トレーニング・イベント

イベント

開催レポート

第13回 GISコミュニティフォーラムは、5 月 17 日(水)~ 18 日(木)に、東京ミッドタウン(東京都港区・六本木)にて開催されました。前日の 16 日(火)には同会場でプレフォーラム・セミナーも開催されました。期間中は、2,200 名を超える皆様にご来場いただきました。ご来場いただいた皆様、ご出展やご発表等で開催にご協力いただいた皆様に心よりお礼申し上げます。 第13回 GISコミュニティフォーラムの各プログラムを、写真とともに振り返ります。

基調講演

基調講演は、5 月 17 日及び 18 日の両日開催されました。5 月 17 日は、冒頭で弊社社長正木及び ESRIジャパンユーザ会会長の福井 弘道 教授が挨拶し、続いて、早稲田大学 公共経営大学院 教授 片山 善博 氏が講演されました。最後に、米国 Esri 社 社長 Jack Dangermond(ジャック デンジャモンド)が講演いたしました。5 月 18 日は、株式会社野村総合研究所 上級コンサルタント 鈴木 良介 氏、東京大学 大学院 教授 江崎 浩 氏が講演されました。

『地方の再生と日本の将来』
早稲田大学 公共経営大学院 教授
元総務大臣・元鳥取県知事
片山 善博 氏

地方の再生と日本の将来 元総務大臣片山 善博 氏冒頭、全国の多くの地方で深刻な課題があり、解決にむけて国が様々な後押しをしているが、うまくいっているという実感がなかなか得られていないと述べました。特に地方共通の課題として人口減少を挙げ、出生率の低下及び都市部への人口流出により、遠くない将来に地域としての機能を維持できなくなる恐れがあると述べました。
 国側の問題として、地域振興の目玉のプレミアム付き商品券について語り、発想は良かったが都市部など必要の無いところにもばら撒いており、人口流出防止という目的に対する効果はなかったと述べました。現在の霞ヶ関は首都圏からの出身者が大部分であるため、もっと地方出身者が増えることが望ましく、また首都圏出身者も地方に目を向けバランスの取れた考え方を養ってもらいたいと強調しました。
 次に、地方の問題点として「地域本位に考える力」の低下を挙げました。給付金を使うため、国が提示したプレミアム商品券発行の案にほとんどの自治体が飛びついたが、本来なら各自治体が人口減少の原因を分析し、地元ブランドの立ち上げ支援など独自の総合戦略を策定し、給付金を効果的に使用すべきだったと述べました。また、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への反応についても言及し、日本の自治体は関税撤廃による農業への影響を懸念する程度だったのに対し、アメリカでは地元優先の政策ができなくなる恐れがあるとして、様々なバックグラウンドの人々が議会に集まり意見を出し合っていたと述べ、もっと自分の地域のことを真剣に考えるべきだと語りました。
 最後に、地域振興における基礎情報整備の重要性についても言及しました。特に道路台帳に橋やトンネルの建設年度データが入っていないことは安全性において大きな問題だとし、データ活用の仕組みが効果的な自治体運営において必要だと述べました。各自治体が問題意識を持った上で新しい仕組みを導入することにより、初めてサービスの質向上や業務の効率化を図ることができる。単に新しいシステムを導入するだけではなかなかうまくいかないということを念頭に置いてシステム普及を図れば効果が出るだろうと述べて講演を締めくくりました。

 


『分散 GIS によるスマートコミュニティの構築(Building Smart Communities through Distributed GIS)』
米国Esri社 社長
Jack Dangermond(ジャック デンジャモンド)

