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オーバーレイ(Overlay)には「重ね合わせる」という意味がありますが、GIS の世界では、地理的な要素(情報)を重ね合わせることを意味します。そして、地理的な要素を重ね合わせることにより、情報同士の関係性や新たな発見を導き出す解析を「オーバーレイ解析」と呼びます。1 つ、例を挙げてみましょう。たとえば、下図のように「20歳代の1人世帯割合」を表す人口メッシュのデータに鉄道の路線のデータを重ね合わせると、沿線上には 20 代の 1 人暮らし世帯が多い傾向があることが分かります。このように 2 つの情報をオーバーレイすることにより空間的な関係性が見えてきます。
オーバーレイ解析は、地理的情報を重ね合わせて新たな結果を得ることができる解析と説明しましたが、重ね合わせの種類にはさまざまなものがあります。ArcGIS ではこれらの解析を行うツールを多数提供しており、以下にいくつか例を挙げます。
クリップとは、データを任意の範囲で切り出す処理です。例えば土地利用データと市区町村境界データがあった場合、特定の市区町村境界で土地利用データを切り出すことができます。
インターセクトとは、複数のデータ同士が重なり合う領域のみを抽出する処理です。たとえば、駅から徒歩 10 分の範囲のデータと小学校から徒歩 5 分の範囲のデータを重ね合わせ、重複する場所を抽出し、不動産を探すエリアを絞り込むことができます。
イレースは、重なり合う部分のデータを削除する処理です。たとえば、緑地データと水部データがある場合、重複する部分を削除して緑地データのみを抽出することができます。すると、より正確な緑地の面積を取得することができ、定量的な解析にも使えるデータとなります。
ユニオンは、複数のデータを統合する処理です。たとえば、地形分類データと、土地利用データがあった場合、重ね合わせてユニオン処理を行うと、出力結果には、地形分類の属性情報と土地利用の属性情報が両方格納されます。
2 つのデータの空間的な関連性に基づいて属性情報を結合することができます。たとえば、区域のポリゴン データと、地価のポイント データがあった場合、重ね合わせて空間結合を行うと、区域ごとの地価の合計、平均、最低、最高などの計算結果を含むデータを出力することができます。
オーバーレイ解析を行いたい場合は、まず求めたい結果は何かを定め、その結果を得るための解析ワークフローを計画し、その上で必要なデータを集めると、無駄なく本当に必要な結果を得ることができるでしょう。