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三重県の土木建設分野における利用事例と実験的試み

三重県

 

国内で早くからGISによる情報提供で住民サービスを目指した三重県で、GISアプリケーションがどのように活用されているか

県民に対して高度な行政サービスを提供する「エクセレント・ガバメント(卓越した自治体)」を目指し、業務再構築のチャレンジを続ける三重県。そこでは、既存の三重県GISを有効活用するためにArcViewが利用されている。

行政改革の先進県としての三重県

行政改革の先進県として知られる三重県では、県庁内部における意思決定の迅速化や行政手続きの簡素化、情報公開の拡大化などを目的に、早くから情報化の推進に取り組んでおり、これまでいくつかの革新的な施策が行われてきた。

三重県におけるGISの取り組みについても早期から全庁的に着手しており、行政事務の効率化と県民サービスの向上を目的とした県のIT戦略本部の重要施策として位置づけられ、情報政策チームを中心に平成12年に三重県GIS推進会議(本庁約40課のメンバーから構成)を立上げ、市町村、民間企業、大学との連携のため勉強会、GIS事業説明会、研究会などを経て、三重県GISマスタープランを構築した。

この「三重県GISマスタープラン」は、三重県で導入するGISのビジョン、目的、計画と、三重県のGIS整備推進の効率的かつ計画的な整備計画のシナリオが示されている。マスタープランによって実現されたGISの成果として、県が委託開発した「Mie Click Maps」、「M-GIS」、「GISオリジナルマップ(GOM)」の3つがある。

Mie Click Mapsは、ブラウザから誰でも自由に閲覧できるインターネット版、市町職員が利用できるLGWAN版と庁内の職員利用を目的としたイントラネット版があり、イントラネット版で職員が登録したコンテンツをインターネット版、LGWAN版に移行できるよう相互に運用ができるようになっている。M-GISは簡易携帯版GISという位置づけで、簡易な空間検索やラベル表示、図形/属性データ登録など、実際にGISを利用するためのGISアプリケーションと三重県内のGISデータ(1/5000の全県地形図)を無償で提供するものである。

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利用を希望するユーザは誰でも、三重県のウェブサイトからアプリケーションと必要な地図データの範囲を指定してダウンロードすることができる。提供されるGISデータは独自形式(.mgc)だが、汎用的なフォーマットへの変換を可能にしており、別の市販GISエンジンなどでも利用できるよう配慮されている。また、本年7月からは、フォーム作成機能やシェープ形式でデータエクスポー卜する機能が追加されており、M-GISユーザだけではなく、より幅広いGISユーザからの更なる利用拡大と有効活用が期待されている。

土木建設分野でのGIS利用

こうした背景により、GISは三重県庁内では一般的なツールとして認識されつつあると言える。特に、砂防、道路、森林などのGISの需要が高い土木建設分野では、県土整備部が中心となり独自に開発された「公共事業情報統合データベース」によって工事情報、地質情報、災害情報などをリレーショナルデータベースで管理している。これらの公共工事に関するデータは全てGISの空間情報にリンクしている。

「三重県が委託開発したGISは独自エンジン、フォーマットで開発されていますが、整備されたGISデータはシェープ形式でのエクスポートが可能なので、ArcViewなどのGISアプリーケーションで利用することができます。GISアプリケーションでは、単なる閲覧や簡易なデータ登録だけではなく高度な解析能力や拡張性があるので、本来の『GISのうまみ』を享受することができます。」公共事業のIT化(CALS/EC)を担当する三重県県土整備部公共事業情報化プロジェクト山口氏は語る。

山口氏は、ArcGISシステムの高い拡張性を評価しこれまでArcViewを利用してGOMから変換したシェープデータの加工などを行っている。また、GPS機器によるGISデータ取得を検討されており、ESRIジャパンのサイトで提供する「屋外調査支援システム」の新潟県中越地震震災復興支援での成果に高い関心をもって着目していた。

ArcGISによる土木施設の点検業務

三重県の土木建設分野におけるGPSを用いた屋外調査の実験的な試みとして、「屋外調査支援システム」を利用し、土木施設の点検業務が行われた。なお、本業務は実際に県から発注された点検業務を受注した県内の測量会社の協力によって行われた。本実験的取組みを利用事例として紹介する。

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現地調査において、背景地図は、GOMから取得したデータ(河川、砂防ダム、等高線、国道線など)をシェープ形式でエクスポー卜してArcView9.1に取り込み、Microsoft ActiveSyncを使いPCからPDAへ調査地域のデータをエクスポー卜した。調査レイヤには、必要な項目をプルダウンで選択できるようにデータを加工するとともに、現地調査後は速やかに建設事務所にて取得したデータとデジ力メ画像とのリンク、報告書フォームのエクセルフォーマットに出力するプログラムを実行した。現地調査終了後のデータの整理の作業はこれまでの紙ベースの作業に比べ、大幅な迅速化が実証された。株式会社名張測量設計の井ノ岡取締役は言う。「GPS端末の操作など不慣れな点がありましたが、データ入力の簡易性と調査終了後の情報整理はとても便利と感じました。」また、業務を発注する行政側としては今回の実証実験によって以下のような感触を得ることができた。

◎管理の強化
これまで小縮尺地図で管理していた施設の位置を、点検とともに高精度な情報として確認することができた。

◎広い適用性
実際に業務に適用してみると、公共事業に関わる現地調査業務全般に広く適用できることを実感した(期待感)。

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おわりに

今回の試みはGISアプリケーションでできることのごく一部である。「今回の実験で、調査に加わった受発注者双方に受益をもたらす、ArcGISの適用性と将来性が実証されたといえますが、まだ土木部門ではMSオフィス製品やCADソフトのように導入してもすぐには活用できないと思います。また、GISアプリケーションソフトには価格面や操作面での壁があり、その壁の先にある『GISのうまみ』を誰にでもわかって頂くには今回利用したような支援ツールの提供が必要だと思います。そうすることにより、受発注者双方引いては産官が相互にGISを通してWinWinの関係になれればと思いますし、GISベンダーには多様な支援ツールの提供を期待します。」と山口氏は語った。

プロフィール


公共事業情報化プロジェクト
山口 成大 主査



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掲載日

  • 2007年1月1日

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