『分散 GIS によるスマートコミュニティの構築』 米国Esri社 社長 Jack Dangermond(ジャック デンジャモンド)冒頭で、米国Esri社 社長、ジャック・デンジャモンドからフォーラム開催の祝辞と、来場者に謝辞を述べました。GISコミュニティフォーラムの目的は重要な課題に取り組んでいる日本の皆様がお互いの話を聞きながら新しい技術を学ぶことだと述べました。
 本題に入ると、現在世界には様々な課題が存在し、各国の GIS ユーザーがその課題に取り組んでいる事例を紹介しました。環境やエネルギー問題、ビジネス分析、公共安全など、様々な分野で GIS が利用されており、皆様は地理的な情報を活用して日本国内のみならず、世界の方向性をも正す事ができると述べました。
 次に、GIS が世界をスマートにするというビジョンについて述べました。GISは地理情報を扱う単なるテクノロジーではなく、世の中の様々な課題への取り組みで行われるデータ収集、可視化、分析、企画立案、意思決定、行動の一連のプロセスを提供するプラットフォームになったと述べ、その科学的なプロセスを The Science of Where と呼び、GISの新しい概念であると説明しました。
 先ごろ日本でリリースされたArcGIS 10.5 は、様々なテクノロジーを取り込み、個人・部門・企業・コミュニティ全体で利用できる分散型 GIS であると述べました。ArcGIS Desktop はArcMap 10.5 とArcGIS Pro 1.4 の 2 つのアプリケーションで構成され、ArcGIS ProはArcGIS Online や ArcGIS Enterprise と常に地理コンテンツへアクセスすることが可能となっています。ArcGIS Onlineは SaaS型のクラウドシステムとなっており、様々な分析の機能が追加されたと述べました。これまでArcGIS for Serverと呼ばれていたサーバー製品は分散型 GIS を実現する為に完全に構造を変更して ArcGIS Enterprise と名称を変更しました。新しい開発者向け製品であるArcGIS API for Python を紹介しました。
 講演の最後に、持続可能な未来に向けて創造的に課題解決に携わっている皆様と共に、Esri社は成長していると結びました。

 


『ビッグデータ・IoT・人工知能はビジネスをどう変えるのか?』
株式会社野村総合研究所
コンサルティング事業本部 ICT・メディア産業コンサルティング部
上級コンサルタント
鈴木 良介 氏

『ビッグデータ・IoT・人工知能はビジネスをどう変えるのか?』 株式会社野村総合研究所 コンサルティング事業本部 ICT・メディア産業コンサルティング部 鈴木 良介 氏近年、ITコスト、とりわけ位置情報を始めとするデータの取得コストの低減とIT機器の使いやすさの向上により、データの「見える化」は簡単にできるようになったが、そこから売上や社会的効用にどう繋げていくかに大きな溝があり、この溝を埋めるための考え方・フレームワークについて事例を交えて紹介する講演となりました。
 まず、データの「見える化」からビジネスに繋げた事例として、スマートゴミ箱を紹介しました。この事例では、ゴミ箱の満空情報をリアルタイムで収集し、地図と連携させて回収ルートを最適化することでコストの8割削減に成功しています。
 鈴木氏は、「見える化」止まりにせず、そこから「もうひと価値加えること」とは、誰か(顧客、従業員等)の振る舞いを変えて、その結果、売上や利益、社会的効用につなげることである、と定義しました。その上で、「データ→情報(見える化)→価値(振る舞い)→効用」という、データ活用の一連の流れを整理するフレームワークとして、DIVA(Data, Info, Value, Achievement)を紹介しました。次に、取得したデータを活用し、顧客の振る舞いを変え、売上への貢献までの流れが設計されている具体例を複数紹介し、このフレームワークに当てはめて比較しました。また、取得したデータに基づいて人の振る舞いを変えるパターンを3つに分類して説明しました。
 まとめでは、ビッグデータ、AI、IoT等、データを活用するための道具は出揃っているので、それを使って顧客の振る舞いを変える競争が今始まっており、「データ→情報→価値→効用」という一連の流れを設計することが重要であると結びました。

 


