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リオデジャネイロの舞台裏

 

大会準備はできたのか? そしてゲームは始まった。

 


 2009年に夏季オリンピックの開催地に決まったリオデジャネイロ。南アメリカ大陸で初の開催国となったブラジルですが、政治的混乱、経済の停滞、治安の悪さなどから世界大会をホストするだけの責任を負えるのかどうか開催間際までオリンピック委員会を説得はできていなかったと言います。開催1ヶ月を切っても、大会施設建設の遅れ、水質汚染、セキュリティ、さらにはジカ熱の感染地域拡大など懸念事項は山積みの状態でした。

※画像をクリックするとストーリーマップへ飛びます。

解説

本マップは ArcGIS Online の「ストーリー マップ カスケード」というテンプレートを使用して作成しています。

リオデジャネイロ

そもそもリオデジャネイロはどういう都市なのか。

オリンピックで注目を集める以前から、リオデジャネイロはブラジルのなかで最も人気が高く、600万人が暮らす都市です。南半球でもっとも頻繁に旅行客が訪れており、毎年200万人もの旅行客が行き来しています。 観光目的は、世界的に有名なリオのカーニバル、都市を見下ろす丘コルコバードにある巨大なキリスト像など。その一方で経済はというと、かつて活況を呈したこともあるものの1930年以来最悪の不況の状態にあります。特に物価が上がるインフレーションが進行しており、現在のインフラ率は約9.0%。国内GDPは3.8%減少、産業の生産率も5%減とまさに悲劇的な状況です。

建設プロジェクト

ブラジルはオリンピックに向けて新しいスタジアムや会場を建設するため、13億ドルを調達しました。今回オリンピックのために新しく建設されたのは、10施設。 地図上のアイコンをクリックすると、施設の使用用途、収容数、建設にかかった費用が表示されます。

ファベーラ

ブラジルが抱える経済問題の中で特に深刻なのは、所得不平等と経済的流動性です。農村地域に住む多くの人はより良い仕事、生活条件を求めて大都市圏へと移住してきました。この急速な都市化に住宅の供給は追いつかず、これらの低所得世帯の大部分は、ファベーラと呼ばれるスラム街に住んでいます。

リオデジャネイロには、150万人近くの人が600を越えるファベーラに住んでいると言われています。ファベーラの多くは、都市郊外、急な丘の中腹に立地しています。3Dマップでみるとよく分かります。

ファベーラの家のほとんどはレンガとセメントで作られています。電気は、約99%通っていますが、配管インフラ整備が不足しており、下水は、そのままグアナバラ湾へと流れ込み大きな衛生的問題を引き起こしています。

立ち退きを迫られた人達

新しいオリンピック会場のほんの一部がファベーラの近くに建設されました。一つの例が、ヴィラアウトドローモです。ジャカレパグアラグーン沿いに位置したこのヴィラは、プライムウォーターフロントの不動産に隣接していました。オリンピックメイン会場へのアクセス道路建設のためにヴィラアウトドローモの約600世帯の住民は立ち退きを余儀なくされました。

水質汚染

ジカウイルスの脅威もさることながら、リオデジャネイロの水質汚染は非常に懸念されていました。リオを訪れる観光客が美しい白い砂浜を思い浮かべる一方で、実際の競技は都市を取り巻く水中・水上で行われるからです。セーリング、水泳、カヌーなど約1,400人のアスリートは果たして安全に競技を行えるのか。「アスリートの健康への重大なリスクが存在しないことを私たちは世界保健機関(WHO)からお墨付きをもらっている」とする国際オリンピック委員会、AP通信が独自に行なった水質調査では、「世界の水専門家によると、ひとつとして水質の安全基準をみたす会場はない」と発表するなど色々な意見が行き交いました。

その他にも、治安の問題などオリンピック開催直前まで数多くの問題に直面していましたが、最終的にオリンピックは2週間以上に渡り、世界中がひとつとなって多くの人に感動を与えました。

次は2020年、東京です。どんな希望と感動をストーリーマップに綴ることができるでしょうか。

 

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掲載日

  • 2016年8月23日