GIS プロジェクトで使用されるデータは、定義された品質の規格を満たす必要があります。データがどの程度正確または完全でなければならないかについての要件は、そのデータがどのように使用されるかに応じて変わります。またこれらの要件は、技術要件、製品要件、およびクライアント要件の影響も受けます。そのため、データ品質の要件はプロジェクトごとに異なります。データ品質の要件を満たすデータであることで正確な意思決定が行え、その結果、利用性や効率性が向上することが期待されます。
調製した GIS データや納品されたデータの品質チェックは ArcGIS Desktop のエクステンションである ArcGIS Data Reviewer で行うことができます。データの一貫性や空間的な関係性、属性の完全性、メタデータの内容などといった、さまざまな問題を素早く特定できます。
ArcGIS Data Reviewer には自動で行えるチェック項目が 40 個以上用意されています。空間的なチェックだけでなく、属性値のチェックも行うことも可能です。たとえば、自己交差しているラインの検出、同じ場所に存在する同じ図形の検出、属性が決められた制約内にあるか、ポリゴン同士が重複していないか、などがあります。
自動データ チェックは個々に実行するだけでなく、チェック項目をバッチ処理で実行することができます。
また、過剰や欠落、位置ずれなどのエラーは、ソース データとの比較による目視での確認が必要です。ArcGIS Data Reviewer はこのような自動的に検出できないエラーの識別を支援する機能を提供します。
エラーを発見する「レビュー」、発見されたエラーを修正する「修正」、修正されたエラーが正しいか確認する「確認」の 3 つのステータスから品質を管理します。この ArcGIS Data Reviewer の特徴ともいえるすべてのステータスにおいて、誰がいつ何を行ったのかのエビデンスとなる項目を作業履歴として記録することができます。それらをレポートとして出力することで GIS データの品質証明書として納品することができます。
このように ArcGIS の品質管理機能を利用することで、データを納品する前や納品されたデータがどのような品質で作成されたかを知ることができます。また、データのエラーを見つけるために、コードを書いたりカスタム アプリを使用したりすることなくこれらの機能をすぐに利用できます。