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GIS 基礎解説

内挿

 

内挿とは

「内挿(英語では interpolation)」とは、既知の数値データ群(サンプル データ ポイント)をもとに、計算によって未知の部分の値を推定する手法のことです。たとえば、ある地域内での降雨量の違いを知りたいときに、地域内のすべての箇所で降雨量を測定することは非現実的です。では、調査した箇所以外の場所の降雨量を知ることは不可能なのでしょうか?

そんなことはありません。確実な値を知るためには実際に測定する必要がありますが、下図のように、知りたい場所の周囲にある調査箇所の値、つまりサンプル データから「内挿」することで、その場所の降雨量をある程度推定することができます。

 

内挿は万能?

内挿が可能なのは、「空間に分布する複数のオブジェクト(物体や現象など)には空間的な相関がある」という前提があるからです。これを言い換えると、近くにあるオブジェクト同士は類似の特性を持つ傾向があるということです。たとえば、街路の片側で雨が降っている場合、街路の反対側にも雨が降っているということは高い信頼度で予測できます。しかし、それが都市の広域で雨が降っているかどうかということになると予測の信頼度は低くなり、また、隣国の天候を予測する場合はさらに信頼度が低くなります。

内挿はどのような場面で使われる?

内挿はおもに、標高、降雨、化学成分の濃度、騒音レベルといった値を補間する際に用いられます。下図は、観測地点のポイントデータが持つ降水量の値から内挿を行い、降水量分布を表現したものです。水色が降水量の少ない地域、紫色が降水量の多い地域です。

 

ArcGIS で利用できる内挿の種類

内挿の手法は多種多様ですので、データの特性や解析の目的によって最適な内挿法を選択する必要があります。ここではそれぞれの手法の詳細な説明は省略しますが、ArcGIS で利用可能ないくつかの内挿法が、どのようなデータに適しているのかを表にまとめました。

内挿手法 適用データ
IDW(逆距離加重) サンプルの密度が高く、間隔が均等のデータ 標高(数値地図等)
クリギング サンプル数が少ない、あるいは測定精度が低いデータ 地質、大気中の物質濃度
スプライン サンプルの信頼性が高いデータ 標高(数値地図等)、気温分布
Natural Neighbor
(自然近傍法)
サンプルの密度が高いデータ LIDAR
トレンド 広範囲の傾向を把握する場合 広範囲の汚染

それぞれの内挿法の処理の結果は下図のとおりです。同じ入力データ(サンプル ポイント)でも、手法によって結果が大きく変わってくることがわかります。

 

まとめ

内挿を使用することで、限られた数のサンプル ポイントが持つ値から、未計測値点の値を予測することができます。しかし、前述のように内挿は万能ではありませんし、サンプル ポイント間の距離が大きくなるほど予測の信頼度は低くなります。内挿におけるさまざまな手法の特徴をつかんだ上で、適切な内挿法を選びましょう。