『Society 5.0 に向けた スマートシティー・スマートカンパニーの姿』
東京大学 大学院
情報理工学系研究科 教授
江崎 浩 氏

『Society 5.0 に向けた  スマートシティー・スマートカンパニーの姿』 東京大学 大学院 情報理工学系研究科 教授 江崎 浩 氏冒頭では、Society 5.0 が世界でも注目を集めているキーワードであることに触れ、Society 5.0 の実現に向けて、データセントリックなインフラストラクチャ・デザインの構築が社会全体で取り組むべき課題であると述べました。
 Society 5.0 の実現に向けた3つのリスクとして、① データのフラグメンテーション化、② セキュリティ、③ インターオペラビリティ(相互運用性)があると述べました。従来の業界や組織に特化した垂直統合型モデルのシステムでは、他のシステムとの連携が困難だが、Society 5.0 を実現するためには複数のシステムが強調し合える水平統合型モデルでのシステム設計が必要であると述べました。水平統合型モデルのシステム例として 2014 年に KDDI社・ウェザーニュース社が持つ全国約 3,000 拠点の気象データや電力事業者の風力・太陽光発電データといった異なるシステムのデータを ArcGIS 上でリアルタイムに表示した取り組みを紹介しました。また、別の事例としては、物流倉庫の立ち上げにおいてサプライヤー、自社工場、営業、代理店それぞれのデータを共有することで、効率的なデマンドチェーン・サプライチェーンを構築でき、在庫量の削減を実現したと述べました。
 続けて、Society 5.0 の社会においては、物理的なモノよりもコード、つまりはデータとルール・プログラムが高い価値を持つと述べました。また、集められたデータを誰でも使えるようにするためには、同じテクノロジーでデータを保存し、アクセスできるようにすることが必要であると述べました。
 最後に、Society 5.0 の発展のために Esri社への要望として、様々なシーンでデータを利用できるように、共有できるオープンなプラットフォームを提供し続けてもらいたいと述べ、講演を締めくくりました。

 

各種発表

『ArcGISプラットフォームの活用による効果的な情報共有と意思決定 ~浜松市での実例を通して~』
浜松市 危機管理監 危機管理課 渥美 真弥 氏
ESRIジャパン スタッフ

最初に ESRIジャパン スタッフ 3 名によるプレゼンテーションを実施しました。意思決定のプロセスに ArcGIS を用いることで、合理的な候補の絞込みができ、その結果を Web で共有することでプロセスの迅速化が図れることを、コンビニエンスストアの出店候補地選定を題材にデモンストレーションで紹介しました。
 次に浜松市の渥美真弥氏より、ArcGIS の事例として浜松市の防災情報システムをご紹介いただきました。避難所の収容可能人数と実際の避難者数の比較、避難勧告対象エリアの特定、浜松市内で見つかった不発弾を処理するための移送経路の表示など、実際のアプリケーションを操作してわかりやすく説明されました。
 結びとして、ESRIジャパン スタッフより、ArcGIS を組織のプラットフォームとして導入することにより、「最適な意思決定」、「迅速な状況把握・対応」、「円滑なコミュニケーション」、「コストの削減」を実現できることを説明しました。

 

 

事例発表

GISコミュニティフォーラム 2017 - 事例発表地方自治体、大学、研究機関、そして民間企業まで、様々な業種・分野から ArcGIS 製品を利用した事例の発表が行われました。IoT、ビッグデータ、AI、BI、UAV などの最新技術を取り入れた発表も注目を集めました。分野をまたがって聴講されるお客様も多く、GIS の実社会での活用方法への関心の高まりを感じました。

 

テクニカルセッション、プレフォーラム・セミナー

GISコミュニティフォーラム 2017 - テクニカルセッション、プレフォーラム・セミナーEsri 製品の最新情報や技術情報をお伝えするテクニカルセッションは、GISコミュニティフォーラム前日に開催のプレフォーラム・セミナーに 30 セッション、フォーラム当日に 16 セッションの計 46 セッションが行われました。
 プレフォーラム・セミナーでは、GIS の統合プラットフォーム「ArcGIS」を構成する各製品、データ コンテンツ製品、開発者向け製品の具体的な活用法から、座標系や地図注記といった GIS に必須の知識に関する内容まで幅広くご紹介し、約 600 名のお客様にご参加いただきました。また、フォーラムでは、5 月 10 日に国内リリースした ArcGIS 10.5 の最新情報を中心に、ビッグデータ、IoT、ドローンといった今一番ホットな話題のセッションがあり、ArcGIS プラットフォームが多様なお客様のニーズにお応えできることを実際の活用事例とともにご紹介しました。

