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宇宙からの災害監視「だいち防災 WEB ポータル」

宇宙航空研究開発機構(JAXA) 衛星利用運用センター

 

災害時に取得する ALOS-2 等の緊急観測画像の集約、解析及び防災ユーザへの提供を一元的に担うポータルサイトの構築

ArcGIS プラットフォームの特徴

  • ALOS-2 等の緊急観測画像の集約・解析・提供を一元化
  • 防災機関等との GIS システムのオンライン連携を実現

概要

だいち防災 WEB ポータル
だいち防災 WEB ポータル

JAXA 衛星利用運用センターでは、「だいち 2 号(ALOS-2)」等の地球観測衛星を用いて、政府・自治体等の防災機関の災害対応活動における衛星利用を促進するための取り組みである「防災利用実証実験」を推進している。防災利用実証実験では、内閣府との間の協定の下、防災の政府指定行政機関等(以下、防災ユーザ)に対し、災害発生時には ALOS-2 等の国内外衛星による緊急観測の実施と衛星画像プロダクトの提供、平時には防災情報システムや防災訓練への衛星地図情報等の提供などを実施している。防災ユーザへの衛星画像プロダクト提供は、専用の Web サイトである「だいち防災 WEB」を通して行っている。2016 年度には、「だいち防災 WEB」の後継として、ALOS-2 緊急観測画像等の提供の高速化や外部機関の防災情報システムとのオンライン連携を狙い、プラットフォームに ArcGIS Online を利用した「だいち防災 WEB ポータル」を構築し、試験運用を開始した。本稿では、「だいち防災WEBポータル」の概要と今後の展望などについて説明する。

課題

JAXA は、災害時に多量に取得される衛星画像データを迅速且つ分かりやすい情報で防災ユーザに提供するため、防災ユーザが運用する防災情報システムに衛星画像プロダクトを提供し、他の防災・災害情報と組合せて使用することで衛星画像をより有効に活用できるための取り組みを推進している。本取り組みの実現にあたり、次の課題への対処が必要となった。

ArcGIS活用の経緯

「だいち防災 WEB ポータル」の構築に ArcGIS を採用した理由としては以下のようなことがあげられる。

課題解決手法

災害時に緊急観測された ALOS-2 衛星画像データは、Amazon 上のクラウドサーバーに伝送され、災害前後の変化抽出などの自動処理により被害域抽出情報等に加工する。被害域抽出情報等は、ArcGIS Enterprise によりイメージサービス等で配信し、ArcGIS Online 上に構成される Web GIS に表示し、外部機関の ArcGIS Enterprise や ArcGIS Online を経由して配信される静的/動的情報等を重ね合わせて防災ユーザに提供する。

また衛星画像データは、Web GIS 上に構築した「情報共有ツール」にて、データ解析する防災ユーザに迅速に情報共有する。情報共有ツールでは、ラスター関数を利用し、衛星画像データのクイックルック画像やフットプリントを Web GIS 上に表示することで、防災ユーザが迅速かつ効率的に適切なデータを取得することを可能とした。

外部機関とのオンライン共有では、消防研究センターの「広域版地震被害想定システム」との連携を実装し、大規模地震発生時の推定震度分布情報をリアルタイムに取得できるようにした。

衛星画像データとハザード情報等との重ね合わせによる情報提供
衛星画像データとハザード情報等
との重ね合わせによる情報提供

特殊詐欺情報マップ
緊急観測データの迅速な共有

さらには、気象情報(降水ナウキャストや土砂災害警戒判定メッシュ)、OGC 等の標準 GIS 規格の外部サービスの取り込みにも対応し、災害事象に対応したレイヤーを付加した情報提供ができるよう工夫している。現在は、平成 32 年度に打上げ予定の「先進光学衛星」の事前実証として、民間衛星プロバイダーによる平時及び緊急時の光学画像サービスの取り込みも対応中である。

だいち防災WEBポータルの構成図
だいち防災WEBポータルの構成図

効果

だいち防災 WEB ポータルでは、ALOS-2 等の緊急観測画像の集約、解析及び防災ユーザへの提供を一元的に行うことが可能となった。ArcGIS プラットフォームの導入により、以下のような成果が得られている。

防災ユーザへの情報提供の迅速化

ALOS-2 緊急観測データの被害域抽出処理及び衛星画像プロダクト提供の Web GIS での提供までの一連のフローを自動化できたことにより、夜間を含め防災ユーザへの迅速な情報提供が可能となった。

衛星画像プロダクトの高付加価値化

外部機関から配信される静的/動的情報のオンライン共有に対応することにより、各種ハザード情報等の重ね合わせが可能になり、防災ユーザのニーズに合わせた衛星画像プロダクトの提供や活用が期待される。

防災機関等とのオンライン連携

外部機関から配信される静的/動的情報のオンライン共有に対応することにより、各種ハザード情報等の重ね合わせが可能になり、防災ユーザのニーズに合わせた衛星画像プロダクトの提供や活用が期待される。九州大学が運用する「九州地理空間情報ポータル」とのオンライン連携に加え、徳島県総合地図提供システムとのオンライン連携を進めている。

今後の展望

JAXA では、平成 29 年度秋に「だいち防災 WEB ポータル」の本運用開始を予定しており、実災害での防災ユーザへの確実な情報提供が行えるよう本ポータルの安定運用を進めなければならない。さらに、イタリア宇宙機関(ASI)との間で締結された災害協定に基づき入手する COSMO-SkyMed 衛星画像への対応や、情報共有ツールの高度化(解析結果の情報共有)等、防災ユーザの災害対応に資する衛星情報提供の実証プラットフォームとして引き続き改良していく予定である。

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掲載日

  • 2018年1月9日

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