課題
導入効果
西日本高速道路エンジニアリング九州株式会社は NEXCO 西日本のグループ会社の一員としてお客様に「100% の安全・安心そして快適な高速道路」の提供を目指し、高速道路保全のための点検業務などを行っている。特に平成 28 年の熊本地震の対応では、緊急点検のシーンにも対応できるシステムが求められていた。これらを踏まえ、従前からの点検業務の高度化を目指し、タブレット端末と GIS を活用した点検業務支援ツールを構築した。タブレット端末を活用した試行運用の結果、事前準備から現場点検までの一連作業の支援を図ることができ、点検作業の様々なシーンで効果が認められた。
点検業務支援ツールイメージ
高速道路の定期的な点検だけでなく、地震等の災害後に臨時に発生する点検においても、点検目的に応じた調査対象箇所のデータ収集を行い、媒体である現場野帳(メモ帳)をその都度整理する必要があり、事前準備や情報把握に時間を要する機動性の課題があった。特に被災直後の混乱時に有効である点検箇所までのナビゲーションや点検箇所の位置特定、写真整理、統一された報告書様式の作成までを支援するツールが必要であった。現場点検業務では、管理用平面図等の地図、橋梁・トンネル等の道路構造物情報、現場野帳、カメラなど多様な情報および道具が必要であり、各点検場面で図(現場点検フロー及び課題)に示す課題が挙げられていた。
現場点検フロー及び課題
西日本高速道路エンジニアリング九州では以前から、高速道路に関するあらゆる情報を GIS データ化する研究開発に ArcGIS Desktop を利用していた。橋梁、トンネル等や、付属物である標識等の位置情報は起点からの距離標 (キロポスト)で管理されており、緯度経度の座標を使わなくとも容易に GIS データ化できる仕組みを構築した。この整備した GIS データを現場の点検業務にそのまま利用するために、Windows 版タブレット用のアプリを ArcGIS Runtime SDK for .NET で構築することとした。GIS データの各レイヤーに、検索条件や写真を関連させる項目を追加し、ArcGIS Runtime パッケージに出力することで、タブレット用に構築したアプリでも ArcGIS Desktop と同等の地図表現が実現でき、現場で情報入力、写真取込みも可能となった。
現場点検の一連の作業の課題を解決するために、タブレット用に構築したアプリには点検業務に必要な下記の情報および機能が全て集約されており、完全オフライン状態でも利用できるようになっている。
タブレット端末の活用シーン
課題に掲げていた事前準備にリードタイムを要することなく、速やかに現場へ持ち出すことが可能となり、現場点検・診断を効率的かつ効果的に支援する点検タブレットを構築することができた。 このタブレット端末の活用事例を以下に 2 つ紹介する。
住宅地図・管理用平面図・道路構造物(橋梁・トンネル・のり面・ C-BOX ・跨道橋)を集約した GIS 基盤情報をタブレット端末内に取り込み、地震等の災害時の緊急点検や、苦情による現地確認などの簡易的な現地点検を支援する。
橋梁詳細点検の流れ
橋梁の各スパンで分割された上部工データ(ライン)および下部工データ(ポイント)を地図上に表現し、点検対象となる箇所をクリックすると橋梁の緒元が確認できる。その緒元と前回点検した結果を紐付け、点検結果属性、損傷写真、損傷点検図を現地で確認しながら点検結果の更新ができる。また、新規損傷を発見した場合でも予め準備した個別損傷図形を選択し、容易に損傷形状を追加できる。 橋梁詳細点検の一連作業を支援するツールとして、タブレット端末は効果的である。現地点検の前に必ず事前踏査を行い、大型車両の通行確認や待機位置、電線等の架空線有無確認などを把握する必要があるが、それらの情報を地図上にメモし、必要に応じて現場状況写真を記録することで、現地点検を効率的に支援することが可能となる。
タブレット端末を活用した試行運用の結果、点検作業の様々なシーンで効果が認められた。今後、他工種への展開、遠隔点検支援や AR 等の技術を取り入れ、更なる活用範囲の拡大を行う予定だ
タブレットによる点検支援状況 営業部 事業開発課
組織名 | : | 扇精光ソリューションズ株式会社 |
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住所 | : | 長崎県長崎市田中町585-5 |
電話番号 | : | 095-839-2111 |
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