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漁船の追跡システムでEUの共通漁業政策をサポート

クロアチア 水産省

 

漁船モニタリングシステムで漁業資源の減少をくいとめる

2013_クロアチア水産省_1

魚類資源量が減少傾向にあるEUでは漁業は継続的なものであり、未来の世代に向けた漁業資源量を脅かさないという長期的目標を設定している。EUの共通漁業政策(CFP:Common Fisheries Policy)は、EUの漁業従事者が資源の減少危機にどの様に立ち向かい、解決に向けた対策を取っているかの調査・評価を目的としている。同政策により立ち上がった委員会の調査によると、漁業資源量の減少の主な原因は魚類の乱獲であり、乱獲を引き起こしている原因は、漁船の漁獲性能が向上したことにより、漁獲量が大幅に上昇していることである。

この問題への解決策として委員会は、重量、性能、トロール網などに規制をかけるなど、漁船に基準を設けることで漁獲力を下げることを推奨した。その他には、漁獲割当量、漁獲規制期間、稚魚生息域での漁獲規制などを設けることで、漁業資源量の安定化を促進している。2010年にはEUに加盟している27ヶ国で83,796もの漁船が登録されているが、漁船の追跡と水揚げのモニタリングは、漁業従事者側と実施側の双方にとって重圧であり、実際にこの規制が実施されるのは難しいものであった。しかし、幸いにも漁業における問題に対して、効率的にGISを活用しているクロアチアが、遠からずEUの加盟国に加わる予定である。

クロアチアの水産省は、Esri社のクロアチアでのディストリビューターであるGDi GISDATA LLCに、GISを利用したシステムを漁業用に構築することを依頼した。同社は漁船モニタリングシステム(VMS:Vessel Monitoring System)を開発し、水産省は260もの漁船を特定、そして追跡するために利用している。取得したデータで活動状況の把握をし、法的処置の際の証拠として扱っている。

漁船モニタリングシステムを構成する中核のコンポーネントは、水産省のデータベース、追跡機器、そして、ArcGISである。水産省内部、港湾事務所、もしくは船上であっても、調査員はGISを利用して漁船を追跡し、オーナー情報、漁船情報、そして、連携している9種のデータベースから様々な情報を入手する事が可能となっている。

船員登録データベースは、ID番号、所有者情報、漁業ライセンス、そして、大きさ、長さ、性能、設置器具などの漁船情報を格納している。クロアチアの漁船登録においては、EUの規制に沿った形で、船のライフサイクルを監視、そして記録しており、漁船情報は日々関連して起こった出来事が記録されるため、データベースには常に最新の情報が記録されている。

捕獲データベースは、漁業事業者が行う審査情報を格納し、捕獲の詳細、捕獲努力量そして、捕獲を断念した量を格納している。調査員はこれらのデータベースを、日付、地域単位、魚の種類、漁業機器、船の特徴、長さ、重さなどフィルターをかけて閲覧することができ、これにより、漁獲性能と漁船1隻あたりの漁獲可能量の関係を鮮明にイメージ出来るのである。

需要データベースは、捕獲データベースとの比較に利用され、不均一な部分を明らかにする。軽油データベースは、漁船の軽油消費量を監視する。その他のデータベースは、マリンスポーツなどの運営情報を格納している。

 全ての漁船の位置を示した俯瞰地図

全ての漁船の位置を示した俯瞰地図

 

漁船モニタリングシステムは、データを取得、送信、編集、処理するためにも利用されている。14メートルを越える大型漁船は船内に追跡機器を設置しており、イリジウム衛星(SAT)とGPRS(General Packet Radio Service)を介して、同システムのデータベースに配信される。GPRSは約14分毎、そしてイリジウム衛星は2時間毎に、位置、速度、進行方向、バッテリー状況などの、漁船の最新情報を更新する。漁船モニタリングシステムは、ArcGIS for ServerArcGIS API for JavaScriptで開発されており、漁船から送られてくる更新データは、Microsoft SQL Serverに格納されている。

このシステムの特徴は、過去と現在のデータを利用でき、更にはWebGISの機能により、取得した最新の漁船の位置情報、一定期間の漁船位置の一覧、漁船の移動方向等の統計データなどを利用して、航路や燃料消費量の分析をすることが出来ところである。そして、背景のレイヤはラスタ、もしくはベクタ形式での表示を選択でき、レポートを作成する機能も備わっている。クロアチアでは、GISを基礎に開発された漁船モニタリングシステムが、未来の漁業環境を改善するために活かされており、EUでもGISを利用した漁業環境改善に向けた取り組みが活発化している。

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掲載日

  • 2013年3月26日

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