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戦略的・科学的に営業の担当エリアを構築

ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 ビジョンケア カンパニー

 

パートナーショップへの情報提供を限られた時間で同一にするために営業担当者のテリトリーを再設計。パートナーショップへの新規顧客数を増やすため屋外広告の適地選定をおこない、流入数増加に成功。

概要

ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 ビジョンケア カンパニーは、使い捨てコンタクトレンズの輸入・販売を手掛けている会社である。これまでの営業テリトリーの不均等を是正するためにEsri Business Analystでテリトリーの再設計を行いリソースを最適化することに成功した。またパートナーショップに顧客を誘導するために、屋外広告の適正な配置の分析も行い、新規来客数の増加にも成功した。

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背景

ジョンソン・エンド・ジョンソンは60か国以上で消費者向け製品、医療機器、医薬品などを取り扱う世界的な企業である。ビジョンケア カンパニーは、安全性に配慮したコンタクトレンズの装用を積極的に推進しており、定期的な眼科検診の重要性について啓発活動を行うほか、コンタクトレンズの適正使用に関する情報提供を徹底するため、パートナーショップに対し、製品情報を提供するためのタブレット機材の提供やトレーニングなども行っている。

ビジョンケア カンパニーの営業部では、約10年前からすでに米国本社から持ち込まれたGISシステムを導入していた。営業担当者の配置などの分析を目的としたものであったが、ソフトウェア自体が非常に高価で、かつ分析は年に1度イギリスから技術者数名が来日し、2週間程度かけて分析を行うという形であったため時間と経費が非常にかかり、コストが高い分析作業となっていた。
ほぼ同時期マーケティング部門でも別のソフトを使い、小売店向けの商圏分析やポスティングの分析なども行っていたが、小規模なものであった。その他にも広告代理店に頼んで分析を行っていた時期もあったという。

これら非常にコストがかかる方法から脱却するため、自社でのGIS分析を行うべく最適なGI Sシステムを探した。いくつかの競合の中から選んだのがArcGISであった。

GIS導入以前は人員配置が最大の課題であった。当時は各営業の移動距離や得意先の数などがばらばらで、実際ある一部の地域の営業は常に売り上げが高く、別の地域は常に低いといった地域差があるという課題があった。

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テリトリーの再構築

背景

日本国内でのサポートを受けられることを条件として数社のGISを比較検討し、

といった点からArcGISを選択した。

導入手法

前述のようにGIS導入で期待されていたのはテリトリーの再設計と人員の適正な配置である。
ビジョンケア カンパニーのパートナー店は全国で約4,000件ある。これらパートナー店への情報提供、トレーニングに関して、限られた時間内に同一の情報を提供するために、戦略的に営業担当者のテリトリーを設計する必要があった。
組織構造は全国2リージョン、12ディストリクト(営業所)、約85テリトリーとし、作成時には

が考慮された。
またテリトリーの境界線で、例えば山脈や河川など、どうしても越えたくない境界はバリアとして設定した。また都市部は電車での移動を考慮することとした。そして最終的に細かい部分は手動で境界を編集した。

導入効果

テリトリーの分析は以前と比べ細かくなったという。エリア数を変更し、営業担当者の移動距離・時間・売上額格差を最小化しながらリソースの最適化に成功した。営業担当による販売店への訪問数を減らすことなく変更できたという。テリトリーの設計方法が理論的、科学的であるという点に満足しており、実際に、このテリトリーの再定義により売り上げ成長率が市場の伸びを上回るという結果を出すことができたという。

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屋外広告の位置と方向を分析

また、パートナーショップへ消費者を誘導するために、屋外広告の効果的な位置と方向を決める分析も行った。 販売店およびパートナーショップをEsri Business Analystにプロットし、誘導可能な導線上でかつ、パートナー同士のカニバリゼーションを考慮した最適な位置の分析を行った。さらに営業からのインプットや広告代理店からの知見も加えて位置を決定し、集中的に告知を実施した。その効果かパートナーショップへの新規の顧客が約15%も増えたという。「屋外広告もまだ効果があるものだと改めて感じた」と森村氏は語る。

今後の展望

今後は位置情報をビジネスに利用するという思想を各営業やマネージャーに持たせていきたいと考えているという。そのために、例えばセグメンテーションとは何かといったエリアマーケティングに関するトレーニングをマネージャーレベルに対して始めている。メガネやコンタクトレンズの消費金額を地域毎にプロットしてどこに需要があるのかを可視化し、さらに得意先をその上に重ねてどこに機会があるのかを探るといった内容である。
マネージャーに思想が伝われば、その部下にも最適化された思想が伝わり、それがコストの削減、売り上げアップになると考えている。
またマーケティング部門では、大手の得意先販売店をサポートする部署を作り、エリアマーケティング的な販売提案を行っているという。

今後はさまざまな販売データと位置情報とを重ね合わせ新たな知見を生み出していくことが新たなテーマになると森村氏は語った。

プロフィール


コマーシャル・オペレーションズ&ストラテジー本部
バイスプレジデント
森村 純 氏


関連業種

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資料

掲載日

  • 2017年2月9日