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行政機関・個人から提供される空間データ・サービスをワンストップで入手

米国連邦政府

 

Geospatial One-Stop ポータル – 米国連邦政府のGIS ポータル –

Geospatial One-Stopポータルは、行政業務・サービスの向上、政策立案サポートを目的に2003年6月30日に公開された。空間データを必要とする行政機関及び個人がより迅速に、より低コストに各機関の空間データを利用できる環境を実現。

Geospatial One-Stop ポータルのビジョン

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行政管理予算局の統括のもとに構築されたGeospatial One-Stopポータル(以下、GOS)は、インターネットを中心とするIT技術の活用による行政サービスの向上、ITシステムの整理・統合、複数機関によるIT施策の共同推進等の取り組みを通じ、住民が行政情報・サービスを利用する際の利便性向上と行政運営の効率化を図ることを目的とした24の電子政府イニシアティブの一つである。

電子政府イニシアティブにおける本土防衛とその他の危機への対応は、どれだけ迅速かつ簡単に空間データにアクセスできるかにかかっている。連邦政府が緊急な決定に際し、環境を壊さず、かつ共同で利用可能なものを供給できるのがポータルの役目である。その役目を早期に果たすため、早急に構築されなければならなかった。GOSチームは、ポータル構築においてまず始めにビジョンの定義を行った。GOSは、インターネットをベースとして、政府機関が空間情報を包括的に利用できるようにするものである。また、ポータルとして連邦政府や州政府における政策決定を支援する各種サービスへの最初のアクセスポイントとする。

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GOSのビジョンは以下の通りである。

  1. 連邦政府、州政府などの所有するデータと利用者を結びつけるネットワークにする
  2. 空間データを作成し、活動を活性化する
  3. マップサービスと問題解決型アプリケーションを提供する
  4. 標準準拠
  
  
  

Geospatial One-Stop ポータルの開発

ESRI社は、高い操作性を提供できるポータル構築テクノロジーとサポート能力の評価から開発企業に選定され、おおよそ8週間でGOSを完成させた。商用パッケージ(COTS:Commercial off-the-shelf)ソフトウェアであるArcGISにより構築し、標準をベースとするオープンな本ポータルは、高いセキュリティと24時間365日の高い可用性を提供している。本ポータルは、標準準拠であるため様々な空間データやサービスとも相互運用可能なようにデザインされている。GOSの開発にあたり、ESRI社は、OGC(Open GIS Consortium)、ISO(International Organization for Standardization)、FGDC(Federal Geographic Data Committee)の各GIS標準と、ITにおけるWebサービス標準への対応に細心の注意を払った。その結果、GOSでは、各ソフトウェアベンダーの15種類以上のビューワをサポートしている。

ハリケーンイザベル 上陸!

2003年9月16日にノースカロライナ州のアウターバンクに上陸したハリケーンイザベルではGOSのポータルとしての効果が如何なく発揮された。GOSは、政府と市民の所有する空間情報を簡単、早く、そして安価に提供することで政策決定を瞬時にサポートするものである。GOSが提供するサービスでは、メタデータを基に必要な地図データ・Webサービスを簡単に検索し、地図成果物を直ぐに作成できる。ハリケーンイザベルが、米国西海岸に接近してきたとき、米国内のGISコミュニティのメンバー200人は、GOSに一つの問題定義を行った。「geodata.govを通して、皆が協力し、イザベルに対処しようではないか。」と。このネットワークを通じて24時間以内に連邦政府、州政府、私設団体、個人が団結した。ESRI社は、ホスティングサービスを提供し、各団体よりイザベルに関連のあるURLの提供を受け、地図データとサービスをGOSに公開した。これにより2003年9月18日には10以上の利用可能なサービスがそろった。GISコミュニティは、データシェアリングを行い、リアルタイムサービスで対応した。GOSに参加した組織は、Federal Geographic Data Committee(FGDC)、National Oceanic and Atmospheric Administration(NOAA)、National Aeronautics and Space Administration(NASA)、 United States Geological Survey(USGS)、Department of Homeland Security(DHS)、Department of Housing and UrbanDevelopment(HUD)、統計局や各州政府、地方自治体及び個人であった。

ポータル利用者は、ナショナルウェザーサービスから提供されるイザベルの軌跡情報、モデリング、河川情報へのアクセスおよび衛星データ、更新された警戒地域の地図データ、危険箇所データ、気象データなどを利用することができた。

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GISコミュニティのメンバーは、GOSを通してデータを共有し、イザベルに対処するために一緒に働いた。
連邦政府のGISコーディネーターの役割は、イザベルに対処するために作られたデータと膨大な既存のデータをきちんとメンバーに公開することであった。

連邦政府、州政府や他団体・個人がお互い信頼できるネットワークで結ばれていることがGOSを長期にわたり成功させるためのポイントとなる。これらの団体が、お互いのデータや技術をシェアしておけば、今回のような自然災害が起こった場合でも素早く対応することができる。災害発生、対応、修復という一連の作業に迅速に対応していくためには、地図サービスが必要となる。災害が発生する前に地図サービスを提供できる体制を整えておくことが重要である。

Geospatial One-Stopは国民のためにGIS

ハリケーンイザベルでGOSの効果は証明された。重要なことは、GOSは現況把握と政策決定において明確に対処できたことである。GOSは、国民のためのGIS基盤であり財産である。政策立案、本土防衛、行政サービスなど地図データが必要な場面において、誰でも簡単に地図データを取得できる機会を提供する。

本事例は、下記を参考に作成しました。
◆Federal GIS. Connections ESRI・Fall2003
http://www.esri.com/library/reprints/pdfs/gos-portal.pdf
◆Federal GIS. Connections ESRI・Winter2003
http://www.esri.com/library/reprints/pdfs/gos-hurricane.pdf

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掲載日

  • 2005年1月1日