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ネブラスカ州緊急事態管理局に見るモバイルGISの可能性

ネブラスカ州緊急事態管理局

 

小規模政府機関が抱える予算問題

被災地で活動している災害対応チームにとって、GISは技術的ライフラインといえます。GISは5年以上にわたり、ネブラスカ州緊急事態管理局(NEMA)のなくてはならないツールの一つとなっています。

2008年5月28日~6月29日、暴風雨を受けて被災し、大統領による非常事態宣言が発せられたネブラスカ州。

ネブラスカ州軍事省にある3部隊のうちの1つであるNEMAは、1960年代に建てられた冷戦時代の掩蔽(えんぺい)壕(軍事建造物)から始まりました。この組織は、国家陸上警備隊と国家航空警備隊を統括する准将Timothy J. Kadavy准将が指揮しています。年間を通じ、NEMAの主なミッションとして掲げられているのは、『装備』です。政府機関は、竜巻、洪水、暴風雪、および公安の安全を害するテロ攻撃などの様々な脅威に対応すべく、地域コミュニティのための支援組織として活動しています。

NEMAは、わずか35名の職員と非常勤勤務者から成る小規模政府機関です。災害時は、多様な責務に追われ、緊縮予算の中でリソース活用方法を模索する日々が続いています。

NEMAのGIS専門家であるChad Boshart氏は、次のように述べています。「現在、新規ソフトウェアの導入により、災害現場でのNEMAのGIS利活用方法が強化されつつあります。」Field Adapted Survey Toolkit(FAST)ソフトウェアは、フロリダ州ジャクソンビルにあるESRIビジネスパートナーのGeoAge社製品で、ESRIのプラットホーム上に構築されており、現在、NEMAが今後の非常事態に対応できるよう、試用段階に入っています。

「このソフトウェアが被災地で、私たちの活動に役立つ方法がないか模索しています。現在、災害対応チームは、直面する課題を明確化するための調査表を作成し、そこへGIS座標とデジタル写真を追加する機能を活用しています。」と、GISの専門家であるBoshart氏は述べています。

Boshart氏が指摘するこれらの機能により、竜巻による被害地域、避難所の空きベッド数、通行止めとなっている非難経路、緊急対応者が航行可能な迂回路といった緊急時に主要となる情報の識別と被害の度合いの数値化を行うNEMAの災害対応チームにとっては、緊急時の対応の効率化が図れます。

Boshart氏はこうも続けます。「新規調査機能を利用し、より多くの被災地情報、記述フィールド、壊滅度、撤去作業を開始したかどうか等の情報を追加しました。私たちは、GIS座標を用いたこの種の情報を統合でき、災害対応チームの誰もが1日、あるいは半日でこの統合の仕方を習得することができます。」

中には、完全に押し流されてしまった車道も。

FASTによって収集されたデータはArcPadから閲覧でき、災害応答班員に被災地情報として提供されます。NEMAは、カメラとBluetooth GPS機能を搭載したヒューレット・パッカード社のiPAQ PDAを通してソフトウェアの配信を行っており、PDAはAlltel社のセルラー・ネットワークによりインターネットに接続しています。利便性こそが、このソフトウェアに新たに付随された技術的特徴とされており、Microsoft Windowsが使える人なら誰でも即座に利用可能なほどです。Boshart氏は次のように述べています。「緊急時に発せられる極わずかな情報によってチームの編成を強いられるNEMAのような政府機関にとっては、とりわけこの利便性こそが、非常に重要なポイントであり、すぐに必要なあらゆるデータを収集するための柔軟性を持つ方法といえるのです。」Boshart氏はデータをシェイプファイル形式でエクスポートし、それからそのデータをGIS上に追加できることに着目しました。Boshart氏の見解は、以下のように続きます。「私は、NEMAのほとんどのグループとともにデータを利用できます。早急な対応が必要なとき、このデータによって直ちに状況を認識し、どこに人材を派遣したら良いか、どこに援助や物的リソースを提供したら良いかを把握することができます。以上のことが、優先順位の決定に役立ち、コスト削減、時間の節約、そして命を救うことにも繋がっているのです。」

被災現場の災害対応チームがArcGIS デスクトップ製品の機能とコンポーネントをうまく利用することで、NEMA本部のGIS専門家たちは、ArcGIS Engineを用いて収集したデータを地図化することができます。Boshart氏は次のようにも述べています。「以前は、個々の異なったやり方で情報を単に書き留めるだけでした。座標を書き留める者もいれば、目に見えた情報を単に記述するだけの者もいました。データは扱いづらく、人為的ミスが発生しやすい傾向にあり、これは一時を争う我々にとり、非常に大きなネックとなっていました。ArcGIS デスクトップ製品の利用以前の状況と現在の状況を比較した際の相違点は、技術のあらゆる利点を駆使し、私たちが今や同じ情報を共有し合い同じ地点に立つことができているという点ではないかと思います。」

Boshart氏は、被災地に班員を送る前にGIS利用経験のないスタッフを訓練したと報告しています。班員たちは皆インターネットを介したデータ表示により近隣地域との情報共有を図り、建造物と主要インフラを識別し、被災地からデータを首尾よく集めてきては報告したのでした。

GISの専門家であるBoshart氏にとって、その価値は明らかです。「ArcPadの利便性からもご存知の通り、GIS技術を利用するために政府機関の人々が必ずしもそのソフトの専門家である必要はありません。無論、新しいことを学んでいる時間など、緊急時に持ち合わせている訳がないのですから。つまり、利便性こそが大差をつくるといっても過言ではありません。私は、この利便性こそが被災地で懸命に任務を遂行する班員たちへの確かな自信に繋がっていると実感しています。」

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掲載日

  • 2009年1月5日

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