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事例

天然ガスパイプライン建設工事(水島福山幹線プロジェクト)におけるGISの効果的活用

瀬戸内パイプライン株式会社

 

GISが本部と4ヶ所の現場事務所を繋いだ! タイトな工程の中、計画-設計-施工-完成の全ての工事プロセスを支えたGISの活用方法とは

課題

導入効果

イントロダクション

瀬戸内パイプライン㈱水島事業所
瀬戸内パイプライン㈱水島事業所

瀬戸内パイプライン(株)は、天然ガスの熱量調整および託送供給事業を主たる業務としたガス事業者であり、岡山県倉敷市水島から広島県福山市鋼管町までの全長約 40km の天然ガスパイプラインを有している。一般のガス事業者のように、家庭へのガス供給やガス器具の販売などは行わず、製鉄所や発電所を有する大企業またはガス会社に対し、設備の賃貸借を収益事業とする中国地域では初めての事業形態のガス会社である。

導入経緯

水島福山幹線パイプライン建設工事は、平成15年から平成18年の4ヶ年に渡って行われた。事業管理者は地元対応と同時に、工事の施工管理まで行うタイトな状況であったことから、完成後の経済産業省による使用前検査や、維持管理マッピングシステムの立ち上げなど、多くの懸念事項を抱えていた。そこで、瀬戸内パイプライン(株)は事業管理者として、調査/設計/施工/維持管理が一つの空間内で連携する仕組み作りを模索する中でArcGISの導入を検討した。システムの導入にあたっては業務の効率化を図るため、

シールドマシン「桃太郎」のカッターヘッド
シールドマシン「桃太郎」のカッターヘッド

の3者が協議を重ね、システム仕様を固めていった。

システムの概要

パイプラインの建設工事を行う上では、まず導管ルートの建設場所を計画するために地形図作成が必要となる。この地形図作成は通常、実測法を用いて図面を作成していたが、水島福山幹線プロジェクトでは、直線的なパイプライン建設が見込まれたことと、工期短縮をはかるために航測法により地形図を作成することとした。 この航測法では「デジタル地形図」はもちろんのこと、作業の副産物である「デジタルオルソ画像」も背景図として用い、ルート変更協議で効果を発揮した。また、本システムは、この背景地図と設計者が作成した「敷設計画線」をベースとし、施工者が「材料管理/敷設管入力/溶接記録」の入力を行うものである。従来、溶接記録は「紙」で作成されていたが、これをデータベースとして取り込み、「入力規則」や「論理チェック」を設けることで、単純な記載ミスを無くし、施工者の作業負担が軽減できた。また、「現場写真」や「アイソメ(等角投影)図」など、地図上に画像や CAD 図面を登録する機能を用いることで特殊施工箇所にも対応した。この他、配管接続表作成、進捗管理や施工分析を行う機能を有する。平成18年の工事完成時には、維持管理機能(他工事履歴管理/ガス管対地電位 解析等)を追加し機能拡充を行ない、平成24年には新規管路の敷設工事によりシステムリプレースを行っている。

システム構成

管理・維持システムの画面
管理・維持システムの画面

本システムは、本部に設置する管理システム1台、各現場事務所に設置する施工システム4台の計5台で運用した。これは水島福山幹線パイプライン工事が広範囲に渡り、現場事務所が分散したことによる。このとき各PC間のネットワーク構築が困難であったため、各現場事務所では入力した情報をファイル化し本部に送付、本部ではそのファイルを取り込むことでデータ転送を実現するオフライン転送機能を用いた。各現場事務所ではシステムを設置したことにより、日々のデータ入力は現場単位で作業することができた。同時に本部の管理システム上で、それぞれの現場事務所から上がってくる更新データを取り込むことで、本部でデータを入力し直す手間を省いた。

 

導入効果

管理・維持システムの画面
管理・維持システムの画面

1. 安価なマッピングシステム構築

従来、ガス管などを管理するマッピングシステムでは、立ち上げ時には紙地図からの敷設管入力や、CADデータからのデータ加工による二重投資が生じていた。また、専用のマッピングシステム導入は、一般ガス事業者を想定して「面的」な大掛かりなシステムが多く、多大な費用が必要であった。そこで本取組では施工情報取得とともに、マッピングシステムとしてArcGISを導入し、標準機能を活かしたカスタマイズにより、コストダウンに繋げることができた。

2. 使用前検査対応

パイプラインの工事は数年間に及ぶことから、完成後の使用前検査には、膨大な資料(竣工図や施工記録、現場写真など)整理に多大な労力を必要としていた。 しかし、それらを全てシステム上で管理しているため、PCを用意する以外には若干の資料整理を行うだけとなり、最小限の労力で検査に対応することができた。

3. 施工傾向分析

従来は事業管理者として「施工者に対する指導」は、経験によって得た「職人肌的な感覚」が多くを占めていた。しかし、本システムでは溶接記録等の各種施工情報をデータベース化することで、季節や気温、湿度での溶接の傾向や、日々の作業班ごとの作業進捗状況など、実際のデータに裏付けされた根拠を基に、管理者として施工者に的確な指示を出すことができた。

まとめ

今回の取組は、平成15年当時としては「情報化施工の可能性」の一端を担うものであった。また、本システムの構築においては、事業管理者の「リーダーシップ」が発揮され、施工者側でのシステム導入に対する「理解と協力」により実現に至った事例と言える。

作業風景
作業風景

本システムの導入により、計画-設計-施工-完成の全ての工事プロセスにおいて、作業の効率化をはかることができた。今後は蓄積されたデータを活かし、維持管理業務に役立てたいと河内所長は話す。また、水島福山幹線の工事が完成した平成18年当初、対象路線にはガス管だけが埋まっていた状態であったが、現在では下水道や上水道などの地下埋設物も敷設されており、安全管理の観点からも自社の施設のみではなく他社の施設も把握する必要があり、企業間を超えた「情報共有」が必要だと河内所長は語った。

プロフィール


河内取締役所長(左から2人目)と水島事業所の皆様



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掲載日

  • 2014年7月18日

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