 

地域情報活用セッション

今回初めての開催となった本セッションには地域情報活用に関心がある約80名が参加されました。「GIS は地域の未来にどう貢献できるか?」というタイトルの下、講演と事例発表の構成での進行となりました。冒頭、兵庫県立大学 准教授 浦川氏による「地域を GIS でつなぐ意義について」という講演で幕を開けました。
 講演に続く事例発表では地域情報活用の先進事例として、2 つの地域から発表がありました。1 つ目は北九州地域で、G-motty という地域情報ポータルサイトに端を発した地域情報活用の枠組みが、北九州市および周辺の6自治体が参画する一般社団法人 G-motty の設立にまで発展した事例を発表いただきました。さらに G-motty は地域団体「Goose Loc’R」との連携を開始し、まち歩きマップを G-motty×Goose Loc’R × 小倉高校という新しい協力関係により作成しました。2 つ目の事例は室蘭地域で、オープンデータをきっかけとした様々な市民参画の機会を通じて、各種の地域情報活用の事例が生まれていることが紹介されました。市民主体の地域情報づくりが地域情報の活用の新たな枠組みの構築に発展している好事例として印象に残りました。
 本セッション全体を通じて、① 北九州地域の G-motty も室蘭地域のオープンデータも GIS がきっかけの 1 つであったこと、② 地域情報集約や地域情報活用に GIS の機能が有効に機能していること、などが講演・事例紹介により示されました。その一方で GIS だけでは成立せず、地域の人と人のつながりや創意工夫も要素として重要であることも事例等で示されました。まとめると本セッションの参加者の皆様には、GIS は地域の未来に向けた活動を支える技術として地域に貢献できていることを認識いただけたのではないかと思います。

 

危機管理GISセッション

本セッションでは、「GIS が実現する危機管理ソリューション」をテーマに、海外事例と国内ユーザー事例の講演を行いました。  前半には、米国 Esri社危機管理担当ディレクターのクリス・マッキントッシュ、危機管理 GIS ソリューションエンジニア ケイト・レビーが「GIS の活用による危機管理オペレーションの最適化 ~2020 年東京オリンピック・パラリンピック対策を踏まえて~」と題して、米国における最新の危機管理 GIS ソリューション事例を講演いたしました。
 後半には、「茅ヶ崎市災害対応 GIS ポータルサイトについて」と題して、茅ヶ崎市防災対策課の木村氏に災害対応 GIS の取り組みについてご講演いただきました。
さらに、「防犯ポータルサイト「大東京防犯ネットワーク」のリニューアル」と題して、東京都青少年・治安対策本部総合対策部の小田氏から GIS を活用した防犯情報の発信と共有の取り組みについてご講演いただきました。
 本セッションには、中央省庁、自治体、研究機関から民間企業まで様々な業種・分野から 100 人近い方々にご参加いただき、危機管理 GIS への関心の高さが伺えました。危機管理においては、組織間の情報共有が重要な課題であり、ArcGIS プラットフォームの有効活用により、解決が図れることをご理解いただけたかと思います。さらには、2020 年に開催が予定されている東京オリンピック・パラリンピックにおける安全の確保等において、ArcGIS プラットフォームの効果的な活用が期待されています。

 

データビジュアライズワークショップ

オープンデータを利用した参加型のワークショップを開催しました。ワークショップでは、オープンデータを利用したデータビジュアライゼーション(可視化)をテーマに、限られた時間でさまざまな Web マップを作成していただきました。
利用した製品は以下です。
ArcGIS for Developers(ArcGIS の開発者向けプログラムの無償プラン) ■ ArcGIS Online(Web マップや Web アプリの作成基盤) ■ ArcGIS Open Data (Esri社 が運用するオープンデータのカタログサイト) 参加された皆さまからは、ArcGIS Online を用いたデータの可視化が簡単であるとの声を頂戴するとともに、オープンデータのような、手軽にアクセスして利用できる地理空間情報への関心の高さが伺えるワークショップとなりました。

