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事例

社内 GIS 技術力の底上げ

株式会社オリエンタルコンサルタンツ

 

独自の GIS 検定制度、社内の GIS ノウハウ共有の
基盤整備で GIS に強い企業に!

概要

全国に事業を展開している大手総合建設コンサルタントの株式会社オリエンタルコンサルタンツは 1957 年に創業して以来、社会の成長とともに時代のニーズに応え続けている。

同社は社会インフラ整備に携わる企業として「安全、安心、快適、活力」という価値を絶え間なく提供してきた。そしてさらに魅力がある持続可能な社会を創造するため、国や地域と高い信頼関係を築きながら、社会に価値をもたらす企業になることを目指している。

社会インフラ整備に関連する 7 事業・ 21 分野を手掛ける中で以前から GIS を活用していたが、社員の技術力や提案力を上げるべく、社内全体の GIS 技術力の向上を図っている。

課題

発注者に対してより高度な提案をしていくには GIS が不可欠であると経営層が判断したが、GIS を扱うことができる人材が社内では限られていた。

社内では GIS を以前から使用していたが、社員間で GIS の技術レベルに偏りがあり、社内全体の GIS 技術レベルを底上げさせる取り組みを検討していた。

ArcGIS 活用の経緯

同社は長らく ArcGIS を業務で使用してきており、現在は社内のほとんどの分野で活用が進んでいる。砂防分野では航空レーザー計測を用いた地形解析や立体可視画像の作成、土砂移動量の算出を行っている。また高精度のレーザーデータから算出した地形量と数値計算を組み合わせた土砂移動危険箇所の抽出作業を行っている。これらの砂防基礎調査は ArcGIS のエクステンション製品の利用を前提としたシステムであるため GIS の活用が不可欠である。

河川分野ではハザード情報の分析や視覚化ツールとして広く利用され、リスクコミュニケーションの現場で活用している。

環境分野では視野図やポテンシャルマップの作成、行動圏解析に用いている。また、都市計画分野では立地適正化計画や地域の交通計画において、浸水危険個所の抽出や避難ルートの抽出、ビッグデータと組み合わせた OD 分析等を行っている。

課題解決手法

社内全体の GIS 技術レベルの向上を図るべく「GIS 活用委員会」を立ち上げた。社内全体が関わる委員会は年 2 回開催し、委員会の実務・運営を担当するワーキング・グループの活動は毎月行っている。社内の GIS 技術レベル向上のためにも今期は GIS にテーマを絞り、「技術」、「人材育成」、「基盤」、「実践」の 4 つの柱で委員会は成り立っている。

・ GIS技術の習得

この 4 つの柱の中でも「技術」においては、GIS 活用の定着と目指すべき技術レベルの到達に向けた支援と推進に注力している。具体的には独自の GIS 資格試験制度(上級、中級)を設けており、個人の KPI(重要業績評価指標)の 1 つに GIS 技術習得の目標を設定している。いつまでに、GIS の技術でどのようになっているべきかの目標が定められ、目標達成のために試験を受けるプランが用意されている。

社内では独自に研修も行っており、GIS 上級と中級で GIS 技術レベルが分けられている。これらの目標設定や検定制度を通じ、毎年 GIS の学習をして実力をつけている社員も増え、効果は確実に出ている。

・ GIS 利用基盤の整備

4 つの柱の中の「基盤」では社内で GIS を円滑に利用できる環境を整えるための活動をしている。社員に対して ArcGIS を必要な時に自由に利用させるため社内でライセンスの不足がないかのアンケートを取り、現場の状況を把握している。さらに、全国の支社の社員が ArcGIS を利用する際に本社に問い合わせをしなくてすむように、各支社に管理者アカウントを割り振ることで、支社内でライセンスの分配ができるようにした。また社員のノウハウを共有する環境も整えている。現場の率直な意見は毎月開催されるワーキング・グループの活動内で集め、各部門の中で GIS の操作に長けた社員のノウハウを共有する情報共有サイトも設置し活用している。さらに Microsoft 社のコミュニケーションツールである Yammer を使用して GIS に関する質問を社内で投げ、回答を求める場も設けている。

効果

「GIS 活用委員会」を設置したことで、これまで GIS を使用していなかった社員にも GIS の利活用が促進され、社内全体の GIS の普及につながった。

また社内に GIS が普及したことで従来 PowerPoint や Excel などで作業していた業務や判断を、地理情報を考慮して解析や意思決定ができるようになり、その応用範囲が広がってきた。

効果は社内だけにとどまらない。社内の GIS の技術レベルが高まったことにより、取り扱うことができる案件数が増え、以下のように ArcGIS を使用した提案を行うことができた。

・ 大島町におけるハザードマップの作成

2013 年(平成 25 年)10 月の台風 26 号による土砂災害により多数の犠牲者を出した大島町の土砂災害警戒区域、避難施設、地形図などの GIS データを重ね合わせ、土砂災害ハザードマップを作成した。地域ごとにタイトルや凡例、説明などを加えたレイアウトを組み、印刷用やホームページ公開用のデータを出力できるようになった。また、開発を行う部署で作られた技術を提案現場でも水平展開できるようになり、提案の内容も広がった。


大島町土砂災害ハザードマップ

・ 長野県須坂市の都市水害リスクの分析

都市計画基礎調査の建物データの高さ情報とハザードマップの浸水深データを活用して 3D 表示し、都市の水害リスクを分析した。


長野県須坂市都市水害リスクの分析

今後の展望

今後も「GIS 活用委員会」の活動を続けながら GIS 人材の育成により力を入れていく。また、独自の GIS 資格試験制度(上級、中級)を設け、GIS 人材育成に特化したプログラムを用意して GIS に力を入れていることを外部にアピールし、GIS が絡んだプロジェクトに信頼して声をかけてもらえるようにしていきたい。

プロフィール


都市政策・デザイン部
河川砂防・港湾部



関連業種

関連製品

資料

掲載日

  • 2024年1月29日