します。
下の図で表現されている通り、[1] の部分で示された曲面(地球表面)を [2] の部分で示された平面(紙地図などの 2 次元で表現される地図)に変換することを考えます([3] を投影面と呼びます)。この [1] を [2] に変換する作業にあたり、極(中心)と両端部分については同じ位置で表現することができますが、その中間にあたる曲面は投影することにより実際の距離より小さく表現する必要があります。その際に実際の地球表面と 2 次元地図の違いによる歪みが発生することになります。
投影法はその特性による分類と実際の投影手法により区分けすることができます。
前述のように曲面を平面に変換する際には必ず歪みが発生しますが、その歪みをさまざまな特性(具体的には地域の形状・面積・距離という側面において)により最小限にとどめるための投影法が開発されてきました。それらの特性により以下に分類されます。
この図法の特長は地域の形状が維持される、という点にあります。ただし面積の歪みが発生するという側面もあります。
世界地図としてよく使われているメルカトル図法は正角図法で表現されますが、実際の面積に比べグリーンランドがかなり大きく表現されます。
正積図法では、表示される図形の面積が維持されます。ただし、その一方で形状や角度に歪みが生じます。
例えばモルワイデ図法では、面積は正しく表現されますが形状において歪みが発生しています。
この図法では特定の 2 点間の距離が維持されます。
正距方位図法ではすべての地域に関して、中心点から外側への距離は正確ですが、面積、形状において中心から離れるにしたがって歪みが大きくなっています。
これまでは形状、面積、距離による特性の分類でしたが、以下では投影手法による分類となります。球状である地球を平面に展開する際の手法により主に以下の図法に分類されます。
投影面となる円錐を用意し地球に対して覆うように配置した後に展開したものが平面の地図となります。例として正距円錐図法があり、面積の小さい地域では、全体の歪みが最小限に抑えられます。
投影面となる円筒を地球に対して覆うように配置し展開したものが平面の地図となります。メルカトル図法は円筒図法の 1 つです。
投影面となる平面が地球上のある基準点に配置され、その投影面が平面の地図となります。方面図法、または天頂図法とも呼ばれ、極地域の地図によく用いられます。
ArcGIS では、約 70 種類の地図投影法(全体として約 6,400 種類の座標系)に対応しています。そしてデータの投影法を簡単に変換したり、マップ上でリアルタイムに投影変換したりすることができる機能を標準で搭載しています。