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事例

中越農業災害の復興プロジェクトのモニタリング

長岡技術科学大学

 

農地のリモートセンシング解析画像情報をベクタ区画に取り込んで、一筆単位の被災・復興情報をGIS管理

農地の被災および復興状況図を行政機関や農協に情報提供し、地域農業復興の促進に努力している。

背景

新潟県中越地域は、2004年の水害、震災、2005年の雪害、そして2006年の豪雪害など、連続した複合災害に遭遇した。

農業は中越地域の基盤産業であり、中越地域の復興には、農業の本格復興が重要課題となる。この複合災害の経緯のなかで復興のプロセスは、中越地域において均質に進行しているわけではない。

NERL-1

本研究室では、時系列の衛星画像と圃場区画情報を組み合わせて、水稲の生育モニタリングや作付状況の把握を実施している。

NERL-2

雨災害後の水稲生育状態モニタリング

2004年7月の新潟豪雨では、信濃川支流で複数の洪水が発生し、水田が大きな被害を受けた。洪水発生時、水稲は出穂直前であったため、出穂および収穫への洪水の影響が懸念された。

洪水により被災した水田・水稲が9月の刈り取り直前まで、時間経過に対してどのように推移するかを継続モニタリングするには、洪水直後から刈り取り期にわたり、時宜に応じた画像情報の取得が重要である。現時点では、単一センサ、プラットフォームで取得可能な分光、空間情報は限られているため、継続モニタリングには、現象把握に適したセンサ画像を多数組み合わせることとなる。

本研究室では、洪水発生直後の水田湛水領域をへリ斜めビデオ画像、洪水発生11日後と1ヶ月後の水田の状況をそれぞれSPOT-5 HRG-X画像、IKONOS画像から解析し、圃場一筆を識別可能な圃場区画データを用いて水害を受けた水田・水稲を圃場単位で経時モニタソングし水稲生育状態の解析図を作成した。

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中越地震前後の水稲作付状況

地震は、米の収穫後にあたる2004年10月に発生レた。このため、震災前の農地状態といえば、2004年の状態が候補となる。しかし2004年は、7月に大規模な水害が発生したため、平年の作付状況を示していない。

そこで、被災前の基準情報として2003年の作付分布情報が妥当である と考え、2003年の田植時期(5月)と生育時期(9月)の2時期の衛星画像を入手し、被災前の作付状態を把握した。この際、2003年に休耕田であった地区に関しては、判定誤差が生じものの、地域分布として復興状況を把握するうえで、その影響は低いと判断した。被災後の作付状況の把握には、2005年の田植時期(5月)と生育時期(8月)の2時期の衛星画像を用いた。

水稲の作付領域を田植時期と生育時期の2時期の衛星画像を解析することで抽出し、2005年に水稲が作付された圃場を復興した水田、2003年に作付の実績があり、2005年に作付のなかった水田を未復興の水田と定義した。なお, 2003年に休耕していた水田は、判定外とした。2003年に作付があり、2005年に休耕した水田は、未復興固と同じ色で表示している。この分布状況を圃場区画データにリンクさせて、区画ごとの分布情報として農地復興プロセス解析図を作成した。

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今後の展開

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スペクトル特性による成長異常の検出

Arel MS、ArcSOEを活用し、中越地方の農地復興の経過をWeb配信することを計画している。

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プロフィール


長岡技術科学大学
環境リモートセンシング研究室



関連業種

関連製品

資料

掲載日

  • 2007年1月1日