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アメリカを分断する所得と富の格差

 

アメリカ都市の貧富の格差を地図で探る

 

近年、拡大する社会的経済格差の問題は、議論の重要なテーマとなっています。統計は、この広がる格差を鮮明に描いています。米国政策研究所の調べによると、高所得上位者のわずか1%が、20世紀半の全米総収入額の2倍の資産を享受しています。

 ※画像をクリックするとマップに飛びます

解説

本マップは ArcGIS Online の「ストーリー マップ カスケード」というテンプレートを使用して作成しています。

 

史上初めて、これまで常に経済大多数を占めていた中産階級が、もはや多数派ではなくなりました。米国の人口50%は、高所得上位世帯と下位世帯とで成り立っています。

所得格差は、統計上だけではなく、地図上で見ても明らかです。貧しい地区を表す言い回しに、” The wrong side of the tracks(鉄道を挟んだ向こう側の町)”という言い回しがあります。貧困地区がしばし鉄道の線路によって隔たれていることから来ている表現ですが、今日、この例えが当てはまらないほど、富裕層と低所得地域の境界は近接しています。都市の高騰化が進み、流入する移民の人口が変動するにつれ、このコミュニティ格差の境界にも変化がうまれつつあります。

この地図は、2000年から2014年までの中産階級世帯数の変化を示しています。

赤は、中産階級が減少した都市、青色は中産階級の数が増加、もしくは特に変化がなかった都市を示しています。

都市部では所得格差が特に際立って見えます。次のマップは、所得格差が大きい10の都市を示しています。円の大きさは人口数を表し、1-10の順位は、所得格差の大きいランクを示しています。

先ほどの地図で示した都市の中から、5つの都市、ニューヨーク、サンフランシスコ、アトランタ、ボストン、ワシントンD.C.のそれぞれの特徴を見ていきます。ここでは、ニューヨークを取り上げます。

 

 

ニューヨークでは、富裕層のほとんどがマンハッタンに住んでいます。マンハッタンでは、住居者の高密度化と建物の高層化によって所得格差が拡大しているのか特徴です。近年、建設されている高層マンションの不動産価値は、およそ460から1,150億円に上ります。

 

 

ニューヨークの住民の5分の1は、貧困ライン*以下の生活をしています。一方で、マンハッタン住民の5%が2014年に1億円以上の収入を得ています。(*1日およそ2ドル以下で暮らす人を指します。)

 

 

この地図は、2016年平均年間世帯所得の値をマッピングしたものです。大幅な格差の世帯が徒歩数分の圏内に近接しているのが分かります。

 

 

 

 

この赤枠で囲われたアッパー・イースト・サイドのセントラルパークに接する国勢調査区域は、平均年間世帯所得23,000万円以上の地区です。

その数ブロック先には、イースト・ハーレムがあり、この国政調査区域は、平均年間世帯所得180万円以下を示しています。

表現の方法を変えて格差を見ていきます。この地図は、最も裕福な層と最も貧しい世帯を比較したものです。水色の点は、年間収入が2,300万円を越える世帯を示し、オレンジ色の点は、年間収入が290万円未満の世帯を示しています。

高所得者エリアは郊外にも広がりつつあります。マンハッタンの富は、特にブルックリンの外側の地域に広がりを見せているのがよくわかります。それぞれの世帯収入データを比較するには、地図をクリックしてくだい。

最後に、「所得格差は改善しているのでしょうか?」答えは、残念ながら「No」です。全米において、所得格差は2000年代後半から2010年台初頭のグレート・リセッション(不況期)と比べて大きくなっています。都市と都市圏において格差は平均して増加しました。これは、主に下位20%の所得世帯の収入額が停滞したことも影響しています。

このグラフは、世帯収入の額ごとに6つのグループに分け、各グループの所得額の変化を見ています。グラフが示すように、トップの上層階級の収入額が他のグループの収入額よりも急激に増加していることが分かります。米国の富はますますこの上層階級グループへと集中していく傾向にあります。

 

 

 

 

 

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掲載種別

掲載日

  • 2016年12月19日