自動車を走行させるだけで容易に道路の位置データが取得できるGPS。
この容易性に着目し、従来の高価な地図生成手法からの転換を目指す!
社団法人システム科学研究所は、1972年(昭和47年)1月に設立された経済産業省(旧:通商産業省)認可のシンクタンクである。
本研究所は交通分野の研究を中心に、地域活性化分野など、公共法人としての公共的使命を念頭に置き、活動している。時代の流れを見通す先見性、新しいアイディアを生み出す創造性、提案した政策の実行性を基本に、よりよい地域づくりへの貢献を目指している。
今更ではあるが、GPSはGlobal Positioning Systemと言い、日本語では全地球測位システムと訳されることが多い。米軍が軍事用に打ち上げた約30個のGPS衛星のうち、上空にある数個の衛星からの信号をGPS受信機で受け取り、現在位置を知ることができる。
この容易性から最近は、GPSを活用した研究がかなり増加傾向にある。交通調査、防災調査、観光調査など、例を挙げるとキリがないような状況である。
GPSデータだけで地図が作れるのではないか?
この仮説に基づいて研究をスター卜させた。
当たり前のことであるが、自動車が道路の上を走行して取得したGPSデータは、道路の位置を示しているはずである。GPSは時系列的に連続してデータを取得するので、これらのデータに含まれるエラーデータをうまくクリーニングすることができれば道路地図を生成することができるはずである。そのためには、
の二つを確立しなければならなかった。データクリーニングの目的は、エラーデータの除去とデータサイズの縮小である。また、リンク集約は、リンクを集約し道路地図を生成するステップである。
これらを実現すべく研究を続けた。
このフローに従い、データクリーニングを行ったところ、下表の結果を得ることができた。
このようにして吸着させたりンクの中で出現頻度の低いものはデータの信頼性が低いと判断して削除し、信頼性の高いと恩われるリンクのみを抽出した。
「GPSデータだけで地図を生成できるか?というテーマに対し研究を続けてきましたが、直線部分に関してはかなり高い精度で地図生成ができたと思っています。ただ、力ーブ部分に関しては、直線部分に比べデータ量が増えるなどのアルゴリズム的問題点もあり、今後、更なる研究を続けていく必要があります。GPSデータだけで安価に地図が生成できるようになれば、地図の整備率が低い発展途上国などでニーズがあると考えています。また、一方通行や標識などの規制情報が入ると使い道が広がると考えています。今後、本研究で生成される地図データが、日本デジタル道路地図協会のDRM (Digital Road Map)データを補完するようなデータになるようにしていきたいと考えています。まだまだ研究途中ですが、本研究の一番のテーマである、GPSデータを用いた安価な地図生成手法の確立に向け、これからも研究を続けていきたいと思います。」と伊藤氏はこれからの抱負を語った。