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事例

空間情報科学を共通基盤とした人材の育成

筑波大学

 

ArcGISサイトライセンス導入による研究環境を活かし新しい課題に挑戦する

学問分野、国籍にとらわれない自由な雰囲気のなかでさまざまなプロジェクトを遂行

概要

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空間情報科学分野における研究内容

空間情報科学分野は2000年度に博士課程に設置された新しい専門分野である。GISやリモートセンシングを活用し、広義の地球環境科学に貢献できる研究者の養成をめざしている。また、「地球環境の実態とその自然科学的プロセスやメカニズムを時間的・空間的に研究し、かつ人間環境を含めて総合的に解明できる人材の育成」を教育目標に掲げ、地理情報科学の発展に努めている。事実、本分野には国内外を含めて、多様な研究背景をもった大学院生・研究員が集まっている。全員が空間情報料学を共通概念として保有しており、また次のような研究内容を協力し実行することにより、研究室としての連帯感や相互理解を深めている。

教育体制

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地理情報科学の教授法の確立HP

本大学では科研費基盤研究A「地理情報科学の教授法の確立」を得て、2005年度にArcGISサイトライセンスを導入した。現在では学内のさまざまな研究分野の教員・学生がArcGISを活用して研究を進めている。また独自に「筑波大学 Geography Network』を構築し、空間データや研究成果の共有化を促している。教育カリキュラムでは、講義、実習、演習を通して得られた知識や技能をもとに、院生各自が選んだテーマを深化させている。

  

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DGPSを用いた市街地でのデータ収集

講義では、GISの基礎理論だけでなくその応用事例として、経済立地、人口分布、土地利用などGISを利用した人文地理学的方法論が論じられる。野外実習では、現地で空間現象をモニタリングし、データベース化する方法を学ぶ。そしてフィールドワークで得られたオリジナルデータや新しい分析方法を題材に、その有効性や問題点を検討する。特に、空間情報科学実験では自らデータを作成し、そのデータを室内実験によってデータベース化し、GISで空間分析を行っている。その際、ArcGIS Desktop製品のみではなく、GPSやDGPS、ArcPadなどを、社会現象の調査と分析に活用している。

研究環境

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DGIS研究会風景

空間情報科学分野では、多岐に渡る学生の研究に対するニーズに応えるため、充実した研究環境の整備を進めている。ArcGISがインストールされているPCはもちろん、Alスキャナ、プリンタや、RS用ソフトウェア、統計データや衛星画像といったIT環境が整っている。またGIS・GPS・RSに関連する和書・洋書も備えている。なお留学生が多いこともあって英語と日本語が飛び交い、言語環境はバイリンガルである。また、空間情報科学(SIS)セミナー、GIS研究会などを定期的に開催し、自由な発想のもと発表、討論している。SISセミナーは、学生が研究進捗状況を報告し、今後の方針に対する議論を持つ場である。一方、GIS研究会は、外部から講師を招くなど、GISを核とした分野内外の交流を促す刺激のあるミーテイングになっている。またArcGISに関する、学内独自のサポートページを設け、インストールの仕方やQ&AをまとめたものをHPで公開している。

研究内容

院生が各自研究課題を設定しており、その内容やアプローチ方法は多岐にわたる。このことは、まさに地理情報科学の学際性を示しているといえよう。また、フリーで利用可能なGISソフトウェア、SDAMや、行政界の変遷・歴史統計・社会経済的流動などのWebGISを開発、公開している。

今後の展開

「学生には、GISソフトウェアの操作を単に学ぶだけではなく、課題発見からデータ取得、そして分析、可視化までを体系的に身につけてほしい。一連の方法論を習得すれば、社会に出た際に企業、研究所等で即戦力となり得る。」と村山教授は抱負を語った。

  

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数々のデータをWebGISで公開

  

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空間分析に特化したGISソフトウェア(SDAM)の開発

プロフィール




関連業種

関連製品

資料

掲載日

  • 2008年1月1日