 

森林 GIS セッション

本セッションは今年で 7 回目の開催となり、今回は「国産材時代にむけた新たな森林情報整備」と題して、林地台帳などの森林所有界整備に関連した取り組みについて、さまざまな立場の方より発表いただきました。林野庁森林整備部計画課の立原様からは、林地台帳制度についてご発表いただきました。静岡県志太榛原農林事務所の吉永様からは、林地台帳の運用に向けた森林GISの活用と情報共有について、院庄林業株式会社の水野様からは、最新システムを利用した森林業務について、それぞれGISの活用事例をご発表頂きました。
 また、発表後のディスカッションの時間には、豊田市森林課の深見様にも参加いただき、森林総合研究所の鹿又様のファシリテーションのもと活発な意見交換が行われました。林業における所有界の明確化の重要性、林地台帳制度への国・県・市・民間企業などそれぞれの立場からのニーズや意識が浮き彫りになり、非常に有意義な情報共有となりました。

 

教育 GIS セッション

地域社会の課題に対して GIS の活用を支援できるよう、2016 年にキックオフした地域活動を促進するための人材データベース「GeoMentor」をキーワードに開催致しました。
 兵庫県立大学 准教授 浦川氏より、地域活動が活発で、かつ GIS 専門技術・知識を有する人は少なく、地域社会で活動する人と GIS 活用を支援する人とを結び、地域社会の課題を解決できる人材育成を支援するための「GeoMentor」プロジェクトであることを、冒頭で発表頂きました。
 続いて、兵庫県立尼崎小田高等学校 福田氏、難波氏より、「災害に強い街づくり 高校生にできること」と題して、地域防災を視野に、地域住民と高校生を繋ぐ GIS を活用した街歩きの事例を紹介いただきました。次に、輪島市 倉本氏より、地域防災力向上のための GIS の活用について、能登半島地震の当時の被災地を巡る催しが開かれ、地図上の指定ポイントをクリックすると震災直後写真が表示され、災害を知らない子供たちへ伝えることが出来たことを発表いただきました。そして、「Goose Loc’R」松尾氏、藤原氏、北九州市 塩田氏より、北九州の高齢者の知識と経験を生かしたブランド「Goose Loc’R」と北九州市の GIS 活動 G-motty との人とまちと企業を繋ぐ活動の発表を行って頂きました。GIS は単なるツールではなくコミュニケーション手段になることが、発表者を通して改めて実感することが出来ました。

 

農業 GIS セッション

本セッションでは、「GIS でみる国内外の農業」をテーマとして、行政、研究機関、教育機関、そして民間企業から 6 名の発表者をお招きし、講演して頂きました。農研機構の石塚氏からは、ドローンを用いて熊本地震の被災農地を観測した事例について、NTCインターナショナル株式会社小林氏からは途上国における灌漑開発事業での GIS 利用について、山口県 農林水産部 吾郷氏、ニュージャパンナレッジ 笠原氏より、ドローンによる農薬散布と作業予定・履歴をクラウドで情報共有できる MyFarm の連携についてお話いただきました。そして最後に本セッションのコーディネーターである東京工業大学 齋藤氏より GIS を活用したケニアにおける NERICA 米栽培可能地域の把握の事例をお話いただきました。会場には、様々な機関から例年以上に多くのお客様にお越しいただき農業分野でのドローン活用への期待度の高さが感じられました。

 

保健医療のための GIS セッション

本セッションでは、近年、保健医療分野において GIS を効果的に活用されている東京大学 医学部付属病院 企画情報運営部 土井氏より「医療・介護データの GIS 分析による自治体の政策設定支援」と題して発表いただき、ミーカンパニー株式会社 経営企画部 近藤氏からは、「医療統計の PDCA 強化に向けて」と題して事例を発表いただきました。
 「地域医療のために GIS がどのように役立てるか」のテーマのもと、2016 年度末に出そろった地域医療構想における PDCA サイクル、第7次医療計画設定に向けての GIS の効果的な活用について発表が行われました。

