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放鳥されたトキの行方を地図上で確認

佐渡市役所 市民環境部 トキ共生・環境課

 

トキ位置情報サービス

GISが地域活性化の一助となる。

分散飼育

佐渡市と聞くとまずは「トキ」を思い浮かべる人は多いのではないだろうか?

トキはニッポニア・ニッポン(Nipponia nippon)という学名で、コウノトリ目トキ科に分類され、19世紀までは日本をはじめ、東アジアに広く生息していた。トキは翼の下面が、朱色がかった濃いピンク色をしており、日本ではこれを「とき色(朱鷺色)」という。かつて「とき色」の風切羽を颯爽と広げて空を飛ぶトキの姿は、それはあざやかで、美しかったそうである。しかし明治以降、乱獲や開発によりその数が激減し、1934年に天然記念物、1952年に特別天然記念物に指定され、1960年には東京で開催された第12回国際鳥類保護会議で国際保護鳥に選定された。その後日本では、2003年10月10日朝、最後の日本産トキ(キン)の死亡が確認され、日本産トキは絶滅した。

中国でも1964年甘粛省康県岸門口での目撃報告を最後にトキが見られなくなったため、絶滅したと考えられていたが、1981年にその存在が確認されて以来、温かい保護のもと毎年ヒナが増え続け、2008年8月現在、野生と飼育されているものを合わせて、約1,100羽まで回復した。

1998年、中国の国家主席であった江沢民は、中国産トキ(ただし、日本産と全く同一種)を日本に贈呈することを表明し、翌1999年1月30日に日中友好の証しとして中国からトキのつがい「ヨウヨウ(オス)」「ヤンヤン(メス)」が贈呈された。2羽は、佐渡トキ保護センターで飼育されることになり、毎年ヒナが誕生している。

なお、鳥インフルエンザなどの感染症に対するリスクを回避するため、現在トキは佐渡市の他に多摩動物園で分散飼育され、今後、石川県(2010年1月から)、新潟県長岡市、島根県出雲市で飼育される予定となっている。

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佐渡トキ保護センター

野生復帰計画

本来、野生生物は自然環境下で存続することが望ましい。

環境省では、2000年~2002年度の3ヵ年にわたり「共生と循環の地域社会づくりモデル事業(佐渡地域)」を実施した。2003年3月にそのとりまとめとして「環境再生ビジョン」を策定し、この中で「2015年頃、小佐渡東部に60羽のトキを定着させる」という目標を掲げた。これを受けて、2004年1月、「種の保存法に基づくトキ保護増殖事業計画」にトキの野生復帰を位置づける改訂を行い、環境省をはじめ様々な主体が連携を取りながら、この目標を達成するための取組みを進めている。

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仮設ゲージ

野生復帰計画の一環として、2008年9月25日、佐渡市小佐渡山地の西麓地域にて第1回放鳥が実施された。この時10羽のトキが放鳥された。1981年以来、実に27年ぶりに日本の空にトキが舞った瞬間である。しかし、このときは1羽ずつ小箱に入れて放鳥したためにパニックを起こし散り散りになるという反省を残した。

翌年の2009年9月29日には、第2回放鳥が実施された。ここでは、前年の反省を踏まえ、放鳥場所に設置された仮設ゲージで約1ヶ月間に20羽を飼育し、放鳥時はゲージを開放してトキが自然に出て行くのを待つ「ソフトリリース形式」が採用された。

2009年12月1日時点、第1回放鳥分で7羽、第二回放鳥分で19羽の生存が確認されている。自然界で逞しく生き、群れを形成し、繁殖していくトキへの期待が高まっていく。

トキ位置情報サービス

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トキ位置情報サービス(PCサイト)

トキの放鳥にあわせて佐渡市では、トキの位置を地図上で誰でも無料で確認できる「トキ位置情報サービス」を開始した。

本サービスでは、2008年にまずPCサイト(※1)を、2009年に携帯サイト(※2)を公開した。どちらのサイトもトキの位置が佐渡の地図上に示され、大まかな位置を把握することができる。本サービスは中央グループ株式会社の「Breath Digital-Map」を背景としたGISシステムに、インクリメント・ピー株式会社の「MapFan onPage携帯サービス」を組み込み、機能追加したものである。

本サービスで公開されているトキの位置情報は、主にトキの生態などを調べているモニタリングチームの情報と、一般市民からの目撃情報をもとに更新されている。

モニタリングチームのメンバーは常にトキの給餌の様子や餌の量・種類など様々なデータを収集し、自然界に定着するための手助けをしている。また、トキは広い範囲を飛ぶため、市民の目撃情報は位置情報更新のための貴重な資料となる。

本携帯サイトでは、2009年10月だけで40万アクセス/月を記録した。放鳥トキへそれだけ多くの人々が関心を持っていることの表れであろう。

※1 PCサイト
http://gisweb.city.sado.niigata.jp/tokigis/map/map.asp (閉鎖)
※2 携帯サイト
http://www.city.sado.niigata.jp/mobile/toki/gis/toki_top.php (閉鎖)

最後に

「私は子供の頃、野生のトキを見たことがあります。私より上の世代では、群れで飛ぶトキが目撃できたそうです。それは本当に綺麗だったと聞いたことがあります。昨年、今年と2度の放鳥が実施され、合わせて30羽のトキが自然界に飛び立ちました。まだ正式に日程は決まっていませんが、これからも毎年、放鳥は実施されると思います。2015年までに小佐渡に60羽定着が目標ですからね。トキの目撃情報は多くのボランティアや一般市民のご協力のおかげで成り立っています。将来、トキが群れを形成し、繁殖し、そして60羽が定着していくことを考えると、今から胸が躍ります。私が子供の頃見たように、今の子供達にも是非、野生のトキを見て欲しいと思います。また、トキをきっかけ、島外の多くの方が佐渡に興味を持ち、足を運んで頂ければと考えています。そしてこれから佐渡が一層盛り上がっていけば、この上ない幸せですね。」と市民環境部トキ共生・環境課の中川課長補佐は語ってくれた。

将来、佐渡の大空を、群れを成して飛ぶトキの目撃者に、是非なりたいものである。

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佐渡市の観光名所

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掲載日

  • 2010年1月1日

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