クロスカントリー競技会場となる十日町市。
GISでマスコミ、選手、来場者ヘ十日町地域や競技コースをビジュアルにPR。
十日町市は新潟県南部に位置し、信濃川、清津峡、棚田、ブナ林に代表される緑豊かな森林など、四季折々にさまざまな表情を見せる美しい都市である。
本市は毎年の積雪が2mを超し、年間降水量の約半分が12月から3月に集中する圏内有数の豪雪都市である。この雪を利用し、毎年2月には「十日町雪まつり」が開催され、新潟県内はもとより全国各地から多くの方が来場し、大いに盛り上がる。
豪雪都市ならではの、冬の一大イベン卜である。
新潟県では、2007年から2009年の3ヵ年でスキーの三大全国大会が開催され、その中で十日町市は、クロスカントリー競技会場となる。
クロスカントリー競技は、ジ‘ャンプ競技とともにノルディック(Nordic)種目と呼ばれ、北欧を中心に発達した競技である。陸上競技の長距離のように持久性が要求される種目であるが、それ以外にもスキーテクニックや雪質に合わせたワックスの選択など、色々な場面で高度な技術が要求されるスポーツである。
会場となる十日町市吉田クロスカントリー競技場では、雪国の寒さを吹き飛ばし、見る者を熱くする熱戦が繰り広げられていく。
全日本スキー選手権(2007年2月開催)
男子15km、女子lOkmフリー競技の1シーン
記憶に新しい方も多いと思うが、十日町市は平成16年10月23日に発生した新潟県中越地震において、避難者約4万人、住宅損壊約1万4千棟という甚大な被害を受けた。この地震復旧支援の最中、GISが様々な場面で活躍し、GISの可能性が注目されるようになっていった。
「十日町市では、中越地震の時に消防本部を中心にGISが活躍し、その可能性を目の当たりにしました。文字・数字の羅列と違い、地図データを媒体とすることで、ビジュアル的要素が非常に高くなり、物事が非常に分かり易くなりました。百聞は一見に如かずとは正にこのことだなと、正直思いました。十日町市では、2007年から3年連続でスキーの全国大会を開催することが決まっていましたので、大会の中でGISを使って何かできないかと考えていました。丁度その時に、ESRIジャパンさんが自治体支援プログラムを募集していることを中央グループさんから教えて頂き、応募したわけです。」と語るのは井川係長。
十日町市の地域紹介やマスコミ・選手への会場・コース紹介などにGISが使えるのではないかと考えていたという。
自治体支援プログラムによって十日町市実行委員会では、ArcView9とArcGIS 3D Analystが利用できる環境が整っていた。
2007年の全日本スキー選手権大会を最初のターゲッ卜として、本大会における関係者・監督・選手への大会説明にGISを活用することを決めた。
「大会説明会でのコース説明と言えば、平面的な二次元地図で説明するのが普通でした。最初、選手・関係者は、何が始まるのだろうといった雰囲気で‘した。ArcGlobeで作成した3Dムービーを流し始めたところ、皆画面に釘付けになっていました。選手達が走る目線でムービーを作成しましたので、実際の雰囲気や起伏などがイメージし易かったのだと思います。コース説明一つ取っても、二次元地図とは違うアプ口ーチで説明できるのは、GISの魅力の一つですね。」と井川係長。
「2007年は全日本選手権を開催し、2008年は全国高等学校スキ一大会ですが、やはり何と言っても最大の目玉は2009年のトキめき新潟国体です。来場者数をはじめ、規模が違いますので、ドンドン十日町市をアピールしていきたいと考えています。全日本選手権では、選手・関係者への大会説明にはじめてGISを使いましたが、これは他のスキー大会を含めてはじめての試みだったと思います。この説明会一つ取っても、われわれのオリジナリティを出せたのではないかと感じています。国体ではコースの説明だけではなく、マスコミや来場者に十日町市をアピールできる何かをGISで作って行きたいと考えています。2009年はすぐやってきます。国体を盛り上げ、成功させることが我々の使命です。」と井川係長は、国体成功に向けての熱い思いを最後に語った。この熱意で取り組んでいる限り、きっと国体は成功するであろう。