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事例

業務支援GISの一元管理でシステム・業務・データの最適化とコストの削減

千葉県 市原市

 

ArcGISをベースに全ての個別GIS(道路・水道・下水道・遺跡・建築・固定資産)を統合。庁内統合型GISと市民公開GISまで含めた一元管理

概要

千葉県の市町村で最も面積の広い市原市は、人口約28万人の自治体で、日本有数の製造品出荷額を誇る工業都市である。一方、養老渓谷をはじめとした豊かな自然や多くの文化財・史跡、日本一の数を誇るゴルフ場、海づり公園など、観光・レジャーのスポットにも恵まれている。 市原市では従来、業務ごとにGISを個別導入し運用していたが、段階的にArcGISをベースにしたアジア航測社製のパッケージシステムALANDIS NEOへの統合を進めた。平成23年7月の道路GISおよび建築・指定道路GISの更新を皮切りに、12月には水道GISおよび下水道GISを統合。平成26年10月には、税務基幹系システムとの連携機能を付加し、固定資産税GISを組み込んだ。 そして、平成27年3月に、統合型GISおよび市民公開GISの更新において、ArcGIS for Serverを利用して開発したALANDIS NEO for Webを導入したことで、すべてのGISがALANDIS NEOを用いたArcGISに統一され、情報共有の仕組みやコスト縮減効果がもたらされた。

背景

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システム統合イメージ

導入前の市原市では、各個別業務GIS間におけるデータの連携や活用が限定的で、庁内横断的な有効活用が進まなかった。また、個々にシステムを構築していたことによるシステム維持管理コストの重複や無駄が課題となっていた。市原市は、これらの問題を解決するため、各GISをひとつに統合可能なGISをプロポーザルによって調達することとした。プロポーザルの結果、ArcGISの高い機能性と、豊富な業務知識が反映されたALANDIS NEOの利便性が評価された。 ALANDIS NEOは、多岐にわたる業務機能とそのデータの一元管理を可能にする充実した機能を有しており、これらの機能が市原市で個別管理されていたシステムおよびデータを、一つのシステムとArcGIS for Serverによるデータベース基盤に集約することを可能にした。

一元管理の仕組み

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管理機能画像

一元管理されたシステムとデータを制御するのは管理機能である。管理機能では、誰がどの機能を使えるか?どのデータを使えるか?いつ何をしたか?を管理し制御することで、データの保護と共有を実現している。 例えば利用者のデータへのアクセス管理は、各データに対し部署ごとに「権限なし」、「地図表示のみ」、「地図・属性表示可」、「表示編集可」の4段階の設定を施している。また、利用者がどのような操作を行ったかというログを一元的に管理している。 システム統合にあたっては、利用者がシステム操作やデータ共有を容易にできるようデザインや操作感が統一されていることが重要である。ALANDIS NEOは、すべてのシステムインタフェースが統一されているだけでなく、Microsoft Officeと親和性が高いレイアウトを採用し、利用者の使いやすさを追求している。

システム構成

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システム・データ構成概略

システムは、市民が閲覧するためのWebGIS、職員が参照や簡易な編集を行うためのWebGIS、業務に特化したArcGIS Engineで構成されるC/S型の3つの構成となっている。C/S型については、クライアントPCへのインストールやGISの高負荷処理を考慮して、仮想アプリケーションによって展開している。 全ての地図データはArcGIS for Serverで統合管理しており、データがシステムごとに散在することなく集中的な管理を可能にしている。さらに、リレーショナルデータベースの汎用的な拡張機能を用いて、基幹系システムやグループウェアで使用しているMicrosoft SharePoint上の台帳データなどとの連携を実現している。

導入効果

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データ共有イメージ

市原市では、これまでのシステム拡張による業務の高度化、GISの基盤をArcGISに統合したことによる業務間の容易なデータ連携、システム経費の縮減を実現している。 具体的には、個別システムごとにサーバーやデータベースを構築、保守していたものを統合、集約することで、重複していたシステムコストの解消を図った。平成27年時点では、平成22年時点に比べて、年間のシステムコストを40%低減できた。 また、地図データを凡例から呼び出すだけでシステム上のデータ共有が可能であり、権限のある利用者が下水道に上水道や道路台帳図を重ねるといった業務用途を容易に実現している。 さらに、計測車両から取得した360°全周囲画像を建築、道路、水道、固定資産の各業務で整備している。システムの一元管理により、総延長約730㎞のデータ閲覧が業務システムで利用可能であり現地確認の省力化に貢献している。 また、市民公開GISでは同じプラットフォーム上に別途インフラ業者向けのサイトを構築し、IDとパスワードを発行して工事個所の調整を実施している。

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全周囲画像表示画面

今後の展望

市原市では、集約したデータを活用し、ホットスポット分析などで地域特性を可視化するなどの検証を開始している。今後は地域特性の分析結果を施策検討に活用していくことで、住民サービスの向上を図る予定である。

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全周囲画像表示画面

プロフィール

情報管理課 安藤 善文 氏 遠藤 勇作 氏

情報管理課 安藤 善文 氏 遠藤 勇作 氏



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資料

掲載日

  • 2016年7月22日