事例 > 安全対策に向けた交通事故分析情報の公開と安全教育の地区選定

事例

安全対策に向けた交通事故分析情報の公開と安全教育の地区選定

山形県警察本部 交通部交通企画課

 

県内の事故情報をArcGISで可視化し、地域の傾向を簡単に把握

ArcGIS プラットフォームの特徴

  • 分析した交通事故情報を一般向けに公開

概要

山形県内の交通事故件数の削減に向けた施策立案を行う山形県警察本部 交通部交通企画課(以下、山形県警)では、県内で発生した交通事故情報をArcGISで分析することで、交通事故が発生しやすい地点を把握し、地域の安全対策として交通事故発生状況を山形県警のホームページを通じて公開した。また、例年秋から冬にかけて多発する高齢歩行者の事故対策として、高齢者の住居状況などの統計情報と交通事故状況を重ね合わせた分析を行うなど積極的な GIS 活用に取り組んでいる。

県内の交通事故発生状況マップ(左)、ダッシュボード(右)
交通事故発生状況マップは、山形県警のホームページからアクセスできる

課題

山形県警交通部では、県内の事故減少に向けて「幹線道路対策」、「高齢ドライバー対策」、「歩行者対策」の3つの対策を軸に、交通事故分析から安全教育や取締りの施策検討を行っている。交通事故の減少に向けて安全教育を積極的に行ってきた山形県警では、県内で発生した交通事故については、庁内のシステムに記録し、必要に応じてデータを取り出し、事故の統計分析を行い、住民向けにも事故の発生箇所を記載した資料を公開・配布してきた。
しかし、より詳細な交通事故の多発地域の分析や必要な対策の検討には、わかりやすい地図上での可視化や分析が必要だった。交通事故発生の抑止に向けて、運転者に自ら注意してもらうべく、交通事故が多発している地点を住民や企業に簡単に把握してもらえる仕組みを整えるニーズも高まっていた。また、例年秋から冬にかけて高齢歩行者が被害に遭う交通事故が増える傾向があり、高齢者に向けた安全教室や取締りの実施にあたり、地区の選定や優先度の検討材料として、事故の発生状況の他に、地区に居住している高齢者の割合など地域を理解するための情報も不足していた。

ArcGIS 採用の理由

交通事故発生状況の分析にあたり、発生箇所の可視化だけでなく、住民向けに情報公開や更には高齢者の居住状況など統計データと重ね合わせての分析を実現できることが GIS に求められた。山形県警では以前から GIS を検討してきた中で、トータルのコストを抑えながら、分析や利用に汎用性があり、公開までを一つのシステムで対応できる ArcGIS を 2017 年 9 月に導入し、利用を開始した。
導入の際には、すぐに業務で利用できる ArcGIS Solutions の交通事故情報公開テンプレートがESRIジャパンから無償公開されており、交通事故情報のデータを用意するだけで、事故状況の可視化から公開までをすぐにできることも選定要因の一つとなった。
また、三重県警や福島県警など他県での ArcGIS 活用による交通事故状況公開の実績は、公開する内容の事前把握や庁舎での導入理解を得るのに役立てられた。

課題解決の手法

■事故分析

山形県警では、ArcGIS 導入後県内の交通事故の状況を把握するため、庁内に蓄積された交通事故の種類、日時等のデータを使って分析を行った。分析をする際には、交通事故の関係者が特定できないよう年齢や発生日時などの秘匿性の高い情報を取り除いたデータを ArcGIS Desktop に取り込んだ。地図上で交通事故状況が可視化されたことで、これまで経験的に認識されていた交通事故が多い箇所が把握でき、意外な地点で交通事故が多いという気付きも得られた。

■事故情報の公開

事故情報の一般公開には、秘匿性の高い情報を省いているため、独自の公開システムを立てることなく、クラウド上で GIS データを公開できる ArcGIS Online を利用した。
ArcGIS Desktop で作成した交通事故発生データは、ArcGIS Online のクラウド上で連携される。ArcGIS Online 上で交通事故情報公開テンプレートを利用することで、導入から2ヶ月後の 2017 年 11 月に「交通事故情報発生状況マップ」を公開することができた。マップの一般公開までの一連の作業は、外部の業者へ委託することなく、警察職員自らが行うことができ、一般公開後のデータ更新作業も同様に、職員が ArcGIS Desktop 上で交通事故データを更新することで、公開されたマップ上の交通事故発生状況も更新されるようになっている。

■高齢歩行者の事故分析

秋から冬にかけて多発する高齢歩行者の事故を減らすために、高齢者に限定した分析も行った。高齢者の事故発生地点と居住地域の関係性を見るため、ESRIジャパンデータコンテンツにある国勢調査の統計データを利用し、高齢者の居住する地域と事故発生地点を重ねたところ、他の年齢層と比べて、高齢者の居住割合が高い地域で高齢者の事故が多い傾向が見られた。
さらに取締り、並びに安全教育を実施した箇所を重ねたところ、交通事故が多発している地区の中でも取締りや安全教育が十分に行えていない地区があることも把握できるようになった。


高齢歩行者の事故発生地点

2016_saibugas_2
高齢者居住が高密度な地区と、交通事故が多い地域

効果

ArcGIS 導入以前の交通事故分析では、庁内のシステムからデータを取り出し、さまざまな可能性を模索し、資料化するまでにいくつかの加工を行ってきたが、ArcGIS を利用することで、可視化から一般公開までを一連のシステムで行い、作業の手間を削減することができた。また、これまで経験に頼っていた地域の交通事故傾向が地図上に可視化されたことで、簡単に把握することができるようになった。
交通事故発生状況マップを一般公開したことは地元の新聞でも取り上げられ、住民にも知られるようになり、マップのアクセス数も増えてきている。さらに交通事故発生状況マップを広く認知してもらえるように、山形県警のホームページからも簡単にアクセスできるようにした。また、庁内だけではなく、営業車を多く持つ企業の安全教育担当からの反響もあった。

今後の展望

山形県警では、施策検討の意思決定の材料として ArcGIS を利用していく予定である。高齢歩行者の他、路線別や事故類型等、分析の幅を広げ、必要な取締りや安全教育などの施策立案への活用が期待されている。また、高齢歩行者の事故分析をより深く行うために、移動時間や交通状況を考慮できる ArcGIS Network Analyst を利用した分析も検討している。
交通事故発生状況マップにおいては、県内の交通事故を未然に防げるよう、注意が必要な箇所や時間帯などを簡単に理解してもらえるような工夫も検討している。

プロフィール

山形県警察本部庁舎

山形県警察本部庁舎

山形県警察シンボルマスコット カモンくん

山形県警察シンボルマスコット カモンくん


関連業種

関連製品

掲載日

  • 2019年1月8日

Copyright© 2002-2019 Esri Japan Corporation. All rights reserved.
トップへ戻る