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事例

ArcGIS を活用したデータ作成/現地調査業務の効率化

JA道央 江別営農センター

 

GIS を用いた農地調査・管理業務で大幅に作業時間・人員を削減

ArcGIS プラットフォームの特徴

  • 保有するデータを GIS データに統一し、現地調査の作業進捗の把握・管理を一元化

概要

JA道央区域図
JA道央区域図

JA道央は、江別市・千歳市・恵庭市・北広島市の 4 市を区域とする広域農業協同組合である。大消費地である札幌市に隣接し、新千歳空港や苫小牧工業港、北海道縦貫自動車道が近接する物流・商流上も恵まれた地域で、約 17,000 ヘクタールの耕地面積を有している。
JA道央は、地域農業再生協議会が行う交付金事業である経営所得安定対策に係る事務委託を受けており、当該業務の効率化のため江別営農センターにおいて ArcGIS の活用を開始した。
今後は江別営農センターで確立した手法やノウハウを他の営農センターに展開していくことを見据えつつ、営農指導や販売業務などの他業務へ ArcGIS を活用することについても検討していく予定だ。

課題

経営所得安定対策は農業者の所得安定を目的とした政策で、受け付けた申請のとおりに圃場の作付けがされているか現地確認することが交付金の交付要件となっている。
実際の作業フローは以下のとおりである。

1.申請受付
2.受付書類整理
3.転作現地確認
4.現地確認後整理

申請の受付・整理には、共済耕地図や営農計画書といった紙ベースの資料を活用していたが、申請戸数は 284 戸、圃場数にすると約 8,000 筆という膨大な数を処理する必要があり、紙ベースでの作業は大きな負担であるだけでなく、現地調査時を含め、以下のような課題が生じていた。

[課題 1]:膨大な書類の管理・整理に伴う作業効率の低下
農業者の申請書類作成に加え、農業者が保有する圃場全ての情報を管理・整理する必要がある。

[課題 2]:調査地の位置特定が困難
書面の記載内容から調査箇所を把握することが困難で、現地調査に活用するには土地勘や経験が必要となる。

[課題 3]:現地確認後の整理が煩雑
現地確認後、確認結果を書類に反映・整理し、システムに入力する作業が発生するため、膨大な時間・人員を要する。

ArcGIS 活用の経緯

江別営農センターでは以前から Drone2Mapfor ArcGIS を導入し、圃場のオルソ画像を作成するなど、作付け状況や生育状況の把握に活用していた。
Drone2Map for ArcGIS の利活用を推進する中で、経営所得安定対策の作業で生じる課題を解消するため、ArcGIS を活用して現状業務と同等の作業を実現可能か検討するに至った。
ArcGIS 活用を検討するうえで重要だったのは、現地調査担当者の利用に耐えうる仕様を実現することだった。
現地調査においては、膨大な数の圃場を確認することから、一軒一軒の圃場について個別に属性情報を編集する仕様では却って作業量の増大を招く恐れがあった。
そこで、Web AppBuilder for ArcGIS を活用し、共通の属性情報を持つ圃場については、一括で現地調査の結果を反映できるアプリケーションを作成した。これにより、懸案事項を解消することに成功し導入に至った。

課題解決手法

必要となったのは、従来からある圃場の形状と農業者の情報だけを持つ GIS データに、紙ベースの資料である共済耕地図や営農計画書に記載されている情報を追加することであった。「GIS データの整備については作業量も多く大変だったが、2019 年度以降の活用のためと思い取り組んだ」と GIS による経営所得安定対策の効率化を推進した成田氏は振り返る。
GIS データへの情報追加は、ArcGIS 利用の準備作業としての性質もあるが、この作業によって、書類間の転記といった書類の管理・整理に係る作業量を削減することに成功した。そして、現地調査時に必要な情報が GIS データに一元化されたことにより、タブレット端末を活用した現地調査を実現した。
従来の紙媒体での現地調査では、調査後に調査メモを整理し、書類を作成・整備したうえでシステムに入力する作業が生じていたが、タブレット端末の活用で現地調査結果は表形式データに変換して出力できるようになり、後続作業であるシステムへの入力作業の大幅な効率化に成功した。
また、位置情報を持つ GIS データを利用した現地調査では、GPS 機能を持つ端末の情報を参照することで、従来の紙媒体による調査と比べ、土地勘や経験が無くとも容易に調査を行うことができるようになった。
このように、ArcGIS 導入前の課題の解消に成功するだけでなく、現地調査時には Operations Dashboard for ArcGIS を利用することによって、作業の進捗を把握・管理することも可能になった。

現地調査は未完了・完了・要確認の3区分を入力
現地調査は未完了・完了・要確認の3区分を入力

導入効果

作業効率化の見込み
作業効率化の見込み

現時点でも現地調査人員が従来の 18 名から 8 名まで削減されるなど、具体的な導入効果が出ているが、2019 年度以降は事務の習熟化により 2018 年度以上の効率化が図れると成田氏は見込んでいる。成田氏の試算によると、経営所得安定対策に係る所要日数が合計 75 日間から、44 日間まで削減できる見込みという。
また、平成 30 年 7 月豪雨の際に北海道で発生した災害でも被害調査用のアプリケーションを作成し、迅速に被害状況を把握することができたという。
今回、江別営農センターの業務に即して作成した各種のデータ構造やアプリケーションは、ESRIジャパンのソリューションテンプレートとし
てリリースされており、今後、他の農業協同組合などで活用が進んでいく見込みだ。

今後の展望

経営所得安定対策業務は、他の JA道央の営農センターや他地域の農業協同組合においても行われており、蓄積した技術やノウハウを展開していくことを見据えている。また、現状の業務を更に見直し、申請受付についても GIS を活用し効率化することを検討している。今後は経営所得安定対策業務に限らず、GIS データ化した圃場の情報を営農指導や販売事業に活用することや、農地に係る各種事業を ArcGIS 上で管理することを見据えており、今まで以上に ArcGIS を活用した業務の効率化を強力に推進していきたいと成田氏は語った。

プロフィール


JA道央 江別営農センター 営農振興課の皆さん


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資料

掲載日

  • 2019年1月8日

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