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事例

災害時の情報を一元管理し、迅速な意思決定を可能にした「越谷市災害情報管理システム」

埼玉県 越谷市

 

災害関連情報の収集、地図と情報を関連付けたデータの一元管理。市民への情報共有・発信と防災力向上を可能にするシステム導入を実現

概要

埼玉県 越谷市。庁内で災害情報管理システムが利用されている様子
庁内でシステムが利用されている様子

越谷市は低平地という土地柄により、過去に大雨や台風による甚大な水害に見舞われてきた。2013年(平成25年)には市内で竜巻が発生し、多くの家屋が被害を受けた。この災害で課題が浮き彫りになり、情報の一元化・共有化、被害状況等の集約・発信が出来るシステム構築の必要性が高まった。
これらを踏まえ、「越谷市災害情報管理システム」が整備され、2016年(平成28年)に運用が開始された。
その結果、災害情報と地図情報を関連づけ一元管理し、それらを庁内でリアルタイムに共有することや、市民への迅速な情報提供が可能となった。さらに、職員の負担軽減にもつながっている。

背景

越谷市は低平地という地勢に加え、急激な都市化が進んだことから、大雨や台風による浸水被害などの水害に見舞われてきた。
災害時の被害情報などは紙にまとめて庁内で共有していたが、情報の集約・整理に時間がかかるうえに、誤入力する可能性があった。また、情報収集や資料作成に時間がかかり、市長へリアルタイムな被害報告ができないこともあった。
さらに、大雨や台風時の情報収集では、道路冠水による市内の通行止め箇所の可視化に、ホワイトボードに貼った白地図が使用され、マグネットで場所を示すという方法が取られていた。これでは庁内でのリアルタイムな情報共有が困難であった。

越谷市災害情報管理システムの構成概要
災害情報管理システム構成図

こうしたことから同市は、「越谷市情報化推進計画第3次アクションプラン(2012~2014年)」として、情報を一元化・共有化し迅速かつ的確な情報の伝達・収集・整理を可能とする災害情報管理システムを整備することになり、被害の全体像の把握、各種応急対応への活用、効率的な業務の推進などについて、検討を重ねていった。
そんな中、2013年9月2日には市内で竜巻が発生し、被害は広範囲に広がり1,500世帯以上の家屋の損壊や多数の負傷者が出た。この災害対応では、上記にあがった課題と同様、情報の一元化・共有化、情報収集や発信体制についての課題が浮き彫りになった。その他にも、東日本大震災における教訓や、首都直下地震を懸念する声、また、2015年の台風18号では、同市からの情報提供が少なかったために市民からの不満の声があがるなどの課題もあった。

導入手法

システムの基盤として、日本アイ・ビー・エム(株)の「IBM業務支援Webプラットフォーム」が採用された。その中の地理情報システムとして、自治体の様々な業務に合わせた最適なGISプラットフォームの構築が可能な「ArcGIS自治体ソリューションライセンス」が組み込まれることとなった。本システムは実災害だけでなく、訓練や平常時にも利用できるように、実災害モード、訓練(練習)モード、平常時モードの3つのモードでの運用が可能になっている。

庁内利用

災害時における情報の迅速かつ的確な伝達・収集・整理を可能とするために、タブレットやスマートフォンからシステムにログインをして、被害を受けた現地から対応職員が状況を登録できるようにした。また、庁内の職員がパトロール車等からの情報を基にシステムに入力し、情報の整理ができるようにした。
システムに集約された情報は、リアルタイムで地図上に表示されるので、視覚的に状況が把握でき、災害対策本部での迅速な意思決定に役立つ。なお、地図上では情報を描画するだけでなく、距離や面積の測定も可能にしている。
また、このシステムでは物資の在庫管理も可能である。例えば各倉庫に備蓄されている物資の数量や、賞味期限等が管理されている。
賞味期限が近くなってきた廃棄対象の非常食は、自治会の防災訓練で炊き出し訓練に利用されている。災害時には、避難所からの物資の要請を受け、対応課への依頼にも利用される。さらに、普段職員が使用している携帯電話等のメールアドレスをシステムに任意で事前に登録し、非常時に職員参集メールを送信することや安否確認が可能となっている。これにより、勤務時間外でも迅速な災害対応が可能となった。

越谷市災害情報管理システムの職員用操作画面
職員操作画面

市民公開

災害時における市民への情報発信としては、同市公式ホームページ上に本システムによる市民公開用ページのURLを貼り、従来の文字だけの発信ではなく、地図情報と文字情報を合わせた通行止め情報や、市内に32ヶ所ある排水ポンプ場の稼働状況を公開することができるようにした。その他にも避難所の開設状況も同じ画面で確認ができるようにした。
また、市民への迅速な情報伝達として、越谷Cityメールやソーシャルメディア(Twitter)等と連携し、一斉配信も行えるようになっている。

導入効果

2016年8月の台風9号ではこの新システムを使い、同市のホームページ上で台風情報を地図と合わせて公開した。台風への注意喚起や通行止め箇所等を共有したところ、8月22日の朝8時15分から翌23日10時までの約26時間に、閲覧人数2,491人、6,690回のアクセスがあった。地図を活用して分かりやすく情報を公開したことにより、以前と比べ市役所への電話による問い合わせ数が減り、職員の電話対応に要する負担も軽減された。
また、市民からの問い合わせについて、以前は紙に記入して担当課へ対応を依頼していたが、システムの導入後は庁内で情報が共有されているので、担当課の職員がすぐに状況を確認でき、スムーズな対応ができるようになった。毎年行われる同市の総合防災訓練においても、今年から本システムを活用し、非常時にスムーズな対応ができるよう、訓練を行う予定である。

越谷市災害情報管理システムの市民公開用画面
市民公開用画面

また、システム運用開始以降、定期的に職員参集メールの導通試験を実施し、非常時に迅速に職員が参集できる体制を構築している。以前は連絡網を利用して電話連絡を行っていたので、時間と労力の大幅な削減ができるようになった。
そのほか、本システムは災害時のみならず、平常時モードを活用し、建設部門では苦情管理に利用したり、消防本部では消防職員の参集訓練を行うなど、普段の業務でも活用できることが大きな特徴の一つである。

今後の展望

越谷市では、本システム導入後、幸い大きな災害に見舞われていないが、災害時にシステムを適切に運用できるよう、定期的に職員への研修を行い、平常時における各課の業務でも積極的に利用していきたいと考えている。また、市職員だけでなく、本システムを通して、市民に情報発信することにより、市民との協働による災害に強いまちづくりを目指していく。そのため、さらに利便性の高いシステムとなるよう、今後もシステムの機能改善を継続的に行っていく予定である。

プロフィール


右から 危機管理課 担当者 3 名
左 日本アイ・ビー・エム(株) 担当者


関連業種

関連製品

導入協力企業

組織名日本アイ・ビー・エム株式会社
住所東京都中央区日本橋箱崎町19-21
電話番号050-3149-3682
Webを見る


資料

掲載日

  • 2017年1月30日

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