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事例

新鮮かつ精度の高い地図データを効率的に作成できる環境を実現

インクリメントP株式会社 東北開発センター

 

ArcGIS を活用したカーナビゲーション地図データ編集システム

カーナビ用地図ソフト開発及びインターネット地図閲覧サービスのトップの座をひた走るインクリメントP株式会社。同社では、現実世界の変化にスピーディーに対応し、かつ生産性の向上を実現するために約10年間使用してきた社内地図編集システム及び地図データベースを再構築する新DBシステム開発プロジェクトチームをスタートさせた。

開発コンセプト

同社が新DBシステム開発プロジェクトをスタートした背景には、激しい競争が繰り広げられるカーナビ業界やインターネット地図閲覧サービス市場で勝ち続けるために、新鮮かつ精度の高い地図データを、迅速且つ効率的に作成できる環境を実現する必要があったことが挙げられる。

同社のデータ生産の中心は岩手県盛岡市にある東北開発センターで、常時100人以上のスタッフでデータ更新を行っている。表示地図データ・道路ネットワークデータなど各種データの更新量は、一日あたり約50万レコードにも及ぶ。従来の地図編集システムは既に10年近く経過しており、同社の高度な要求に対応できなくなりつつあった。

新システム開発において最初に実現すべきことは、従来のファイルベースから、複数同時編集が可能な一元化されたデータベースを構築することであった。ファイルベースのシステムを一元化されたデータベースで集中管理することで、一つのデータベースから多種類の製品生産を可能にする。このことにより、お客様の望む製品を迅速に出していくことができる。もう一つは、これまでの自社開発システムから業界標準の商用パッケージ(COTS:Commercial off-the-shelf)ソフトウェアをカスタマイズしたシステムにシフトし、コスト削減と柔軟なバージョンアップに対応することであった。

データベース構築と編集システム開発

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編集風景

新システムプロジェクトは、データベース構築と編集システム開発の二本立てで進められた。

一元化された集中データベースで実現しなければならない機能は、以下の三点が挙げられる。

  1. 日本全国のシームレス化
  2. 高度なデータモデル
  3. ハイパフォーマンスな複数同時編集

データベース構築は、従来の図郭単位のファイル全てを日本全国シームレス化し、ArcSDEに格納することから始められた。格納されたデータベースをハイパフォーマンスで同時編集するためには、最適なデータモデルの構築が必要不可欠であった。新システムのデータベースでは、約60のレイヤが約30の関連テーブルとともに3つのデータベースインスタンス上で管理されている。これらの複雑なデータを編集しつつ、ハイパフォーマンスな複数同時編集を実現するために何度も議論を重ね、最適なデータモデルを実現した。

データベース構築と同時並行で編集システムの開発も進められた。編集システムの開発において求められた要件は、開発の容易性であった。ArcGISは、IT標準技術とオープンプラットフォームに徹底的に準拠している。このことが、編集システム開発及びサーバ環境構築において様々な選択肢を提供することを可能にした。

同社では、更新ボリュームの大小はあるが、ほぼ毎月データをリリースしている。2003年6月に新システムは本格稼動を開始し、2003年10月に新システムによって作成された地図データが初めて世に送り出された。

システム構成

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システム構成図

新システムの構成は、以下の通りである。

データベース構成(3サーバー)

ソフトウェア

ハードウェア

パフォーマンス

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サーバルーム

全事業所への新システム導入を進め、全社会的なシステム統合を目指し、躍進中

同社は現在、ArcGIS 8 ベースで開発された新システムをArcGIS 9 ベースへ移行する作業を続けている。

また、同社は東北開発センター以外に、中国・上海にも地図データ入力を行う子会社を持つ。ArcGIS 9 への移行作業と並行して、本社(東京)及びインクリメントP上海への新システム導入を行っている。これら他事業所へ新システムが導入されることで、共通システムでのデータ編集や、他事業所からも編集中の最新のデータ参照が可能となるため、後工程や周辺作業の効率アップ及びコスト削減が期待できる。

プロフィール


上段:左より 菊池氏、白石氏、森氏。下段:左より 米澤マネージャー、四戸岸マネージャー、古川氏



関連業種

関連製品

資料

掲載日

  • 2005年1月1日