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火災ハザードマップ作成に向け熱帯泥炭地をモニタリング

東京農業大学 生産環境工学科

 

近年インドネシア カリマンタン島では森林・泥炭火災が多発し、森林面積が減少傾向にある。その要因として、エルニーニョ現象によって降雨量が減少し、地下水位が大幅に低下していることが挙げられる。

本研究では、火災ハザードマップ作成に向け、地下水位が低下している地域をリモートセンシング技術から推定する手法を探る。

カリマンタン島の森林火災の現状

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森林・泥炭火災の跡地 1997年発生

力リマンタン島には、熱帯泥炭湿地林が各地に存在し、その森林・泥炭地には多くの炭素が固定されている事で、世界の炭素貯蔵庫としての機能を担っている。しかし近年、この地域では森林火災による森林面積の減少が問題となっている。特に1997年、2002年、2006年のエルニーニョ現象発生時においては、乾季の降雨量が激減し、大規模な森林泥炭火災が頻発し、湿地林面積が大幅に減少した。国際湿地保全連合(2006)によると、2005年におけるこの地域の年間C02排出量は森林泥炭火災から14億t、その他微生物分解から6億tと、計20億tとも推定されており、日本の年間C02排出量13億tを超え、地球温暖化現象への影響が懸念されている。

衛星リモートセンシングの利用

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データロガーによる地価水位の現場観測

こうした広範囲に及ぶ火災発生を未然に防ぐためには、火災ハザードマップの作成が有効である。熱帯泥炭地においては地下水位の低下が火災発生の要因とされている事から、その地域を特定することで火災発生を広域的に推定する事が可能であると考えられる。しかし、交通整備が整っていないこの地域で現地実測のみによる解析を行うには多大な時間労力共に要し、現実的ではない。そこで、本研究では地下水位の変動が植生の活性度を示す植生指数(NDVI)に影響を与える事に着目した。これをリモートセンシング技術から衛星画像データを利用して算出し、現地観測された地下水位変動との関連性を解析することで、地下水位が大幅に低下している地域を推定する手法の開発を行った。

衛星画像データ及び解析手法

本研究では、ほぼ毎日の観測が可能であり、また加工済みのデータが容易に入手可能である事から、TERRA衛星に搭載されているMODISセンサを解析用データとして採用した。画像データは2006年4月から2007年12月までの期間を時系列で重ね合わせ、植生指数の変動傾向が同一の地域でISODATA法による集約分類を行った。次に、火災が多発している地域を対象として、現地観測された地下水位の変動傾向との関連について解析を行った。

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植生指数と地下水位の関連性

解析の結果、乾季(9月~11月)において、エルニーニョ現象が発生した2006年では地下水位の大幅な低下に対して、植生指数は地下水位が一定値を下回る事で急激に低下する傾向を示した。一方、ラニーニャ現象が発生した2007年では、乾季の降雨量が多く地下水位は前年ほど低下しなかったのに対し、植生指数も同様に急激な低下傾向を示さなかった。この結果より、植生指数の変動傾向から地下水位変動の推定が可能である事が示唆された。

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2006年4月~2007年12月の地下水位と植生指数変動の関係
地価水位観測地点:中央カリマンタン Kalamapangan 火災跡地

今後の展開

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フィールドワークに励む様子

現時点では、地下水位データのサンプリング数が非常に少ないため、今後、森林や草地等、より多くの地点で観測を行い、長期的な観測データの取得を行う必要がある。その上で、それらのデータを用いて推定精度の向上を図り、植生指数から地下水位変動の広域的な推定手法を確立する。また、実際に火災が発生した地域を衛星画像データとして取得し、火災発生地と地下水位が大幅に低下していると推定される地域との関連性を時系列で解析する事で火災ハザードマップ作成へと繋げる。

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掲載日

  • 2009年1月1日

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