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事例

基幹系業務システムと ArcGIS 連携による先進的な データ利活用環境を構築

千葉県 浦安市

 

「経験と勘」から「データ」に基づく行政分析へ

ArcGIS プラットフォームの特徴

  • 基幹系業務システムとの連携によるデータ利活用環境を容易に構築
  • データの収集から共有、可視化、分析に至るさまざまな機能を提供

概要

東京都に隣接するベイエリアの中核都市として計画的に発展を続けている千葉県浦安市では、住民記録、税、福祉等の基幹系業務システム(以下、基幹系システム)の連携用データを管理する「統合連携データベース」と ArcGIS サーバーを連携する仕組みを構築し、2018 年度より本格運用を開始した。本仕組みにより、行政施策の分析に必要な「地域住民に関するデータ」の抽出・加工の作業負荷が大幅に削減され、簡単な操作でデータ分析が行える環境を整えることができた。今後は利活用できる「地域住民に関するデータ」を強化し、「経験と勘」から「データ」に基づく行政分析を目指していく予定である。

課題

浦安市では、以前より統合型 GIS を利用してきたが、2009 年度に統合型 GIS の新たな活用方法として、市民向け WebGIS、庁内 WebGIS、各課の個別型 GIS で作成したさまざまな地図データを簡単な操作で重ね合わせ、表やグラフなどと併せて表示できる機能を持った「政策支援 GIS」を構築した。しかし、行政施策のための分析を行う企画調整部門や行政改革部門をはじめ、庁内での「政策支援 GIS」の利活用が思うように進まず、壁にぶつかってしまった。
その要因は、分析に必要な住民記録、税、福祉などの「地域住民に関するデータ」が、窓口や市民対応など日々の業務を行っている業務担当部門が所有する基幹系システムの中にあり、これらのデータを GIS で利用できるようにするためには、業務担当部門の職員が、基幹系システムからデータを抽出・加工し、GIS に取り込む等、7 つの工程が必要であったからだ。
また、2017 年度から開始されたネットワーク強靭化対策により、基幹系、情報系、インターネット系の 3 つのネットワークが分離され、業務担当部門の作業負荷がますます増大することになった。

浦安市のGIS全体図(従来)
浦安市の GIS全体図(従来)

データ抽出からGIS化までの作業の流れ(従来)
データ抽出から GIS 化までの作業の流れ(従来)

課題解決手法

課題解決に向けて、住民記録、税、福祉等の各基幹系システムの連携用データを管理する「統合連携データベース」の存在に注目し、「地域住民に関するデータ」を容易に抽出・加工できる仕組みの検討を開始した。
「統合連携データベース」に住所辞書を突合して地域住民一人一人のデータに対して XY 座標を付与し、バッチ処理にて地理的な分析に必要なデータを基幹系ネットワーク下の ArcGIS サーバー(基幹系 GIS)に自動で連携する仕組みを構築することで、従来からの作業を大幅に簡素化することができた。

統合連携 DB と GIS を連携させた仕組み
統合連携 DB と GIS を連携させた仕組み

効果

統合連携データベースと基幹系 GIS の連携の仕組みを構築したことで、宛名情報や個人住民税の課税情報等の約 90 項目が基幹系システムから基幹系 GIS に自動で連携された。
これにより、職員は、GIS 化のための 7 つの工程を踏むことなく、地域住民データが既に登録された基幹系 GIS のフィルタ機能などを使って、分析に必要なデータを簡単な操作で抽出し、地域住民分析マップを作成することができるようになった。
地域別や年齢別の所得階層の分析、転出入と所得増減の関係性等、市税の現況や推計のための地図分析が、簡単なマウス操作だけで行うことができる。
また、2018 年度より採用した Insights for ArcGIS は、地図とグラフが連動して可視化できるとともに、条件抽出や丁目集計をテンプレート化する機能も備えており、地域分析作業の効率化に大きく貢献している。
実証・シミュレーションの結果や証拠に基づく政策立案(EBPM:エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング)の実現に向け、「経験と勘」から「データ」に基づく行政分析が行える仕組みを構築することができた。

Insights for ArcGISの活用例
Insights for ArcGIS の活用例

ArcGIS 採用の理由

今回の仕組み構築に当たっては、基幹系システムベンダーの日本電子計算株式会社から、GIS プラットフォームとして完成度の高い ArcGIS を提案された。
ArcGIS は基幹系システムとの連携がしやすいオープンなプラットフォームであること。また、データの収集から共有、可視化、分析に至るさまざまな機能が充実していることから採用に至った。

今後の展望

Insights for ArcGISの活用例
Insights for ArcGISを使ってデータ分析を行う
小泉氏(右)と鈴木氏(左)

統合連携データベースには、個人住民税のほかに、法人市民税、軽自動車税などのデータも格納されており、これらのデータの GIS 連携を現在進めている。また、福祉や介護に関する情報についても、個人情報保護やアクセス権の設定等を踏まえ、データ連携を検討している。
今後は、Insights for ArcGIS により、統計・集約処理した地図やグラフをページ化し、庁内での共有化を進め、庁内各課における行政施策の検討や分析において、様々な「地域住民に関するデータ」を活用できる環境の実現に向け、関係各課と協力しながら、取り組みを進めていきたい。
また、現在は市が所有している静的データのみの分析であるが、さらに分析精度を向上させるために、外部のリアルな 動的データ(流動人口データ、気象など)との組み合わせが必要であると考えている。

プロフィール


浦安ゆるキャラ総選挙グランプリ「あっさり君」


関連業種

関連製品

導入協力企業

日本電子計算株式会社
組織名日本電子計算株式会社
住所〒102-8235
東京都千代田区九段南1-3-1


資料

掲載日

  • 2019年1月8日