 

生物多様性・コンサベーションGISセッション

今回は、「自然環境保全のための GIS データの有効活用」をテーマに、前回同様、国・教育機関・公益財団法人から 9 名のご講演者様をお招きし、生物多様性に関する取り組みや情報公開、環境調査での GIS の活用事例等を紹介していただきました。発表後のパネルディスカッションでは、自然環境保全における GIS の役割などについて活発な討論が行われました。また、ESRIジャパンより「非営利活動法人向け GIS 利用支援プログラム」と ArcGIS 製品の最新情報について紹介させて頂きました。セッションには多くのお客様が参加され、生物多様性や自然環境の保全への関心の高さがうかがえました。

 

 

 

各種展示、懇親会、体験セミナー

スポンサー展示

GISコミュニティフォーラム 2017 - スポンサー展示全 25 社による様々な ArcGIS 関連ソリューション、GIS データ及び周辺機器(プリンター、カメラ、ドローン等)の紹介が行われました。参加者はそれぞれ興味のあるブースでの情報収集を行っておられました。

 

城クイズ

GISコミュニティフォーラム 2017 - いくつわかる?凸凹地図で読み解く城クイズ展示会場内メインステージにおいて、「いくつわかる?凸凹地図で読み解く城クイズ」と題して地形図を見て城名を当てるクイズを実施しました。スポンサー企業とコラボした本企画では、株式会社 東京地図研究社様と株式会社 リコー様による発表が行われ、スポンサーブースはヒントを求める参加者で賑わいました。
正解は後日ストーリーマップで発表しました。

 

ESRIジャパン 製品展示

GISコミュニティフォーラム 2017 - ESRIジャパン 製品展示ESRIジャパンの ArcGIS プラットフォーム展示ブースでは、GIS の統合プラットフォーム「ArcGIS」を構成する各製品(ArcGIS OnlineArcGIS DesktopArcGIS EnterpriseArcGIS AppsArcGIS for DevelopersESRIジャパン データコンテンツ)を中心にご紹介しました。前週に最新バージョンである ArcGIS 10.5 と ArcGIS Pro 1.4 がリリースされたこともあり、新機能/新アプリケーションに興味を持たれた多くのお客様にお立ち寄りいただきました。今年は特に、ArcGIS Pro に対するユーザー様からの関心度が高く、強化された 3D や画像処理に関する機能や、ArcGIS Online / ArcGIS Enterprise と連携した Web 共有の方法に関して、数多くご案内いたしました。また、ドローンで取得した画像から GIS データを生成するアプリ(Drone2Map for ArcGIS)、現地調査用アプリ(Collector for ArcGIS / Survey123 for ArcGIS)、新しい空間分析アプリ(Insights for ArcGIS)など、目的や用途に応じたさまざまなアプリ群 ArcGIS Apps に関心をお持ちのお客様も多くいらっしゃいました。

 

先進 GIS 活用ショーケース

GISコミュニティフォーラム 2017 - 先進 GIS 活用ショーケース新しい試みとして「つながる」「さわれる」をテーマに最新テクノロジー・トレンドに対応した ArcGIS の新たな活用シーンをコンセプトとして紹介する展示を行いました。インドア GIS では、地磁気を活用した測位サービスや BLE ビーコンを ArcGIS プラットフォームに接続させ、展示会場内での人の動きを地図上で可視化する実験を展示しました。ArcGIS and Big Dataでは、大量の地理空間情報を分散処理する最新のビッグデータ製品を展示しました。ArcGIS × IoTでは、ソニー株式会社の電子タグ「MESH™」を活用し会場内に設置した各種のタグから集めたデータをリアルタイムに ArcGIS Online に集約し可視化する実験を展示しました。ArcGIS × デジタルファブリケーションでは、ArcGIS で作成したデータから 3D プリンターで地球儀等を会場で印刷し来場者にプレゼントしました。どのブースも多くの方にお越し頂き、とても賑わいました。

 

