このマップから、ヨーロッパ南部で気候の変化による気温上昇が顕著になることが読み取れる。
将来、ヨーロッパの多くの都市を猛暑が襲う・・・。欧州環境局(EEA:European Environment Agency)が作成した 「ヨーロッパ都市部の猛暑リスクマップ」と題されたWebマップが、Eye On Earth(アイ・オン・アース)のWebサイトに掲載されている。 掲載から24時間で10万アクセスを記録したこのマップからは、今後ヨーロッパの都市部で夏日や熱帯夜が大きく増加することが読み取れる。 地球温暖化にともなう気候の変化に多くの人々が興味を抱いているこが、マップへの反響の大きさにつながっているようだ。
マップは、「ヨーロッパ 気候変動に対する都市部の順応(欧州環境局 レポート No.2/2012)」レポート向けに欧州環境局が 作成したものだ。シミュレーションで算出した熱帯夜と夏日の日数に、人口密度と都市部の緑地や水辺を重ね合わせ、 ヨーロッパ 500都市を襲うであろう猛暑によるリスクを表している。 人口密度をはじめ、都市部の緑地や水辺の面積は、都市の気温上昇の一因であるヒートアイランド現象の発生と密接な関係にある。 例えば、人口密度の高い都市部では、ビルの密集が進み緑地の減少が加速することで、人工的な熱量の放出が大きくなるからだ。 イタリア、南フランスの一部地域、南スペイン、ベオグラード周辺地域(セルビア)、 シベリア、ブカレスト(ルーマニア首都)といった都市で、今後の猛暑のリスクが高いことがわかる。
環境を取り上げたマップが多数掲載され、ユーザによる観察結果やデータの共有も行われている。
このリスクマップは、Eye on EarthのサイトにArcGIS Onlineを利用して共有されている。 背景地図には、ベースマップの一つでデータセットを重ね合わせるのに適したライトグレーキャンバスを使用している。 凡例には、都市部の緑地と水辺の割合、人口密度の他、各都市で予想される熱帯夜(ここでは最低気温20℃以上と規定)と 猛暑日(最高気温35℃以上)の日数の合計値を色分けし、 1971年~2000年、2012年~2050年、2071年~2100年の3つの時期で表示している。 この色分けされたデータは、ヨーロッパ FP6 プロジェクト アンサンブルから多重領域気候モデルを基に算出している。 マップには500都市のポップアップ表示が含まれており、都市名、都市コード、緑地と水辺の割合を見ることができる。
この様なマップは、ArcGIS Onlineを使って誰でも簡単に作成できる。 ベースマップとして用意されている道路地図、地形図、衛星画像から最適なものを選択し、レイヤを追加する。 レイヤには、ArcGIS for Serverや地理空間情報の標準化団体(Open Geospatial Consortium:OGC)のWebマップサービスのサービス、 KMLやCSVレイヤ、カンマ区切りのテキストファイル、GPS Exchange FormatなどのWebで共有可能なもの、 もしくはシェープファイルを利用する。最後に、詳細説明とタグを文章で記載することで、マップを他のユーザが検索しやすくなる。
欧州環境局が作成した 「ヨーロッパ都市部の猛暑リスクマップ」を基に、ArcGIS Online ストーリーマップとして編集し直し掲載。
欧州環境局は、マップを誰もが閲覧できるようにEye on Earthのサイトに公開している。 マップには、欧州環境局以外の団体が公開しているデータセットを追加し、新たな分析を行うことも可能だ。
マップの閲覧:
・ Heat Wave Risk of European Cites(Eye on Earthサイト掲載)
・ Outlook for European cities: higher temperatures and longer heat waves (Story Map, 米国Esriサイト掲載)