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東京大学でのGIS活用促進とGIS教育への取り組み

東京大学

 

ArcGISサイトライセンス導入と充実した教育体制により、空間情報科学の研究者育成をリード。

東京大学空間情報科学研究センターでは全学でArcGIS製品を利用した研究や授業を行うことができるArcGISサイトライセンスを導入した。さらに、GIS講習会を始めとする空間情報科学研究センターが提供するサポート体制により、様々な分野でのGIS利用が促進されている。

センターの紹介

東京大学 空間情報科学研究センター(CSIS:Center for Spatial Information Science, at the University of Tokyo、以下CSIS)は、東京大学の学内共同利用施設として1998年4月に設立された。その後、2006年4月からは全国共同利用施設としての活動を開始した。空間情報科学の創成・深化・普及のため、CSISでは研究だけではなく、研究用空間データ基盤の整備・提供をはじめとする諸サービスを全国の研究者に向けて提供している。

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ArcGISサイトライセンス導入

学内での空間情報科学の研究を推進するための支援サービスのひとつとして、CSISは、2005年4月にArcGISサイトライセンスを導入した。

ArcGISサイトライセンスとは、学校全体、キャンパス全体にて、定められたESRI製品について希望ライセンス数を利用することができる高等教育機関向けの製品である。研究のほか、授業、演習などの教育目的でも利用できる。またサイトライセンスには、ESRIが提供するバーチャルキャンパスの一部コースを受講する権利も含まれている。このバーチャルキャンパスとは、自習用のeラー二ングサイトのことである。サイトライセンスで受講できるのはソフトウェアの利用方法に関するコースである。

2005年度の利用ライセンス総数は500を超えた。利用者層も工学部、農学部、理学部を中心に、学内のほとんどの部局で利用されており、2006年度はさらに利用者の増加が見込まれる。

サイトライセンス運用方法

サイトライセンスを利用してESRI製品を使用したい場合、希望者は学内限定のWebサイトで申請する。このサイトライセンスの運用・管理及び、後述する利用者への教育を担当しているのが、CSISに所属する高橋昭子助手と古橋大地氏である。

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利用者への教育・サポート体制

CSISが提供しているサイトライセンス利用者への教育・サポート体制には、講習会、メーリングリストがある。

講習会は、2005年12月から毎月1回、1日で、古橋氏が講師となり、柏キャンパスにて行われている。内容は、初心者を対象とした基礎的な操作方法を習う基本コースと、1つのテーマ(例:データ作成、GPS連携、Google Earth連携など)に絞った応用コースの2つが用意されている。どのテーマの応用コースも、毎回12,3名が参加し、受講者には大変好評だ。

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メーリングリストは、講習会参加者向けに古橋氏が立ち上げたもので、講習会のフォローアップの役割を果たしている。古橋氏宛てに個別に問い合わせのあった内容を、メーリングリストを通じて回答することで情報共有を図っている。

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その他にCSISが提供するサービス

サイトライセンスは、空間情報科学の研究を推進するために、CSISが提供している支援サービスの1つに位置づけられる。

その他のサービスとして、CSVアドレスマッチングサービス、CSIS力夕ログサービス、てくてくGISなどがある。特にカタログサービスは、CSISをはじめとする空間情報科学の研究に関連する大学が所有する空間データを検索できることを目的としたシステムである。現在カタログサービスに登録されている空間データのメタデータ数は1万を越す。CSISが所有する空間データについては、CSISと空間データの利用をともなう共同研究を開始すれば、空間データの検索だけでなく利用も可能だ。

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今後の展開

CSISでは、GISソフトウェア、空間デー夕、サポート(講習会、バーチャルキャンパスなど)を学内向けにすべて無償で提供している。学内研究者はそれらを稼動させるハードさえ各自で用意すればGISを利用することができる。「今後は、サイトライセンスを利用した研究についての情報収集と公開を通して、さらにサイトライセンスの利用促進と空間情報科学の普及を図りたい」と古橋氏は語る。

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掲載日

  • 2007年1月1日