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サイトライセンスによる 全庁型 GIS プラットフォームの構築と運用

新潟県 柏崎市 総合企画部 企画政策課

 

窓口対応や個別業務から公開型まで GIS 利用による庁内データの活用推進と住民サービスの向上

ArcGIS プラットフォームの特徴

  • GIS データを整備、共有し、庁内横断的に複数業務で活用
  • 日常業務から公開型まで、幅広い業務での GIS 活用

概要

鴎が鼻展望台(恋人岬)
鴎が鼻展望台(恋人岬)

新潟県のほぼ中央に位置する柏崎市は、新潟市から 84㎞ に位置し、現在は約 8 万 4,000 人の人口を擁している。民謡「三階節」で名高い霊峰米山をはじめ、黒姫山・八石山・西山連峰を有するほか、福浦八景や砂丘地など変化に富んだ 42km の海岸線が続く風光明媚な都市である。
柏崎市では、1997 年の GIS 研究会発足後に大縮尺の基図や全庁型 GIS などを整備した。2007 年の中越沖地震の際、ArcGIS を使用して地図作成を行っており、GIS 活用推進ワークショップを通じて ArcGIS 導入の機運が高まったことから、2009 年に ArcGIS 自治体サイトライセンスを導入した。庁内での GIS 利用のほかにも、市民公開型 GIS「まちナビ柏崎」を構築し、市内のさまざまな情報の発信も行っている。
また、災害時の迅速な対応のためには平常時からデータを整備しておくことが重要であるとの認識の下に各種業務で利用する情報のデジタル化を進めるとともに、さらなる GIS の活用、データの庁内横断的な活用を推進している。
ArcGIS 自治体サイトライセンスで提供される製品を使用して、庁内データの一元管理を行い、個別業務から公開型までさまざまな業務で GIS を活用し、業務の効率化を図ることができた。

背景

ArcGIS 導入以前は、職員によるデータの編集を行うことができなかったが、ArcGIS 導入後は、職員自らデータの編集を行えるようにし、各課が作成したデータを全庁的に利用できる環境を整えた。この環境のさらなる活用のため、紙媒体で管理している情報のデジタル化と業務のシステム化による業務効率化を目指した。住民向けの情報公開サービス「まちナビ柏崎」では、ハザードマップや観光情報、都市計画情報などを発信しており、近年のスマートフォンの普及に伴い、PC 以外からの参照のニーズへの対応を検討した。

ArcGIS プラットフォームの継続活用

庁内では、日常業務でのデータ編集や主題図の印刷など、状況確認のための閲覧利用、屋外での情報収集や状況確認など、さまざまな用途で GIS の活用シーンがある。さまざまな業務で各種 ArcGIS 製品を使用できる ArcGIS 自治体サイトライセンスをこれらの庁内業務で利用することで、ライセンス導入の費用対効果をさらに高めることができる。

課題解決手法

日常業務では、用途地域に関する窓口対応、課税状況の確認、道路照明等の設備補修履歴管理、建築確認申請等で、データの編集や主題図の印刷などに ArcGIS Desktop を使用している。また、作業の結果確認や状況確認などの閲覧用途では、ArcGIS Enterprise を用いて構築した庁内 Web GIS を業務で使用している。職員によって作成、更新されるデータは、庁内横断的な利用、各課での利用といった目的に応じた権限設定により ArcGIS Enterprise で一元管理され、各種の業務で利用されている。また、ArcGIS Online を使用して課固有の GIS 利用も行っており、家屋調査業務などで現地調査アプリを使用して現地の状況確認や写真での情報収集に GIS を活用している。

庁内Web GIS - 日常業務(閲覧用)
庁内Web GIS – 日常業務(閲覧用)

汎用型 GIS - 日常業務(編集・印刷用)
汎用型 GIS – 日常業務(編集・印刷用)

ArcGIS Online – 日常業務(現地調査)
ArcGIS Online – 日常業務(現地調査)

紙媒体で行っていた業務での GIS の利用や庁内横断的なデータ活用の具体的な成果として、住居表示システムや避難行動要支援者システムがある。住居表示システムは、これまで紙媒体で処理していた業務をデジタル化し、さらに建築確認申請の情報と連携することで、業務の効率化を図った。避難行動要支援者システムはワークショップを契機にシステム化に至ったものであり、他業務で入力、更新される町内会や世帯ポイント、ハザードマップを利用することで、効率的なデータ活用を実現している。これらのシステムは、紙媒体をデジタル化し、GIS ソフトの基本操作での使用から始まり、さらなる利便性向上のためにシステム化へと進化したものである。
「まちナビ柏崎」は、ハードウェアやソフトウェアの維持管理が不要なクラウドサービスである ArcGIS Online へと移行し、スマートフォンへの対応、および運用の低コスト化を図った。

住居表示システム
住居表示システム

避難行動要支援者システム
避難行動要支援者システム

左)ArcGIS Online - 公開型「まちナビ柏崎」
左)ArcGIS Online – 公開型「まちナビ柏崎」

右)アクセス用QRコード
右)アクセス用 QR コード

導入効果

庁内の各種業務に必須のツールとなっている GIS であるが、ArcGIS を導入することにより、次に挙げるような効果があった。

今後の課題と展望

GIS 活用推進ワークショップの開催から 5 年以上経ち、原課の中では、当時の担当職員が異動となっている。業務は引き継いで継続しているが、ワークショップを経験していない職員が増えていく中で、もう一度、研修やワークショップを通じ、課題を洗い出していく必要がある。
情報整備の面では日常業務の中に根付いているので、今後は、活用の面でさまざまなデータを組み合わせ、分析を行い、施策の決定に役立てたい。また、庁内で整備されている GIS 上のデータに関して、庁内利用にとどまらず、オープンデータ化にも力を入れていきたい。

プロフィール


総合企画部 企画政策課 金泉 和樹 氏

新潟県 柏崎市

関連業種

関連製品

導入協力企業

株式会社ブレス
組織名株式会社ブレス
住所〒950-0954
新潟県新潟市中央区美咲町1-4-15


資料

掲載日

  • 2019年1月8日