GIS 基礎解説 > GIS の活用 > BIM/CIM と GIS

GIS 基礎解説

BIM/CIM と GIS

 

BIM /CIM とは

国土交通省では、建設現場の生産性向上を図る取り組みにおいて、3 次元モデルを活用し社会資本の整備、管理を行う BIM/CIM の導入を推進しています。「BIM/CIM」は、BIM と CIM という 2 つ用語が合成された呼称ですが、それぞれ以下のような意味があります。

BIM :Building Information Modeling の略称。3 次元の建物形状に属性情報(材料・部材の仕様、管理情報など)を付加したデジタルモデルを活用して、建築の計画、設計、施工、維持管理を効率的に行うための仕組み。

CIM :Construction Information Modeling/Management の略称。BIM の概念を土木分野に適用したもので、2012 年に国土交通省によって提言される。

海外において、CIM と同じ位置付けの概念は「BIM for infrastructure」と呼ばれ、BIM の一部として認知されています。このような国際標準化の動向に呼応し、国土交通省では、建築分野の「BIM」、土木分野の「CIM」というような概念を改め、2018 年 5 月から地形や構造物等の 3 次元モデリング全体を「BIM/CIM」と呼称することにました。BIM/CIM は、建設生産・管理システム全体の効率化・高度化を図ることを目的として活用されています。

 

建設事業における BIM/CIM と GIS の役割

建設事業において構造物を建設する際の段階は、大きく分けて「計画」、「設計」、「施工」、「維持管理」があり、構造物が存在する限りこれらの段階は循環していきます。これらすべてを単一の BIM/CIM ソフトウェアで対応することは困難ですので、各段階に応じて適したソフトウェアやサービスを利用するのが一般的です。設計、施工段階では、BIM/CIM ソフトウェアを活用して、構造物の詳細な 3 次元モデルの設計や施工の進捗管理などを行います。
計画段階で構造物の周辺環境を把握したり、建設による影響を評価したりする際には GIS を利用するのが適しています。例えば、GIS で構造物の周辺地域のハザード情報、土地利用、地形や地質などを地図上で可視化・解析することによって、構造物の設計方法や部材の種類などの検討に役立てることができます。また、維持管理段階においては、 GIS を情報基盤とすることで建設事業に係る各種データの包括的な管理や情報共有が可能となります。点検業務などの現地調査で得られた情報もそのまま GIS プラットフォームに登録することができ、効率的に最新の情報に更新することができます。

BIM/CIM と GIS を活用することで、建設事業全体のワークフローを効果的に進めることが期待できますが、その際に課題となるのが、BIM/CIM と GIS 間のデータのやり取りです。BIM/CIM と GIS で利用できるデータ形式の違いから、データ変換による情報の欠落やデータ管理の煩雑化などが懸念されます。

 

 

BIM/CIM と GIS のスムーズな連携
- オートデスク社と Esri 社のパートナーシップ -

2017 年 11 月に オートデスク社と Esri 社がパートナーシップを結び、BIM/CIM と GIS 間でスムーズな連携ができるようなソフトウェア/サービスを開発していく方針が示されました。この方針に基づき、オートデスクの BIM/CIM 製品と Esri の GIS 製品では、互いのデータやサービスをシームレスに利用できるような機能強化が図られています。
例えば、オートデスクの Revit 形式の 3 次元モデルをそのまま ArcGIS Pro で参照することができ、さらにそれをクラウドGISサービスの ArcGIS Online に共有することができます。
これら両社製品間の相互運用性が高まることによって、「データのスケールを問わない包括的な管理」、「データの冗長性/損失リスクの排除」、「業務の迅速化・効率化」を図ることが可能となります。

 

 

関連リンク