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事例

公共施設等総合管理計画業務で資産管理システムと GIS を統合

千葉県 佐倉市

 

クラウドベースのシステム OCMAX により公共施設マネジメント業務を効率化

概要

千葉県北部に位置する佐倉市は、都心から 40㎞、成田国際空港から 15km、千葉市から 20km に立地し、現在は約 17 万 6,000 人の人口を擁している。高度経済成長期以降、その立地から首都圏のベッドタウンとしての役割を担いつつ、市北部の印旛沼周辺や佐倉城址周辺、市の東部や南部の農村地帯等には豊かな自然が残っている。 佐倉市は、市民から市が所有する施設や土地などの資産について対応要望を受けているが、資産を管理する既存システムでは立地状況が確認できず、別に導入しているスタンドアロン型の既存 GIS で確認していた。そこで、資産管理システムに統合でき、クラウドベースでのシステム構築が可能な GIS として ArcGIS Enterprise を用いたシステムを新たに導入した。新システムの導入により、検索した施設等の位置を同一システム内のマップで確認することが可能となり、業務効率化に加え、複数の担当者がシステムを利用できる継続性のある環境を整備することができた。

課題

市が管理する施設や土地などの資産について、「木が倒れそうなので撤去してほしい」、「草が伸びているので処理してほしい」などの市民からの要望に対し、それらの場所や担当部署等を確認する必要があった。しかし、既存の資産管理システムと GIS は別々に運用されていたため、まず GIS によって住所から要望位置や市有地内であるかを把握し、次に既存の資産管理システムを使い担当課を特定し伝達する必要があった。さらに、既存の GIS はスタンドアロン型であり、利用できる職員と PC が限定されていたため、今後の継続性が懸念された。 また、社会インフラのメンテナンスの重要性や、インフラ維持・補修コストの増大と熟練技術者不足等に伴い、インフラ・メンテナンスの改革が求められていた。総務省から地方自治体に対して、公共施設等の総合的かつ計画的な管理を推進するために「公共施設等総合管理計画」の策定に取り組むよう要請が行われたことも新システム導入を検討する要因となった。 そこで、資産管理システムと GIS を統合することで対象施設等の位置を同一システム内のマップで可視化でき、複数の担当職員が各自の業務用 PC から利用できるシステムを検討し、株式会社オリエンタルコンサルタンツが開発したクラウドベースの OCMAX の導入を決めた。OCMAX は、地方自治体等の公共施設マネジメント業務の効率化に役立てられている。

ArcGIS 採用の理由

OCMAX は、施設や土地の管理に日本アイ・ビー・エム株式会社の Maximo を利用しており、Maximo と連携可能な GIS ソフトとして ArcGIS が検討され、クラウドベースのシステムを構築するにあたり、Web 経由でのアクセスが可能な ArcGIS Enterprise が候補となった。これら 2 つのソフトウェア間での連携が確認できたことから ArcGIS Enterprise が採用され、ArcGIS 自治体ソリューションライセンスを導入した。

課題解決手法

各所管課で分散されている資産に関するデータベースを統合して管理を行うシステムとして OCMAX を利用し、地番図や市有地地図を配信するシステムを ArcGIS Enterprise を使ってクラウド上に構築した。OCMAX での検索結果に対応した資産の位置情報を ArcGIS Enterprise からシステムに返すことで、システム内でのマップ表示を実現している。 倒木等への対応要望が市民からあった際に、対応を実施する箇所を住所・施設名で検索を行う。GIS 上で地番図や市有地地図を確認し、市有地である場合には要望への対応を実施する。また、対応実施箇所が公共施設の敷地内である場合には、公共施設の所管課等の情報を OCMAX で確認できるため、所管課への作業依頼をスムーズに行うことができる。OCMAX での検索結果に連動して該当箇所付近の地図が速やかに表示されるため、対応の実施可否を速やかに判断することが可能である。 「職員でも場所を把握しきれない倉庫のような施設の位置をマップ上で確認でき、同一システム内で表示されることが必須であった」と、導入時の要件を実現することができたと担当者は語った。

新システム導入による業務効率化
新システム導入による業務効率化

効果

ArcGIS を導入することにより、次に挙げるような効果があった。

システム画面
システム画面

今後の展望

今後は、施設の再配置計画において交通アクセスの分析や施設評価値の可視化機能の追加など、さらなる公共施設マネジメント業務への展開を目指していく。 また、毎年施設の所在地や類型、面積などを掲載した施設白書を公開しているが、施設の位置を表すマップも掲載できれば、より使いやすいものになるだろうとの構想も語られた。 将来的に各部署の公共施設マネジメントに関するデータやシステムを一つのシステムで統合管理することができれば、さらなる業務効率化につながるだろうと考えている。

プロフィール


左から 資産管理経営室の皆さん(4名)
右から オリエンタルコンサルタンツ担当者(2名)



関連業種

関連製品

導入協力企業

組織名株式会社オリエンタルコンサルタンツ
住所東京都渋谷区本町3-12-1
電話番号03-6311-7862
Webを見る


資料

掲載日

  • 2018年2月7日