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神戸市地域における博物館、高校、小学校、市民の交流

兵庫県立人と自然の博物館、兵庫県立尼崎小田高等学校

 

GIS を通じて結びついた他世代交流で築かれた地域を見つめる枠組み。

博物館の研究員の指導によりGIS の利用技術を身に付けた高校生が自ら調査した環境観測データを分布図にまとめ上げた。同じ地域の小学生に地域の環境問題を伝達することで、自分たちが暮らす地域への理解を一層深めている。

兵庫県の神戸市、三田市地域でGISを通じた博物館、高校、小学校、市民のユニークな交流が行われている。GISの構成要素としての人、ソフトウェア、データ、利用技術を参加者それぞれが提供、連携、協力することで、自分たちが暮らす地域の実態をより深く知り、理解する機会が生まれている。

「一般的には高校生と小学生、この2つの世代間はあまり交流がありません。この地域では、高校生が自ら調査した環境データをGISでまとめ、地図で表現して小学生に地域の環境問題を伝えるという交流が行われています」と語るのは、兵庫県立人と自然の博物館の宮崎ひろ志研究員。

「メディアによる加工された情報ではなく、自ら体験したことから情報を得ることが重要であり、情報を受信するだけでなく発信することも大切。情報活用能力を身に付け生きる力を育むのにGISは有効な道具である」と当時、兵庫県立神戸甲北高等学校で高校生を指導した中西敏昭教諭(現、県立尼崎小田高等学校)は語る。2002年の中西氏と宮崎氏の出会いから、GISを通じた博物館と高校との交流が行われ、新しい展開がはじまった。

1975年から継続している高校でのデータ収集

中西氏の高校での地域環境の調査、データ収集は約30年前まで遡る。1975年、セイヨウタンポポとカンサイタンポポの分布の調査、整理が中西氏の指導で開始された。国土地理院の地形図を緯度・経度をもとに等分割したメッシュに、生徒が自宅近辺で調査したタンポポの調査データをメッシュ単位で集計した。この調査は2001年までの26年間継続して行われた。1992年からは酸性雨、1995年からはNOx(窒素酸化物)の調査も開始されている。酸性雨、NOxの調査は神戸市内の6高校(神戸高校、長田高校、兵庫高校、六甲アイランド高校、神戸甲北高校など)で協力して実施されている。これらのデータは紙の地図や中西氏自作のVisual Basicで開発したソフトウェアでまとめられ、表示された。

GISの導入、利用技術の移転

神戸甲北高校、神戸高校は、収集した多くの情報を整理して活用するために、データ管理、検索、表示、分類などの機能を標準で備えるGISの導入を決めた。ソフトウェアはESRIジャパンの教育支援プログラムに応募し導入した。

初めて触れるGISソフトウェアを教員や高校生が、データの管理、表現のツールとして使用するためには、やはり利用技術の習得が壁となった。しかし、この課題も地域内の交流による宮崎氏の支援、協力で解決されることとなる。

宮崎氏は、1992年に研究にGISを導入し、10年以上、データ管理、分析、表現など様々な目的にGISを利用している。ヒートアイランドをはじめとする専門の環境分野の研究を通じてGISの利用技術を習得されてきた。

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宮崎氏が講師を担当するGIS講習会が4つの高校(兵庫高校、神戸甲北高校、神戸高校、尼崎小田高校)で開かれ、ExcelのシートにまとめられたデータをGISで地図上に展開するなどの基本的なスキルが参加者に伝達された。

 

GISを使った気温測定

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自ら調査した気温測定データを
GISでまとめる高校生

計測に実験を伴う酸性雨、NOx等よりも手軽に計測でき、近年の重要課題である地球温暖化やヒートアイランドなどを身近な地域から考え、行動するきっかけになることの期待から2003年7月末からは、小学生でも計測できるデータとして高校生による身近な地域の気温測定が開始された。気温測定は牛乳パックで自作した簡易百葉箱を用いて行われ、結果はGISで整理された。

また小学生、中学生も参加できるように、㈱パスコの協力により、インターネット上から直接気温データを入力できる環境も構築された。

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神戸市内のヒートアイランド
を示すマップ

国土地理院の地図閲覧サイトなどで調べた調査地点の緯度、経度とセットで測定データを記録した。XY座標値付きのデータからポイントデータを作成するGISの機能を利用し、神戸市の地図上に重ね合せた。自分たちが収集したデータから神戸市内のヒートアイランドが確認でき、緑地や六甲山の影響なども考察も行うことができた。

 

市民への発表

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10月25にはKOBEエコ市民フェスタ(神戸市ほか主催)で神戸甲北高校の生徒による発表が行われた。熱帯夜数、百葉箱の計測温度の空間分布など地図による分かりやすい表現で示され、8月の神戸市内の気温の状況が市民に伝達され共有、理解された。

 

小学生への授業

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翌2004年2月25日には、神戸甲北高校と神戸高校の生徒が神戸市立成徳小学校を訪問し、GISで作成した地図を用いて4年生に地球温暖化などの説明が行われた。高校生にとっては自分で調査した結果を人にわかりやすく伝える情報発信の貴重な機会になり、小学生にとっては地域の環境を知って考える機会となった。
神戸地域では地域を共有する社会人、高校生、小学生がGISを通じて結びつき、交流することで地域をより深く理解する枠組みが構築されている。

 

プロフィール


(左)兵庫県立人と自然の博物館
(右)兵庫県立尼崎小田高等学校



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掲載日

  • 2005年1月1日

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