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事例

関東大震災 100 年を契機とした復興デジタルアーカイブ

東京都都市整備局

 

復興と防災の歴史を地図で辿る
東京都による革新的な取り組み

課題

導入効果

概要

2023 年(令和 5 年)は関東大震災発生から 100 年の節目の年である。東京都では国や関係自治体、庁内の関係局と連携し、切れ目なく各種イベントの開催やコンテンツの作成等を実施し一体的な広報活動を行うことで都民や事業者等の防災意識向上を図っている。都市整備局ではその一環として、震災被害、復興まちづくり、そして現在の防災都市づくりの取り組みを、動画や復興デジタルアーカイブとして取りまとめて分かりやすく発信することで、復興まちづくり、防災都市づくりへの意識啓発につなげていくこととした。

都市整備局は貴重な写真や動画を収集し、GIS 上でアクセス可能なデジタルアーカイブを制作した。このアーカイブには、震災時と復興時の写真と映像が含まれ、地図上の特定の場所と関連付けた解説が加えられている。公開後は多くのアクセスがあり、防災都市づくりの重要性についての理解が深まったとのフィードバックがあった。

課題

関東大震災の被災時や復興時等の貴重なモノクロ写真・動画が、東京都江戸東京博物館などの複数の関係機関に所蔵されているが、これらの写真等は各所蔵元で限定的に公開されるため、都民の目に触れる機会が少ない。また被災時や復興時の写真・動画等はどこで撮られたのか、またそれらの背景となる各時代の詳細な状況についての説明がなく、都民が写真等を閲覧してもその内容の理解が深まらない。

今回制作したデジタルアーカイブは震災・復興当時の貴重な写真等を収集した上で、これらを GIS 上に表示し解説等を加えることで、誰もが分かりやすく関東大震災の被害・復興への理解を深められる内容とすることを目指した。さらに、関東大震災からの復興まちづくりと、現在の防災都市づくりの取り組みを横並びで比較できるようにし、災害に強いまちづくりの重要性や、現在の取り組みに対する理解が深まる構成が望ましいと考えた。加えて、システムは誰でもアクセスできるようにするため、Web 上で活用できるシステムである必要があった。

ArcGIS 採用の理由

関東大震災 100 年の取り組みに係る復興まちづくり動画、復興デジタルアーカイブ制作については、株式会社オリエンタルコンサルタンツに業務委託を行った。同社は、以下の要件を鑑み、日本国内の官公庁でも運用実績が多いクラウドサービスである ArcGIS Online が最適と判断し採用に至った。

また、ノーコードでのサイト構築が短期間で可能なことも決め手となった。

課題解決手法

都市整備局では、デジタルアーカイブ制作のため、2023 年 1 月から「東京都江戸東京博物館」「東京都復興記念館」「国立映画アーカイブ」等に照会を行い、震災当時の写真や動画等の資料収集を行った。個別の写真・動画に対して、撮影時期、場所、どのような状況下での撮影だったのか、その他版権等を整理し、コンテンツのデータベースの作成を行った。当初収集したコンテンツが 5,000 点を超える膨大な数であったため、課内でプロジェクトチームを組み、役割分担をしてデータの整理を行った。

2023 年の新年度初頭から 4 か月の期間で、ArcGIS を活用したシステム構築を行い、7 月に都市整備局の Web サイトで公開した。震災被害、復興、防災都市づくりの取り組みについて各時代の GIS データを用意し、利用者は地図上を鳥瞰的にスムーズに移動できるとともに、地図上のアイコンをクリックすることにより写真・動画の内容を楽しめる分かりやすい構成を実現した。また、同一地点で 3 つの時代の変遷が分かるように写真を比較できる「ヒストリー」や、各時代の背景をより詳細に利用者に知ってもらうため、各時代の出来事やまちづくりのポイントを分かりやすく解説する「解説プレート」をツールとして用意し、利用者が理解を深められるような工夫を行った。

また、株式会社オリエンタルコンサルタンツの奥村氏は「地図情報と写真や動画などのコンテンツとの連携に留まらず、利用者が楽しめる多様な機能を盛り込んだ Web GIS が、レスポンスが良く、スムーズに動くことにあらためて驚きました」、「これだけのクオリティのサイトがノーコードで、しかも短期間で構築できたのは ArcGIS Online ならではと思います。サイトデザインを担当した株式会社東北新社様や、ESRIジャパン株式会社様との連携がうまく機能しました」と語った。

効果

都市整備局のホームページでの公開後、その閲覧回数は、同年の 11 月末時点で 15,000 回以上におよび、PC やスマホからの視聴を通じて、震災当時、復興まちづくりや現在の東京都の防災都市づくりに対する理解が深まっていると考えられる。

また、新宿駅西口広場で開催された防災まちづくり展示会でデモンストレーションを行った。イベントに来場した方にはアーカイブを実際に操作し、ご自身の住まいの場所を地図上で見てもらい、震災当時や現在の防災都市づくりの状況を確認してもらう中で、防災都市づくりの重要性について理解が深まったというコメントがあった。

さらに、以下のような新聞・TV等のメディアでも紹介された。

▶テレビ

▶新聞等


復興デジタルアーカイブ 復興まちづくり編


復興デジタルアーカイブ 防災都市づくり編

今後の展望

本デジタルアーカイブは関東大震災 100 年の取り組みで制作されたものであり、永続的に更新していくシステムではないが、本コンテンツの制作・公開を通じて、東京都の防災都市づくりの取り組みを地図上に視覚化し、都民に分かりやすく伝える方法として ArcGIS のシステムが効果的であることを確認できたことから、関係部署と連携する中で次の展開を考えていきたい。

※スクリーンショットおよびロゴは東京都都市整備局ホームページより引用

プロフィール


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関連業種

関連製品

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組織名 株式会社東北新社
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資料

掲載日

  • 2024年1月29日