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GIS 基礎解説

地形図

 

地形図とは

地形図は、標高や地形の起伏、河川や海岸線、道路や建物、土地利用などの状態を精細に表現した地図です。地形図は 5 万分 1 程度以上の中縮尺から大縮尺で整備されており、多くの国で基本図として用いられています。

地形図の要素

地形図が含む要素に対する統一的な規定はありませんが、多くの場合以下の表にあるような要素を含み、地形だけでなく、都市や施設の位置情報や、土地利用および地名など多くの情報を得ることができます。

地形等高線、標高点、海岸線、河川、湖沼
交通道路、徒歩道、鉄道
境界都道府県界、市区町村界
施設公共施設、発電所、建物、港湾施設、空港

日本の地形図

日本では、国土地理院が 5 万分 1、2 万 5 千分 1、1 万分 1 の 3 縮尺で地形図を整備しており、書店やオンラインショップから印刷物を購入することができます。

2 万 5 千分 1 地形図
2 万 5 千分 1 地形図 (国土地理院 Web ページより引用)

また、電子地形図とよばれるデジタル地形図も国土地理院より刊行されており、コンピューターなどで扱える形式の地形図を入手することもできます。

GIS における地形図の利用

GIS においては地形図から土地被覆などの判読を行い、データ化して解析に用いたり、主題図の背景として使用したりします。

日本において、GIS ソフトウェアで地形図を利用する場合は前述の電子地形図が使用できます。電子地形図は TIFF、JPEG、PDF の形式で提供されており、位置情報ファイル(ワールドファイル仕様)が付属しているので、GIS ソフトウェア上で投影法を定義すれば正しい位置に表示することが可能です。
※ ESRIジャパンでは定型図郭版の 2 万 5 千 1 電子地形図の投影法の定義や、装飾部分の切り取りが行えるツールを公開しています(電子地形図 25000 変換ツール)。

ArcMap に表示した 2 万 5 千 1 電子地形図ArcMap に表示した 2 万 5 千 1 電子地形図

加えて、近年ではクラウドなどインターネットを通して配信される地形図があり、デスクトップ GIS の背景地図としてだけではなく、Web GIS のアプリケーションなどの背景図として、Web ブラウザー上や、スマートフォン上のアプリケーションで幅広く利用されています。以下はインターネットを通して配信される地形図の例です。

地理院地図

国土地理院が整備するさまざまな地図を Web サービスとして配信しています。配信されている地図の中に地形図も含まれており、日本全国を継ぎ目のない状態で閲覧することができます。 
また、さまざまなアプリケーションから呼び出すための API の提供も行われています。ArcGIS では ArcGIS Online や ArcGIS Desktop から利用可能です。

ArcGIS Pro に追加した地理院地図ArcGIS Pro に追加した地理院地図

ArcGIS Online 背景地図

米国 Esri 社が提供するクラウド GIS の ArcGIS Online では無償で利用可能な背景地図を配信しており、その中に地形図も含まれています。整備範囲は全世界で、各国の地形を見ることができます。ArcGIS Online から配信されますが、ArcGIS Desktopでも背景地図として利用することができます。

ArcGIS Online の地形図ArcGIS Online の地形図

このように、地形図は精細な地形や土地の情報を多く含んでおり、紙だけではなくデジタル形式でも整備されていることから、GIS において最も重要な基礎データの 1 つとなっています。