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GISデータ整備による既存データの有効活用から現場の調査業務をサポート

西日本高速道路エンジニアリング九州株式会社

 

膨大に蓄積された既存データの一元化、見える化

概要

西日本高速道路エンジニアリング九州はNEXCO西日本のグループ会社の一員として「100%の安全・安心そして快適な高速道路」を確保するため、高速道路の保全・点検業務などを行っている。建設・土木事業にありがちな紙ベースで行われる業務に対し、ICTのアプローチで何が出来るかを模索した結果『舗装に関するデータの一元管理・見える化』、『タブレット端末による舗装現地調査支援』の取組みに至った。
ここでは、今まで現場での利活用が困難であったデータを有効に活用し、維持管理業務の効率化・高度化に向け取り組んでいる事例を紹介する。

背景

舗装管理情報は、現在個別に管理されており、舗装修繕計画の際にはエクセルで加工し、舗装の統合データをグラフやポンチ図で作成している。現在の管理手法では効率が悪く、舗装業務に携わる担当者からは、様々な問題点が挙げられていた。

エクセルグラフによる路面性状調査結果
エクセルグラフによる路面性状調査結果

例えば、現状の10m単位で評価された路面性状結果(わだち・ひびわれ・IRI)はエクセルのグラフで作成され、舗装修繕計画図(100m単位)はエクセル形式で統合データ(路面性状結果、舗装履歴、線形情報等)を作成している。そのため、これらの図表の更新に時間と手間を要することや現地に持ち出し、舗装の優劣を判断する資料としては見づらいことが課題となっていた。

導入手法

ArcGIS for Desktopを利用し背景地図上にNEXCOの管理用平面図を重ね合わせ、KP(距離標)情報を持った高速道路の線形ラインを利用し、各種個別管理されている舗装の関連データ(エクセル等)を容易に統合する仕組みを構築した。その結果、九州支社管内の全路線(約1050km)を対象に、『一元管理・見える化』した舗装データを作成し所定の間隔(1kmピッチ)で、帳票出力(PDF)を行った。上段側には車線単位で管理が必要となる路面性状調査結果の100m、10m評価(上下線、走行・追越)、舗装補修履歴、FWD調査結果などを集約し、下段側には舗装補修計画に必要となる線形要素や交通事故、交通量などの関連データを集約することで、舗装の現状を一元的に把握することが可能となった。また、通常のGISでは、位置情報を本来位置(絶対座標)で管理するため、舗装のさまざまな情報は、同じ位置に重ねて表示される。そのため、重なったデータを確認するには、レイヤ表示を切り替える必要があった。今回作成した舗装データは、複数のデータを同時に表示(左右にオフセット)させ、表層や基層等の全層分のデータを把握できる仕組みを作成した。

また、このデータを現地に持ち出すため、ArcGIS for Desktopの標準機能であるRuntime形式で出力し、Windowsタブレット上で同じものが閲覧できるアプリケーションも開発した。

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ArcGIS for Desktop を利用した舗装管理台帳(PDF 帳票出力)

導入効果

舗装管理台帳で見える化を行った結果、路面性状調査結果(わだち・ひびわれ、IRI)や舗装補修履歴情報、その他にも舗装劣化予測情報、日常点検結果などさまざまな情報をオフセットされたライン、ポイントで容易に把握することが可能となった。さらに、ArcGISのソフトウェアが無くともPDFで出力しているため、操作が苦手な方に対してはそのまま印刷することで情報の展開が出来るようになった。

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タブレット端末画面(GPS連動)

タブレット端末においては、実際に高速道路上にて舗装の路面状態の現地調査を行ったところ、検証結果から次に示す 1 ~ 3 までの項目について、現地調査支援ツールとして有効性が高いとの評価が得られた。

  1. ペーパーレスにより各種データを手軽に持ち出し可能
  2. 背景地図、管理用平面図、KP等が表示されたデータ上に路面性状結果が見える化され、相関的な位置関係の把握が可能(切盛境等)
  3. GPS機能により路面性状結果上に走行軌跡が連動し、走行しながら路面平坦性等の劣化状態の確認、段差等の激しい箇所への目印付与が可能

今後の展望

舗装マネジメントサイクル(PDCA)を適正に行うために統合データを活用し、劣化状況や補修サイクル、路線の重要度などから劣化傾向の分析を行う。路線や区間特性ごとにパターン化することで、舗装補修更新時期の管理水準(補修間隔)を作成することが可能となり、『Plan(戦略・計画)』にそれら基礎データを反映させ中長期計画の立案を支援することが期待される。
そして、タブレット端末の活用により、現地調査業務の効率化も含め、GISにより作成されたデータや関連機器を活用して、適正な舗装マネジメントサイクルの構築を図る予定だ。
最後に、舗装の分野だけでなく、橋梁やのり面、道路付属物での活用や日常、詳細点検でのタブレット端末の活用方法の検討を図り、業務の高度化・効率化、さらにはGISデータやタブレット端末の活用範囲の拡大を目指し、取り組んでいきたい。

将来的にはArcGIS Onlineから分析結果等を各支店へと配信したいと考えているが、それを実際の売上へと繋げていくにはGIS分析の有用性を各支店へ知らせていくことが必要と思われる。
自動車業界では、「どう売っていくか」という課題を解決するためにGISを使いこなしている例はまだあまり無いという。将来は、きめ細かく車種ごとに別々の販促をしたり、また道路の開発予定などを考慮した将来の街の発展に関する分析を元に、新しい場所に新しいスタイルでの出店ができたらと考えている。

プロフィール

営業部 事業開発課 課長代理 東 克徳 氏、 情報システム部 情報システム課 中村 智史 氏

営業部 事業開発課 課長代理 東 克徳 氏、 情報システム部 情報システム課 中村 智史 氏

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掲載日

  • 2016年2月24日

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