ArcGIS ご相談コーナー

GISコミュニティフォーラム 2017 - ArcGIS ご相談コーナー本年も展示会場において、ArcGIS 全般に関するご相談を受け付けるコーナーを設置しました。 ・ArcGIS Pro や ArcGIS Online を利用するためにはどのような手続きをすれば良いか。 ・ArcGIS の導入を検討中で、実現したい内容にはどのようなライセンス構成が必要となるか。 ・製品ブース で説明を聞いた製品を使うために、必要なライセンスの保有状況を確認したい。 など、さまざまなご相談をいただき、ArcGIS を業務へ活かすアイデア実現のご支援をさせていただきました。 手元に届いたフォーラムのご案内で ArcGIS ご相談コーナーがあることを知り、いくつかの相談内容を事前に用意して直接本コーナーを目指して来られたお客様もおり、フォーラムでの相談コーナーを有効に利用いただいています。

 

マップギャラリー

GISコミュニティフォーラム 2017 - マップギャラリーユーザーの方々が作成したマップ 30 作品を展示しました。今回は、大学キャンパスにおける風の道を可視化して熱環境と風環境の面から緑地環境を評価した作品(東京農業大学)や、県毎のライバル意識調査を可視化した作品(東京地図研究社)をはじめ、災害、自然、姉妹都市、社会問題など、GIS の多彩な表現方法を楽しめる、様々な題材の作品が集まりました。
今年の入賞作品は次の 5 作品です。入賞した作品の詳細は後日サイト上で紹介いたします。

 

1位:「夏季の熱環境と風況解析に基づく大学キャンパスの環境評価と環境計画への応用」
(東京農業大学 地域環境科学部)
2位:「日本 47 ライバル都道府県」
(株式会社 東京地図研究社)
3位:「絶滅危惧のフクロウたち ~レッドリスト全国版と地方版~」
(特定非営利活動法人EnVision環境保全事務所)
4位:「教えて?あなたの地域の“○○焼き”」
(徳島大学 総合科学部)
5位:「日本人の3割が標高10m以下に住んでいる」
(和歌山大学 システム工学部)

 

懇親会

GISコミュニティフォーラム 2017 - 懇親会酪農学園大学 教授 金子氏から開会のご挨拶と乾杯のご発声を賜り、賑やかに懇親会が始まりました。今回は、米国 Esri社社長 Jack Dangermond(ジャック デンジャモンド)の来日もあり、懇親会の参加者だけでも 300 人を超える大盛況でした。
恒例のマップギャラリー表彰式では、1位から5位までの優秀作品が発表され、Jack社長より、受賞者の方々へ賞品と副賞が授与されました。盛んに拍手が送られる中、受賞者の喜びの声もお聞きすることができました。

 

体験セミナー

GISコミュニティフォーラム 2017 - 体験セミナー今回は「2D & 3D マップの作成を体験してみよう!」というタイトルで体験セミナーを実施しました。ArcGIS Pro の特徴の 1 つでもある 2D マップと 3D マップの二画面表示や ArcGIS Online との親和性が高い ArcGIS Pro だからこそできる Webマップとしてのマップの共有などを体験していただきました。
「実際に操作できて参考になった」「業務で使えそう」「使ってみたくなった」とのコメントを数多く頂戴し、実際の操作を通して ArcGIS Pro の操作性の高さを実感していただけたものと思います。

 

技術サポート相談会

GISコミュニティフォーラム前日のプレフォーラム・セミナー会場にて保守契約有効なユーザー様向けの「技術サポート相談会」を開催しました。
 普段は直接お会いすることのないユーザー様とサポートスタッフが、同じ時間を共有し、ユーザー様のちょっとした ArcGIS の疑問 や ArcGIS を使用した業務上の悩みなどを一緒に考えながら、お客様にとって最適な解決策を提案することができ、サポートスタッフにとっても良い刺激となりました。
 ユーザー様からは、日々の疑問が解消できたと大変好評で、また相談会を開催してほしいとのご意見も多く寄せられました。 これからも Esri製品サポートサービスの Q&A サポートをご活用いただけると幸いです。