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事例

行政運営の透明性と住民への説明責任を実現

メリーランド州

 

メリーランド州の業績指標アプリケーション 「StateStat」

行政の透明性と説明責任の実現にGISを活用しているメリーランド州。
オバマ大統領にも賞賛されたStateStatによる取り組みとその効果とは。

イントロダクション

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StateStatは州政府機関の運営状況を
監視し、レポートと地図の作成が可能

2009年2月23日、米国バラク・オバマ大統領はホワイトハウスに集まった全国の知事に向け、米国再生・再投資法案(American Recoveryand Reinvestment Act)と、その効果について演説を行った。この演説で大統領は、「説明責任と効率化の重視、業績指標システムの改善に取り組み、行政運営の仕組みを住民に正しく伝えている」として、メリーランド州とバージニア州知事の活動を賞賛した。

メリーランド州では、行政の透明性と説明責任の実現にGISを活用している。2007年に知事に就任して以来、メリーランド州知事マーティン・オマリー氏は行政運営と行政・住民間のコミュニケーションの向上を目指し、GISベースの業績指標アプリケーションを利用してきた。そのアプリケーションはStateStat(※1)から始まり、BayStat(※2)、GreenPrint(※3)を経て、現在ではMD iMap(※4)へと発展を遂げている。最新のMD iMapでは、メリーランド州のオンライン ベースマップの提供や、州が運営する各種プログラムの支援を行っている。

導入手法とその効果

<データを基にした意思決定>

オマリー知事は、かつてボルティモア市長であった。市長在任中、GISベースの業績報告プログラム(Performance Accountability Program)としてCitiStatを立ち上げ、市政運営の全体像から戦略的な予算計画、プロジェクト管理を行えるようにした。このデータ主導のシステムは、オマリー市長在任期間中に犯罪発生件数40%削減という効果を生み出したのをはじめ、様々な業務の効率化に貢献した。たとえば、48時間以内に道路に関する苦情の98%に対応、子供の鉛中毒件数を65%低減、清掃や空き家対応を8ヶ月から14日間に短縮などが挙げられる。

StateStatは、正確で時宜にかなったデータ分析を行い、行政運営の評価と向上を図るというCitiStatの考えを基礎に構築されている。StateStatに参加している州各局の代表者は、知事室のスタッフと頻繁に面会し、局の運営状況についてデータを基に意見交換を行っている。「StateStatが政府を正常に機能させ、住民に対し説明責任を負うことで、州政府と住民にとっての利益を生み出している」とStateStatのディレクターであるベス・ブラウアー氏は言う。「運営にビジネス的手法を取り入れることで、各局の役割をより熟知するようになった。各局の欠点や強みを理解することで、迅速な人員配置の見直し、任務の再定義、戦略と手法の再考を行い、最も効率的な行政運営が可能になっている。」

州各局の担当者は、知事室のスタッフとの会議に先立ち、事前に討議内容のデータを提出することになっている。会議では、懸案事項や解決すべき課題をもとに、データに記載されている特定の事柄について掘り下げていく。提示されるデータと関連地図は、超勤手当や車両費といった運営費用から各局特有の課題にいたる議論のサポートに利用される。たとえば公衆安全分野では、拘留所での青少年の平均的留置期間や青少年向け施設の利用状況、公衆安全イニシアチブのサポート内容などが取り上げられる。また、労働分野においては、失業者対策や仕事の斡旋数、職業訓練の実施状況といった事柄が議題となる。

「データを中心に議論が進められ、提示される地図、チャート、グラフが議論を形作っていく」とブラウアー氏は会議の様子を説明する。地図やチャート、グラフを含むデータはStateStatに掲載され、住民に公開されている。

最近、ArcGIS Serverをベースに構築された米国再生・再投資法案の財源利用内訳を掲載したサイトが公開された。StateStatサイトからデータにアクセスすることが可能で、MD iMapのベース地図が使われている。現在、幹線道路インフラ、公共交通機関、教育に関するデータが利用できる。将来的にStateStatのホームページは、閲覧者がStateStatのデータと統計にアクセスできるインタラクティブな地図になる予定だ。

<環境保全にBayStatとGreenPrintを構築>

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MD iMAPのホームページ。
中央はモントゴメリー郡の
環境保全地域の周辺地図。

StateStatに続き、チェサピーク湾再生計画の利害関係者と住民による情報評価を目的としたBayStatが構築された。リクリエーション地区として整備できる物件や、湾の水質改善を図るためのカキの養殖などが検討されている。湾周辺の土地利用に焦点を当てたこの取り組みは、土壌流出の軽減と湾の環境改善につながっている。

GreenPrintは、BayStatイニシアチブから生まれた。土地保全、持続可能な成長の実現、課題解決を行うための行政、保全団体、住民向けの計画ツールで、環境保護地区などの河川流域を保護することを目的としている。業績報告アプリケーションとして、MD iMapから州全域の保全地区の統計データを参照することができる。GreenPrintは、ArcGISServerで構築され、保全・非保全地域や支流戦略流域、農地保全基盤などの情報をレイヤで提供している。GreenPrintで作成される地図は、環境保全に関する両プログラムの議論の枠組みとして利用されている。

おわりに:1つのメリーランド、1つの地図

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MD iMapビューアから州の道路管理部門の
消費データにアクセスが可能。
ここでは、2008年11月の州全体の
燃料消費と支出を円グラフで表示。

MD iMapは、オマリー知事のビジョンである「1つのメリーランド、1つの地図」から成り、州の統合型GISの入口の役割を果たす。MD iMapのホームページでは、区画ごとの地図から統計データや優先的環境保全地区、幹線道路美化に関する事柄を閲覧できる。MD iMapメインページからビューアを立ち上げると、道路管理部門の石油消費量や、郡・州全域の豪雨時の雨水管理データなど様々なデータへのアクセスが可能だ。

「StateStatの利用は、業務改善に取り組む自信になる」と交通局の道路管理部門の計画ディレクターであるグレゴリー・スレーター氏は言う。「GISを基盤として活用することで説明責任を果たすだけでなく、成功事例を住民と共有し、行政の進むべき方向性を明らかにすることができる。」

MD iMapの拡張にともない、各機関では以前にも増してデータやサービスをポータルに掲載するようになった。今では行政と住民、各局と州政府が連携して課題に取り組むために必要不可欠なツールになっている。MD iMapは、行政の透明性と説明責任を明確にし、行政運営と行政サービスに対する住民の理解を深めることに役立っている。

  

※1 StateStat www.statestat.maryland.gov
※2 BayStat www.baystat.maryland.gov
※3 GreenPrint www.greenprint.maryland.gov
※4 MD iMap imap.maryland.gov

プロフィール


州知事 マーティン・オマリー 氏



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掲載日

  • 2010年1月1日

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