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GISで新規出店候補地の選定作業コストを 75% 削減

スバル・オブ・アメリカ

 

GIS を使い特定顧客グループをターゲットに

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トップマネジメントに効果的なセールス・
マーケティング分析マップを作成している

店舗を設置する場所の判断を誤ると、大きな損失をこうむる場合がある。意思決定の際には、人口統計、アクセスのしやすさ、近隣店舗との親和性、潜在顧客の目に留まりやすいかどうか、競争相手の有無、環境への影響評価、建築上の懸念など、さまざまな要素を考慮する必要がある。適地選定の調査には、こうした情報を適切に使用すること、そして結果を正しく伝えること、という 2 つの大きな課題がある。

スバル・オブ・アメリカ社は、情報を正確に評価することの重要性を理解している会社の 1 つである。スバル・オブ・アメリカ社は競合他社とは異なり、特定の顧客グループをターゲットとするニッチプレーヤーであるため、販売店の場所を決定するためには、情報を目で見て分析することが特に重要なのだ。

スバル・オブ・アメリカ社は、日本の株式会社SUBARU の完全子会社である。ニュージャージー州チェリーヒルに本社を置く同社は、全米約 600 の販売店ネットワークを通し、全輪駆動の SUBARU 車および部品、アクセサリーを販売している。各販売代理店には、おおよそ 5〜50 人の従業員がいる。2002 年、スバル・オブ・アメリカの販売店は米国で 180,020 台の車を販売した。

SUBARU は、すべての車両に全輪駆動を標準搭載する唯一の自動車メーカーとして業界で際立った存在である。このニッチな商品戦略のためには、スバル・オブ・アメリカがターゲットとする顧客グループを正確に設定する必要がある。同社は、好立地の物件を選定するにあたり、フランチャイズ商圏を利用し、タイムリーで正確な市場調査を行う社内手順を開発することが重要だと考えている。

GIS を使用すると、データを分析し、わかりやすく表示することができる。スバル・オブ・アメリカ社の地理的意思決定支援担当者の Sean O’Halloran 氏は、次のように説明する。「高品質な人口統計データと強力な GIS 技術を組み合わせて立地選定分析を行えば、最高の代理店用地を見つけることが可能です」
「代理店の拠点選定に関する情報を常にアップグレードし、「穴」を見つけたり「穴埋め」したりすることが、日々の意思決定に不可欠なのです」と O’Halloran 氏は語る。スバル・オブ・アメリカ社は、解決策を模索していた。O’Halloran 氏は GIS に精通しており、導入を検討する GIS ベンダーを数社にまで絞った。いくつかのソフトウェアパッケージを吟味したのち、O’Halloran 氏は Esri 人口統計データと一緒に「ArcGIS Business Analyst」を選択したが、これには様々な理由があった。「製品、特に地図作成の面が気に入ったのです」と氏は述べた。「データの取り込みが容易にでき、価格も妥当でした」 スバル・オブ・アメリカ社がマッピングと GIS 分析を市場開発に統合してからわずか 2 年で GIS ソフトウェアの品質が向上し、同時にデータコストが大幅に低下した。

O’Halloran 氏は、さまざまな市場での研究開発に多くの時間を費やしている。新規出店するディーラーのため、潜在的可能性が高い場所、低い場所を米国内すみずみまで探している。O’Halloran 氏と彼の上司が作成する地図は、Esri のジオメトリデータ、フランチャイズ店の販売情報、郵便番号レベルで区分け可能な車両登録番号情報、地理情報など、さまざまなソースからなるデータの集大成となっている。

Esri のセグメンテーションデータを使って ArcGIS Business Analyst を利用し、スバル・オブ・アメリカ社は、ターゲットとなる顧客セグメント別に現在の売上高を分析し、最適な代理店の設置場所を決定している。このソフトウェアとデータの組み合わせにより、スバル・オブ・アメリカは「もしも」シナリオおよび高品質のプレゼンテーションマップを作成し、ターゲットを絞った顧客グループをランク付けし、既存の場所や設置候補となる場所の成功レベルを定義することができる。

市場分析やプレゼンテーションマップ作成を行っていない時、O’Halloran 氏は膨大な量のデータのメンテナンスをしている。ArcGIS Business Analyst は、スバル・オブ・アメリカ社のデータベースである Microsoft Access に接続できるため、すべてのソースのデータを簡単に統合することができる。この新 GIS ソリューションの最大の変更点の 1 つは、手持ちのデータを人手に渡さずにすむことだった。販売実績データを渡してジオコーディングと人口統計プロファイリングを外部委託することなく、自分自身でこれらアプリケーションを実行することができるのだ。 Esri 社の Community Coder というソフトウェアを使用すると、顧客ファイルに緯度・経度座標と FIPS コード(情報システムで取り扱いが容易な、各郡に割り当てられている 5 桁のコード)を割り当てることができる。また、より包括的に顧客分析を行うため、Esri が「コミュニティ タペストリー」と名づけた地域ごとのライフスタイルを細分化したデータを統合し、販売実績のさらなる向上を目指している。タペストリーのデータは、年齢、所得、住宅の資産価値、職業、世帯の種類、教育、その他の消費者の行動特性などの人口統計学的変数に基づいて米国の住宅地域を表す 65 のセグメントに分割されている。

ArcGIS Business Analyst と Esri データにより、スバル・オブ・アメリカ社はサイト選択の運用コストを 75% も削減することができた。 また、分析の質向上、サイト選択プロセスの効率性や正確性の向上、サイト選択を誤るリスクの低減も達成したのだ。

「Esri ジオメトリデータと GIS テクノロジを使用する最大の利点は、実際のロケーション決定を下す前に材料がすでに揃っていることです」と O’Halloran 氏は語る。「ArcGIS Business Analyst のマッピングアプリケーションを使って、今では日常的に分析を行っています」

注:本記事は 2005 年に Directions magazine に掲載された記事を元に作成しています。掲載内容は当時のものです。

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掲載日

  • 2017年6月27日