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事例

固定資産税業務支援GISシステム、窓口業務支援システム、Web配信システムの活用

奈良市総務部 税務室資産税課

 

「効率的な課税及び説明」を追求し、納税者からの信頼を得る

固定資産税業務支援GISシステムを用いて、固定資産を効率的かつ適正に評価し、納税者からの信頼を得るための課税事務を推進する。

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平城京跡から望む奈良の冬の風物詩、山焼き
写真提供:(社)奈良市観光協会

奈良市

奈良市は人口約37万人、面積約270k㎡の中核市であり、市内には東大寺、興福寺、春日大社、平城宮跡など数多くの世界遺産を有する歴史ある都市である。
平成22年は平城遷都1300年を記念したイベントが、平城宮跡を中心に催され、多くの市民及び観光客を魅了した。

効率的な課税のためのGISシステムの導入

奈良市は、歴史深い町家が集まる旧市街地、優良な景観で人気の高級住宅地区、区画整理事業による新興住宅地区、鉄道駅周辺の再開発事業による商業地区、集落が散在する東部山間地区など多種多様な地区で構成されている。
また、地価公示価格等の7割を目途に評価替えを実施した平成6年度には、自分の土地の評価内容を知ろうと集まった納税者が縦覧会場に入りきれず、廊下にずらりと並んだこともあるほど納税者意識の高い土地柄でもある。
奈良市資産税課では、これらの多様な土地を効率的かつ適正に評価し、また納税者に適切な課税説明を行うため、土地の評価のシステム化に取り組んできた。
土地の価格を形成する要因である街路条件(道路幅員等)、交通接近条件(公共施設までの距離等)、環境条件(周辺の住宅環境の状況等)、行政的条件(都市計画法による規制等)を現地調査などで収集整理し、固定資産税算定の基礎となる路線価を付設している。
個々の土地の評価は、個別の事情を勘案しつつ画地計算法を適用して評価するが、GISシステムの導入以前は、紙ベースの地番図、航空写真図、登記資料などを参照しつつ、現地で土地の間口長、奥行き長及び不整形度を計測するという煩雑な業務に、非常に多大な時間と労力を要していた。
これらの業務を効率化するため、平成16年度に「固定資産税業務支援GISシステム」を導入したことで、現地調査が減少し且つ正確な計測ができるようになった。また、同システムから出力した航空写真図及び地番図を用いて、納税者に対して素早く、納得してもらえる説明が視覚的に可能となった。
さらに、住民サービス向上のため、従来は閲覧のみであった地番図が「窓口業務支援システム」から出力したものを交付することができるようになった。

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システム構成図

システムの課題

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窓口対応の風景

上記の様に、土地の評価業務はGISシステムによって大幅に軽減することができたが、GISシステム用端末がスムーズに動かずにフリーズすることが頻繁にあった。
また、GISシステムのサーバを資産税課執務室に設置し、課内のみのLANによるシステム構築であったため、GISシステム用端末と住基端末の両方を併用して、事務をおこなうために、多くのパソコンが必要となり非効率となっていた。
さらに、窓口で土地開発業者などによる市内の広い範囲の地番図の交付申請が増加し、発行業務の正確かつスムーズな対応が課題となってきた。

 

新しいシステムへの移行

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「Live View」連携画面

平成21年度に新しいGISシステムに移行するにあたり、業務に必要な機能や動作を資産税課の職員が検討し、新システムに反映させることとした。
GISシステムがスムーズに動くことが大前提のもと、「業務の効率を上げるにはどういった機能があるといいか。」「G I Sシステムのサーバを電算担当課のサーバ室に設置し、庁内ネットワークを使って資産税課に配信しよう」「GISシステム用端末と住基端末を一台の端末に一元化しよう。」などの意見をとりまとめ、電算担当課の職員等と何度も議論し問題を解決していった。
特に、窓口業務の懸案事項であった広域の地番図の交付申請に対応できる「自動広域地番図印刷」機能は、「連続印刷機能」として実現し、同機能は平成22年10月「第14回固定資産評価研究大会」(財団法人資産評価システム研究センター主催)で展示され、参加自治体の関心を集めた。
もうひとつの課題である、GISシステムのネットワークの変更では、サーバを電算担当課のサーバ室に設置し、庁内ネットワークを使って配信することでGISシステム用端末と住基端末の一元化が実現し、結果的に導入当初は想定していなかった「WEB配信システム」の活用も可能となり、GISシステムが使える端末が倍増した。

 

より高機能なシステムを目指して

新システムに搭載されている地図は、従来からある地番図、路線価図、航空写真等に加えて、都市計画図及び住宅地図などを新たに追加した。
また、新しい機能として、走行車両に搭載し360度撮影可能なカメラによって撮影した動画を見ることができる「Live View」連携機能は、より現地の状況を把握できるツールとなりうるか、検討中である。
今後は、搭載地図及び機能の充実だけでなく、他課への地図配信による全庁的な活用及び業務の効率化を目的とした地図作りやデータ活用を検討していくことが必要である。

プロフィール


奈良市総務部 税務室資産税課のメンバー



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掲載日

  • 2011年1月1日