事例 > GISで実現する適正課税

事例

GISで実現する適正課税

福島県相馬市

 

市の貴重財源である市税の賦課や徴収を行う税務課でどのようにしてGISが活用されているのか

福島県相馬市では、これまでの固定資産税に関わる日常業務にGISを導入することにより課税の大幅な正確化と効率化に成功した。

概要

fukusima-1
松川浦県立自然公園

福島県相馬市は、東北地方の南部、福島県浜通りの北部に位置する太平洋に面した都市で、市内には日本百景『松川浦県立自然公園」、日本の渚百選「大洲海岸」や桜の名所「馬陵公園」をはじめ、美しい自然や文化が残る貴重な財産を有している。

これらかけがえのない自然、歴史や文化などを次世代に伝えていくために必要な財源は、一部の補助金などを除いて基本的に市民からの税収に依拠している。市民からの貴重な税は、公平かつ適正に賦課及び徴収されるべきであり、どのようにこれを実現するかは市の税務課にとって大きな課題といえる。

相馬市総務部税務課では、固定資産税の管理業務にGISを導入することによって適正課税を実現している。地方税法上の固定資産とは、土地(田、畑、宅地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野その他の土地)、家屋(住家、店舗、工場、倉庫その他の建物)及び償却資産(土地及び家屋以外の事業用資産)が対象となり、これらが総務大臣の定める固定資産評価基準により評価、課税、そして徴収されるためには、所有者の申請に基づく情報以外に、課税主体である行政側が事実に基づいた正しい情報を把握し、これを管理する必要がある。

税務課のGISを活用したアプローチ

「私の最初のESRI製品との出会いのきっかけは10年ほど過去に遡ります。その頃は情報管理部門に属しており、税務課で紙面で管理していた地番図をデジタル化する業務を発注した際に磁気テープでデジタル化されたデータが納品されました。その後税務課に配属され、5年ほど前にshape形式のデータと共に納品されたArcView3xを使い始めたのが最初でした。ArcViewとMicrosoft Accessを使って、デジタルの地図から地目や地積を見られるようにデータ加工を行いました。課内での共有には無償の地図ビューワArcExplorerを使いました。」税務課に最初にArcViewを導入した当時を振り返る税務課・宮崎係長。

fukusima-2
航空写真による現況調査の実施

税務課では厳重な管理体制のもと、庁内に設置されたサーバマシンに土地・家屋課税台帳や地番図、家屋図、20cm高解像度の航空写真などのデータを格納している。家屋の課税資料となる家屋図は航空写真を元に作成されている。これらのデータはGISによって重ね合わせることができ、現況の把握に必要な情報を視覚的に捉えることができるようになっている。

家屋を新増築したり取り壊したりした場合、その翌年度からその土地や家屋の固定資産税が変更されるため、所有者は課税主体である市に届け出ることとなっているが、未届けの建築物などが多く見られるのが現状となっている。相馬市では、全ての土地や家屋について、現況と課税内容を一致させていくことを目的として、評価替え毎に地区を定めて、税務課職員がそれぞれ地区を分担し、航空写真と地番図、家屋図を重ね合わせて目視確認を行っており、必要に応じて職員による現地調査が行われる。新たに異動が判明した土地や家屋は、課税の対象となる。

活用される汎用GIS

また、相馬市の特徴的な取組みはGISを汎用的に利用している点である。宮崎係長は次のように語る。「うちでは業務特化型GISは使いません。これまでも別業務で業務特化型ソフトを使う機会がありましたが、どれも融通が利かない。GISは固定業務用ではなく、様々な業務に適用させることを考えて汎用的なArcViewを選択しました。ArcViewのような汎用GISならインストールした直後から使うことができますが、業務特化型GISでは仕様作りなどの調整を経て実際に使えるようになるまでに多くの時間と費用を要します。」

これまで、宮崎係長は税務課内だけではなく、市長室、産業部商工振興課、地域防災対策室などと連携して、必要なマップ作りにArcViewを活用している。

・市長室の航空写真
税務課で利用されている高解像度航空写真はA1幅3枚で出力され、パネル化されて市長室に掲示され意思決定に活用されている。

・相馬中核工業団地のPRマップ
企業誘致を目的としたPRマップ。航空写真に対象地域を囲ったマップは、パンフレットやイベントでのパネルや説明用資料として使われている。

・その他(防災訓練マップ、人口分布図)

fukusima-3

今後の取り組み:統合型GIS

「今年度はArcSDEを導入することができたので、これまでファイルベースで管理していたデータをRDBMSで効率的に利用することができます。今年度は課内でのデータ共有に着手し、来年度は、情報政策課と協力して土木系部署など庁内に点在する空間データや関連データをDBサーバに格納して様々な部署で利用できる統合型GISの仕組みを作っていきたいと思います。今は、まだGISは主に税務課でしか利用されていませんが、今後はGISの有効性を知っている税務課員が異動等で別部署に配属された先でGISが活用されればよいと思っています。」と語る宮崎係長。相馬市では、今後も改善に熱心な職員とGIS技術によって行政業務の課題解決が行われていくだろう。

fukusima-4

プロフィール


福島県相馬市総務部税務課課内メンバー
宮崎係長(左から2番目)



関連業種

関連製品

資料

掲載日

  • 2007年1月1日

Copyright© 2002-2019 Esri Japan Corporation. All rights reserved.
トップへ戻る