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BirdBase -アジアの鳥類分布データベース-

科学技術振興機構、北海道環境科学研究センター

 

アジア地域における鳥類の分布データをArcIMS で公開

BirdBase(アジアの鳥類分布データベース)は、これまで環境省をはじめとする複数機関で分散して管理していた鳥類データを横断的に検索することを可能にした鳥類分布データベースである。

BirdBaseとは?

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BirdBase(アジアの鳥類分布データベース)は、環境省、財団法人日本野鳥の会、バードライフ・インターナショナルの協力を得て、独立行政法人科学技術振興機構(JST)と北海道環境科学研究センターの共同で開発した、アジアの鳥類分布データベースであり、2003年10月に公開された。

本データベースでは、絶滅危惧鳥類約240種を含むアジア地域における鳥類の分布データ約40万件(約850種、観察地域130,000点)を収録している。アジアの特に重要な自然環境地域と鳥類についての他に類のない豊富なデータを提供するというだけでなく、自然保護計画立案のための基礎データとしての利用ができる、WebGISソフトを使用した鳥類分布データの3種の検索(種名、地域別、生息地別)と資料のキーワード検索が可能である。

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また、調査グループが鳥類分布観測データを入力するためのスタンドアローンで稼動する入力支援ツールを提供し、入力された複数グループの観察データを収集統合することを今後予定している。これにより調査者同士の観測データの交換が可能であり、今後も年間約5,000件づつのデータ更新を予定している。

世界トップ水準のデータ量を誇る!

BirdBaseの一番の特徴は、環境省を始めとする4機関がこれまでばらばらに管理していた各データを統合したことである。「これほどの野鳥データベースは、世界にも例がないように思う。また、これだけ多くのデータをこの速さで提供できるのは、ArcIMSのひとつの持ち味ではないかと思う。」と語るのは、北海道環境科学研究センター 高田環境GIS科長。

システム構成

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本システムは、独立行政法人科学技術振興機構(JST)と北海道環境科学研究センターの共同で2000年10月から2003年10月の3年間で開発が行われた。

膨大なデータを登録するデータベースソフトには Oracle 9iを、WebGISのエンジンにはArcIMS 4.0を採用した。

どんなことができる?

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本システムでは、豊富なデータベースを元に各種検索機能が用意されており、鳥類の分布や生息地の情報を簡単な操作で見ることができる。

機能

下図は、種名検索で「ヤマゲラ」と「アオゲラ」の検索を行った結果である。ヤマゲラとアオゲラは、容姿が非常に似ているが、ヤマゲラは日本では北海道だけに生息し、一方のアオゲラは本州にしか見られない。種名検索の結果、見事に津軽海峡を境に本州と北海道ではっきりと生息が分かれていることが分かる。

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この他にも、渡り鳥が季節によりどこに生息しているのかを時系列で検索することができる機能や、生息地の情報を一覧として見ることができる機能などを備えている。

今後の計画

本データベースは、これまで各組織がそれぞれ所有していた情報を統合することが第一目的であったが、今後は個人またはユーザグループによるデータ共有という参加型データベースにしていくことを第二の柱としている。

現在、参加型データベースを実現するために「BirdBase for Windows」という無償ソフトウェアを開発中である。このソフトウェアが普及すれば、個人やグループという小単位で収集したデータも「BirdBase」というインフラを通して広く共有することができるようになっていく。

今後は、自然保護計画担当者による計画/施策立案や研究者による予備調査、比較分析など高度な利用だけでなく、学校教育の場で子供たちが野鳥を通して身近な自然とアジアの繋がりを学習したり、野鳥に関心がある人々が気軽に活用できるようなシステムに発展していくことができればと考えている。

プロフィール


カワセミ
全国の標高が比較的低い河川、湖沼、湿地、小川、
用水などの水辺に広く分布する。
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掲載日

  • 2005年1月1日