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事例

Microsoft と ArcGIS の連携によるインフラ計画戦略

米国コネチカット州運輸省

 

インフラ事業の計画から実施までのあらゆる情報への
直感的なアクセスの実現で生産性を向上

ArcGIS を基盤とした GIS プラットフォームの特徴

  • インフラプロジェクトにかかわる多様なデータの一元管理
  • マップを通じて過去を含むプロジェクトのデータへの容易なアクセスが可能に

概要

米国コネチカット州運輸省(以下、CTDOT)は、Esri の GIS 技術と Microsoft 社の製品を組み合わせて、インフラプロジェクトの計画と実施方法の革新に取り組んでいる。この取り組みは、デジタル・デリバリーと呼ばれるインフラ事業での設計と建設プロセスのデジタル化の一環で、プロジェクトデータの管理と情報のライフサイクル全体の効率化を目指している。この中で、BIM for Infrastructure (BIMfi) の概念が採用され、それにより設計や建設時に生成されたデータが運用やメンテナンスでも活用されている。CTDOT は、デジタル変革(DX)としてプロジェクトに関連する橋梁やガードレールなどをはじめとした資産すべての記録をデジタル化し、共通のデータ環境を構築した。これにより、インフラプロジェクトにおいて高い効率性、改善された設計結果、コスト削減が期待されている。

課題


COMPASS

これまでのインフラプロジェクトでは、多くの関係機関が関わるため、単一プロジェクトからプロジェクト全体にわたる調査、設計、GIS、建設管理、検査ファイルなどのさまざまなデータを管理する仕組みが独自に作成されることが多かった。そのため、それらのデータを将来のプロジェクトで活用できるようにすることが課題であった。

・ データ管理の効率化
単一プロジェクトだけでなく、プロジェクト全体にわたるさまざまなデータを履歴付きで管理・格納できるリポジトリを作成し、将来のプロジェクトで再利用できるようにする必要があった。

・ デジタル化の遂行
設備等の資産に関連する記録をデジタルで統合することが求められた。これには、異なる時代や起源の記録をアクセス可能な形式にまとめる必要があった。

ArcGIS 採用の理由

ArcGIS 製品が採用された主な理由は、以下の 3 点である。

・ データの統合と可視化
ArcGIS は、異なるソースからの複雑なデータを統合し、マップ上に表示することで、直感的に理解しやすい形で可視化することができる。

・ 地理情報システムの強力な機能
GIS データの管理、分析、表示のための強力なツールが用意されているため、地理空間データへの深い理解と、その利用を可能にする。

・ 拡張性と柔軟性
ArcGIS は拡張性が高く、さまざまなビジネスニーズやプロジェクト要件に合わせた連携とカスタマイズが可能である。

これらの理由から、CTDOT は ArcGIS を選択し、インフラプロジェクトの計画と実施において効率的なデータ管理とプロセスの改善に取り組んだ。

課題解決手法

CTDOT では、約 700 の進行中のプロジェクトを管理しており、そのうち約 150 が建設フェーズに進んでいる。プロジェクトの資産情報から許可申請などのドキュメントの各種データは ArcGIS と Microsoft 製品で構築された COMPASS というデータ統合システムで管理している。

・ データリポジトリの整理
CTDOT のプロジェクトのデータは、Microsoft SharePoint(以下、SharePoint)によって整理され、ArcGIS Experience Builder で構築されたアプリを通じて、プロジェクトの場所や周辺状況の可視化・空間分析が行われる。COMPASS を構成する ATLAS と呼ばれる ArcGIS ベースのシステムは、各種プロジェクトと各種データの関連性を整理・管理することで、SharePoint に格納されたデータにマップ上から直感的にアクセスし利用可能なインターフェイスを用意している。

・ データの格納
COMPASS には約 1 万のプロジェクトデータが管理されている。1920 年代の計画情報や、100 年以上前の橋の情報も含まれている。これらの情報は 5 年かけてデジタル化され、COMPASS に統合され、簡単にアクセスできるようになった。

・ プロジェクト情報の迅速な取得
COMPASS の利用者は、プロジェクト開発者、設計・サポートエンジニア、プランナー、設備管理担当など多岐にわたる。利用者ごとに適切に権限管理され、プロジェクトの詳細な資料や設計、位置、現在の活動状況の情報を迅速に取得できる。

効果

適切な権限を持つユーザーは、ArcGISとSharePoint を通じて、プロジェクトの詳細、場所に関わる情報、現在の活動状況への迅速なアクセスと利用が可能になった。

この取り組みにおける主な成果として、

効率的なデータ管理:過去および現在のプロジェクトデータが一元化され、それらのデータへのアクセスのインターフェイスが整備されたことで、CTDOT 内の関係者やコンサルタント、自治体、計画機関が効率的なデータ活用と情報共有が可能となった。

コスト削減:COMPASS の導入により、必要なデータの検索やデータを使用するための時間が大幅に削減された。また、インフラの運用・維持に関する資産管理が最適化され過剰なコストの削減に寄与した。

プロジェクトデータの再利用:プロジェクト開発者、設計エンジニア、計画者などが必要な過去の情報を一つのアプリケーションで簡単に取得できるようになったため、以前に比べて情報収集の労力が大幅に削減された。

これらの成果により、インフラプロジェクトの計画と実施において大きな進歩を遂げた。


各設備に関する情報へのアクセス

今後の展望

CTDOT は、COMPASS のさらなる機能拡張を計画している。COMPASS を通じてデジタル変革を進めることで、効率的で持続可能なインフラ管理に貢献できることを期待している。


プロジェクト内の信号機やガードレールなどの設備

プロフィール



関連業種

関連製品

資料

掲載日

  • 2024年1月29日