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GIS 基礎解説

時系列データ

 

時系列データとは

時系列データとは、気温の遷移や降水状況などの気象観測や交通の状態、土地利用の変遷など、ある一時期の状態を表すような、時間的に変化した情報を持つデータのことをいいます。時系列データの利用は、気候パターンの解析、交通状況の監視、人口統計学的傾向の調査などのために利用されます。これに利用されるデータソースは、手動で入力されたデータから、観測センサーによって収集されたデータやシミュレーション モデルから生成されたデータまで多岐にわたります。

時系列データの有用性

データを時系列に並べることによって、過去の様子を分析することも可能ですし、これから先の事象について予測することが可能になります。過去と現在の気温を比較すると、その年の傾向を推測することができます。

時系列データの可視化

時系列データを可視化すると、時間経過に伴って現れるパターンや傾向を確認するのに役立ちます。ArcGIS では、データにひもづく時間データの設定を有効にし、その時間データに沿って地図上の地物の表示を可視化できます。この時間に沿って可視化できる機能をタイム スライダーと呼びます。タイム スライダーを使用すると、画面やグラフ内のデータが時間経過に応じて変化します。以下の図では、テーブルに時間情報を含んだ台風の予報円のデータをもとに地図上に予報円を可視化しています。タイムスライダーは、台風の勢力が次第に北上する様子を、時間のデータに沿ってアニメーションで表すことができます。

時空間ホットスポット分析

もうひとつ可視化の例として、時空間ホットスポット解析を行いその場所に紐づいたデータを時間ごとに表示することで、その場所での傾向を把握することができます。次の画像は神奈川県における2016年1月から5月にかけてのインフルエンザの流行について解析を行った結果を示しています。赤い色はホットスポット(患者が他の地域と比べて顕著に多い)を示していて、人口が多いとされる都市は流行が早くにはじまり、長く続いていることがわかります。

気象状況の時系列データ

これは、2016 年に発生した熊本地震とその前後の余震が起きた場所を発生ポイントとして地図上に可視化したものです。 2016 年 4 月 16 日未明から 17 日未明までの時間で、最大震度とその余震のデータを表示しています。この一日の間に地震がどの場所で何回起きたのかを知ることができます。

人口密集地の分析

こちらは、NTT ドコモのモバイル空間統計情報を利用して、東京 23 区の平日と休日の 14 時の人口分布を表したものです。平日のほうが全体的に都心にいる人口が多く、東京駅周辺や新宿・池袋に人口が集中していることがひと目でわかります。休日になると、東京駅周辺や新宿の人口が減少し、その周辺も人口が減少していることがわかります。こうした時間軸をもつデータは、平日と休日の人の動きを直感的に読み取ることが可能です。

人口密集地の分析

気象データや海洋データを表現するためのデータ形式はいくつかあります。ArcGIS ではそれらのデータを扱って、時系列に沿ったマップを作成することが可能です。

  • NetCDF(Network Common Data Form)
    多次元データを格納するためのファイル形式
  • HDF(Hierarchical Data Format)
    NCSA(National Center for Supercomputing Applications)によって策定された、サイエンス データを格納するための形式
  • GRIB(Gridded Binary)
    一般的に気象学で使用される簡潔なデータ形式

右図は、NetCDF データを用いて風向と風力を表現したものです。どのような気象状態条件だったのかが明確にわかります。

このように、時間ごとのデータで可視化するとその時点の様子や数値が一目瞭然で、状況をより効果的に伝えることができます。また、時間や状況などに応じて、その時々の傾向や変化をつかみたいといった場合にも有効なデータと言えます。