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Landsat 8 画像がオンラインで利用可能に

米国 Esri社

 

画像データのダウンロードが不要でより使いやすく


Landsat プログラムは、NASA(アメリカ航空宇宙局)とUSGS(アメリカ地質調査所)が行っている一連の地球観測活動で、1972 年に最初の衛星が打ち上げられてから Landsat 8 に至るまで、継続的な地球観測と観測技術向上への取り組みが行われてきた。

2013 年 2 月 11 日に打ち上げられた Landsat 8 は、30 m 解像度の 8 バンド(観測波長帯)のマルチスペクトル画像と15 m 解像度のパンクロマティック画像を撮影するセンサー、100 m 解像度で熱画像を撮影するセンサーの 2 機を搭載している。衛星の軌道は、16 日ごとに同じ地点を 170 x 185 km 四方(1 シーン)で撮影するように設定されている。

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カリフォルニア州チャウラの 赤外カラー(バンド 5、4、3
のLandsat 8 画像。赤は植生を表している。

Landsat 画像は、農業や林業といった環境、資源分野の研究で幅広く利用され、都市化や炭素隔離の分析にも多くの情報をもたらしている。また、教育分野での利用にも無限の可能性を秘めている。

Landat 8 から送信された画像はUSGS が管理し、毎日新たに約 450 枚ほど送られてくるシーンを24 時間以内に無償でダウンロード提供している。さらに、Landsat アーカイブに保管されている 400 万枚以上の シーンは、フル解像度またはナチュラルカラーにレンダリングされた状態で LandsatLook(landsatlook.usgs.gov)からダウンロード可能だ。

Esri社が提供する Landsat サービスの特徴とは?

Esri 社は最新の Landsat 8 サービスで、高品質かつ最新のシーンを提供している。USGS が提供する Landsat 画像をマルチスペクトル、マルチテンポラルなイメージサービスとして提供することで、Web やデスクトップアプリケーションで幅広く利用できるようにしている。 

2012 年、Esri 社は ArcGIS Online ユーザ向けに 8 テラバイト以上の Landsat 画像サービスを開始した。 20種類以上のダイナミックなマルチスペクトル、マルチテンポラルなイメージサービスから成るこのサービスでは、1980年、1990年、2000年、2005年、2010年に撮影されたLandsat Global Land Servey(GLS)シーンを利用することができる。

このダイナミックなサービスによって、バンドコンビネーションへのアクセス、データダウンロードや加工の手間なくNDVI(正規化植生指標)を作成するといった幅広いクライアントアプリケーションが実現した。

Esri社では Landsat 8 サービス向けに、毎日最新の 300 シーンをダウンロードし、最も良い条件で撮影された 5 万枚を有する 60 テラバイトのイメージサービスに追加している。これらの画像は Esri 社のクラウドインフラでホストされ、シーンのリクエストや閲覧、タイムスライダーを利用した経年変化の分析など、様々な形で利用されている。

Landsat 8 サービスで最初にユーザが目にするのは、雲量と画像の新しさで決められた最も品質の良いシーンだ。日々、データが増えていくので、品質の良い画像を残し古いものを削除している。通常は雲がかかっている範囲が50%以下の最新4シーンに加えて、ほぼ雲がなくGLS2000のシーンに日付が最も近いシーンを保存し、長期間の経年変化分析に対応できるようにしている。

Landsat 8 サービスへはWeb からアクセスできる他、幅広いアプリケーションや ArcGIS for Desktop でも利用することができる。利用には、ArcGIS Online のサブスクリプションが必要だが、利用料金は不要だ。 

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雲量が最も少ない(但し雪は除く)Landsat 8 のモザイク画像。3つの異なる赤外線域(7、6、5)を使って
レンダリングされたもの。

クラウド環境で利用できる様々なサービス

多くのイメージサービスが同じソースから提供される中、最も利用されているのが Landsat 8 ビュー サービスだ。Landsat 8 ビュー サービスでは、様々なバンドコンビネーションを閲覧できる。例えば、植物の光合成を強調するナチュラルカラー(バンド 4、3、2)や赤外カラー(バンド5、4、3)、農作物の種類を際立たせるバンド(6、5、2)、雲に浸透しやすいSWIR(短波長赤外線)のバンド(6、5、2)、沿岸を扱うアプリケーションに利用される水に浸透しやすい等深線オプションのバンド(4、2、1)などだ。さらに、ユーザは自分で定義したバンドコンビネーションを選ぶこともできる。この機能は、明暗差の最大化をサーバにリクエストすることで、固定レンジまたはダイナミックレンジ(暗い部分と明るい部分の比)調整により適用される。また、Landsat 8 ビュー サービスでは、2つの指標も提供されており、色付けしたNDVIは植物の健康状態を表し、NDWI(正規化水指数)は含水量の高い地域を示している。

パンシャープン サービスは、15 m 解像度のパンクロマティック画像にナチュラルカラーバンド(4、3、2)の色情報を与えることで、ナチュラルカラー画像のように見えるようにする。また、パンクロマティック サービスはパンクロマティック画像に直接アクセスできるサービスであり、ダイナミックレンジ調整機能はWebで利用する場合でも最大限の情報量にアクセスできるようにする機能だ。これらすべてのサービスでは 8 bit 画像でデータを返す一方、解析サービスでは幅広いデータ値にアクセスできるようにしている。

サービスを支える ArcGIS for Server

上記のすべてのサービスには、ArcGIS for Server と Image Extension が利用されている。画像処理とダイナミックなモザイクは、オンザフライで直接ソースデータに実行される。すべての処理はサーバにアクセスすることで元画像に適用され、結果の生成や、8 bit 使用に限るがブラウザ上での画像のダイナミックレンジを可能にしている。

サーバ側では、ユーザコントロールによる圧縮を利用している。サーバで画像を圧縮してからクライアントアプリケーションに転送することで、たとえ帯域が狭いネットワークであってもデータの受信が可能だ。ここでは格納された画像に可逆圧縮が適応されるということが重要で、これによって、処理中のデータ喪失や圧縮による不自然さがなくなるのだ。

データのダウンロードが不要に

これらのサービスは、「処理を行うためにデータを得る」ではなく「データに処理を行う」モデルへの移行を実現している。ユーザは Esri のホストサーバに処理を定義するだけで、必要な結果を得られる。つまり、データをダウンロードする必要がないのだ。

Esri社では、Landsat 画像を活用していくために、アプリケーション開発や画像処理技術の向上をはじめとしたサービスを拡大していく予定だ。

 

■関連リンク

ArcNews記事:「Landsat 8 Imagery Available for Online Users
ArcGIS ブログ記事:「Landsat 8 画像を使ってみよう!– 画像のダウンロードから ArcGIS Pro での利用まで –

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掲載日

  • 2014年8月18日