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希少猛禽類への建設事業影響予想評価システム

国土交通省 国土技術政策総合研究所/日本工営株式会社

 

自然生態系を守りながら必要なインフラ整備を行うための支援システムとして、ArcGISと連携した希少猛禽類への建設事業影響予測評価システムを開発

同システムの利用により、人間の生活環境だけでなく、猛禽類の生息環境に与える影響の程度を定量的、視覚的、客観的に把握が出来るようになり、最適な計画、設計、工法、対策、代替案などの意思決定が可能となる

  

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希少猛禽類の一種オオタカ

システム開発の背景

各種建設事業に伴い発生する騒音・振動は、大きな環境問題の一つであり、最近では特に、周辺地域住民だけでなく、クマタカ、オオタカ等の希少猛禽類の営巣活動に対して、建設機械等が発する騒音や振動が及ぼす悪影響が問題視されるケースが増えている。
こうした問題に対処するためには、環境影響評価等の際に、現場で発生する騒音・振動の範囲や規模、影響の程度を可能な限り定量的に予測し、その結果をわかりやすく提示することが求められている。そのような背景から、国土交通省国土政策総合研究所(以降国総研と呼ぶ)は、ダムや道路等の建設工事に伴い発生する騒音・振動が周辺地域に伝搬する状況を定量的に把握できるソフトウェアとして「国総研版騒音・振動シミュレーター(以降システムと呼ぶ)」を日本工営株式会社に業務委託を行い開発した。

  

システムの特徴

このシステムの主な特徴として以下のような事項が挙げられる。

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図1 騒音レベルの鉛直断面分布表示
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図2 騒音時系列変化の表示
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図3 騒音予測結果と地形の重ね合わせ表示:
タ冶堤体付の騒音予測計算結果(A特性)図

  1. 人の聴感特性に対応したA特性やC特性※の騒音レベルの予測とともに、猛禽類にとっての騒音レベルも把握可能であること
  2. GISとの連携により、遮音壁や保全対象、建設機械の稼働位置など様々な空間情報と重ね合わせ表示がでさること、また計画~設計~施工段階において対応が求められる影響把握、保全対策検討を視覚的に行うために、(1) 騒音・振動の予測結果との重ね合わせ表示、(2) 鉛直断面での予測結果表示(図1)、(3) 時系列表示(図2)が可能であること
    ※物理的に各周波数帯域で均等な感度で騒音を計測する場合に使用される聴感特性
  3. 騒音の伝搬予測モデルを、日本音響学会より公表された「建設工事騒音の予測法 “ASJ CN-Model 2002″Jに準拠して作成、「周波数毎の計算Jと「A 特性音響パワーレベル又は騒音レベルによる計算」の2種類の計算方法を選択することができること、及び伝搬計算を行う際の回折や地表面効果、空気吸収および植生による減衰量も考慮可能であること

特lこ、特徴1で触れた猛禽類にとっての騒音レベルの把握は、これまでの行ってきた営巣木や飛行ルートと工事区域の位置関係や繁殖時期と工事のピークの比較による概念的な予測とは異なり、定量的な予測が可能になったことにより、今後はこの結果に基づいた騒音による猛禽類への影響の予測・評価がより定量的に行われることが期待されている。

  

建設事業現場における騒音予測事例

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図4 ダム周辺の騒音予測計算(猛禽類特性)

ダム建設工事による騒音を想定して予測計算を行った事例を紹介する。

  

今後の展開

国総研版騒音・振動シミュレーターを利用することで、建設事業に伴う騒音・振動レベルの予測結果の定量的かつ視覚的な提示、効果的な遮音壁の位置および高さの設定といった保全措置の検討、さらに、複数の工事計画案にもとづく騒音・振動レベルの相対比較等、合意形成のための資料としての活用が期待される。
また、猛禽類にとっての騒音レベルの定量的な予測は、猛禽類への影響の予測・評価のための基礎資料として、例えば、営巣箇所において工事騒音がオオタ力には聞こえないか、あるいは暗騒音以下であるため影響が少ないといった判断の根拠資料としての活用が期待される。

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掲載日

  • 2008年1月1日

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