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心臓発作や脳卒中のリスクは遺伝?それとも地域的な要因?

アメリカ疫病予防管理センター

 

アメリカ疫病予防管理センターは、地域的なリスク要因の分析から20万人の心血管疾患を予防できた可能性を示唆

課題

成果

地域的リスク要因を可視化することで、

 

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10万人あたりの心臓疾患患者数を色分けしたマップ(2008年~2010年)。色が濃い地域ほど患者数が多い。

心臓発作や脳卒中は、遺伝的な要因と居住地域との関係性のどちらが強く影響しているか考えたことはあるだろうか。アメリカ疫病予防管理センター向けに作成された Interactive Atlas of
Heart Disease and Stroke application(心臓発作と脳卒中に関する対話的地図アプリケーション)がこのような疑問を解決してくれるかもしれない。

心臓発作や脳卒中などの心血管疾患はアメリカで男女ともに最も多い死亡原因の一つである。アメリカ疫病予防管理センターが発表した最近のレポートによると、毎年80万人以上が心血管疾患で亡くなっている。これは3人に1人が心血管疾患で亡くなっているということになる。心血管疾患が原因で亡くなった多くの人、特に75歳以下の人たちは、心血管疾患を事前に予防できた可能性がある。

レポートによると、75歳以下の心血管疾患が原因の死者数は地域によって差があり、死亡率はアメリカ南部が一番高い。アメリカ疫病予防管理センターはこのデータをさらに詳しく分析するには、GISが必要だと認識していた。競合会社と入札の末、Esri社のプラチナパートナーで、アラバマ州のバーミングハムに本社を置くGeographic Information Services, Inc. (GISi) が選ばれた。Esri社のArcGISプラットフォームを利用して、心血管疾患に関連する健康情報が地図上で閲覧、分析できる対話的な地図アプリケーションの共同開発を開始した。

アメリカ疫病予防管理センターは、アメリカ国民と国、州、郡の保健担当官が、主にどこで、だれが心臓病や脳卒中になる可能性が高いかを調査するために、このアプリケーションを開発した。心血管疾患で亡くなった20万人ほどは予防できた可能性があったため、このような調査はとても重要だった。「心疾患や脳卒中によって奪われる命が多すぎる」とアメリカ疫病予防管理センターの疫学者であり、レポートの主な執筆者であるリンダ・シャイブ氏は述べた。「心血管疾患で失われる多くの命は、医療制度を改善し、健全な生活ができる環境を提供することで救うことができる。」

このデータを地図を通して扱いやすい形式で提供することで、どの地域の心血管疾患をより予防することができるのか、どの世代の人々が高血圧、冠動脈性心疾患、急性心筋梗塞、心不全、脳卒中を発症する危険性が高いのかが明らかになることが期待されている。このプロジェクトの最終的なゴールは医者、健康管理者、保健担当者そして一般の人々に、これらの病気の予防に関する知識を深めるためのサポートをすることだ。GISiのプログラム管理者であるダン・レビン氏は、「地図を媒体としてこのデータを広く普及させ、理解されるためだけに支援をしたのではない、バックエンド管理を簡易化することで、アメリカ疫病予防管理センターの科学者が新しいデータを追加し、地図の内容と表示を変更することで、自分自身でサイト管理ができるようになったのだ」と述べた。

柔軟性のある医療データ

Esri社の ArcGIS for Server とArcGIS API for Flexを使って構築されたアプリケーションでは、どこに心血管疾患患者がいるのか地図上で見ることができる。このデータはアメリカ合衆国国勢調査局、国立健康統計センター、メディケア・メディケイド・サービスセンターや、その他のMicrosoft SQL Serverに蓄積されているデータを利用している。地理空間データには州と国の境界、道路、保健所や病院、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ファストフードレストランなど小売販売店の情報が含まれている。

このアプリケーションを使うには、まず閲覧したい州や郡を選択する。次に、予防が可能とされる様々な管疾病や心疾患に関する健康状態の指標をリストから選択する。そして指標から抽出される結果を選択する(死亡率、入院期間、退院状況など)。さらに、検索したい人種や民族(白人、黒人、ヒスパニックアメリカンインディアン、アラスカ原住民族、アジア人、太平洋諸島の民族など)、性別、年齢、調査時期などを選ぶ。年齢は、全年齢、35歳以上、65歳以上、早期死亡から選ぶことができる。75歳以下の死亡が早期死亡と定義される。その他の健康状態の決定要因や医療サービスなどコミュニティーの側面で健康に影響があると思われる情報を地図上に表すこともできる(貧困、教育、65歳以上の人口の割合など)。医療サービスは心血管疾患と関連のあるサービスを行っている病院の場所と数、郡の薬局の数を含んでいる。

疾病の分布を地図上に示す

では、このアプリケーションでの検索方法をご紹介しよう。全米での心疾患による死亡率を知りたいときは、まずアメリカ全体の地図を表示し、35歳のすべての人種の男女の心疾患による死亡率を選択する。すると、アーカンソー州の南部、オクラホマ州、ルイジアナ州、ミシシッピ州、アラバマ州、テネシー州、ケンタッキー州、ウェストバージニア州の死亡率が最も高いと地図上で表示される。ニューヨーク州を見てみると、同じように死亡率が高い。同じデータのオレゴン州の郡を詳しく見てみよう。オレゴン州の北西角にあるポートランド郡の首都圏付近に位置しているヤムヒル郡、ワシントン郡、クラカマス郡などの郡の心疾患による死亡率が低い。これに反して、ポートランド郡とは反対の角に位置している南東部のハーニー郡やマルヒュア郡はオレゴン州の他の郡と比べると高い死亡率が表示される。これらの心疾患死亡率の地域による違いは何か理由があるのだろうか?このマップは様々な数値を表すことができるため、ユーザーはこのような疑問を追及することができる。

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2つの異なる場所のデータを比較する方法の1つは、画面を2つの地図に分けることだ。ボタンを押すことで、心疾患による死亡率や健康状態の決定要因(社会環境、人種、民族、物理的環境など)など様々の事実が見えてくる。例えばオレゴン州の郡別の心疾患の死亡率地図と貧困状態で生活している全年齢の人々の割合を並べて表示してみよう。心疾患による死亡率が最も低い郡は貧困状態で生活している人の割合も最も低い郡であることがわかる。これらになんらかの関係性はあるのだろうか。この地図アプリケーションは健康状態の指標とコミュニティーの特徴との関連性を見つけるために役立つのである。

地域の健康診断

健康状態の情報を選択したあと、主な高速道路や、大きな都市、地域の区分、各地域病院の医療圏、州の境界線と重ね合わせることができる。さらに、このアプリケーションは閲覧した地域などのすべての設定を保持でき、後で再度確認することもできる。「Maps Over Time」をクリックすることで、地図のアニメーション化された時系列を提供し、ユーザーは2005年から2010年までの間の3年間にどのようにデータが変化したか閲覧することができる。データの変化は特定のエリアの病気や病気の原因がどのように変化していったか、全体的に素早く理解できる。さらに、これらのレポートを印刷することも可能だ。

50の州の100郡以上の人々が「心臓発作と脳卒中に関する対話的地図アプリケーション」を2013年1月から利用している。この画期的なアプリケーションでアメリカ疫病予防管理センターは2013年7月にカリフォルニア州サンディエゴで行われたEsri ユーザ会で SAG賞(Esri’s 2013 Special Achievement in GIS Award) を獲得した。

 

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掲載日

  • 2014年10月21日

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