上越地域では、地域学習において物事の位置関係や関連事象を総合的に捉えることができるGISに着目。2002年よりNPO上越地域情報学校教育支援センターを中心に各種団体と連携し、GISを活用した地域教育の取組みを開始!
新潟県上越地域は、古くから教育熱心な地域である。全国的にも「総合的な学習」発祥の地としても良く知られている。また、旧郵政省・旧文部省が行った学校インターネット整備事業なども全国に先駆けて同地域に導入され、上越地域内の学校をブロードバンド接続によって接続するインフラ整備もほとんど完了している。その結果、上越地域の学校では、情報共有が活発に進められている。
上越地域の教育分野における地域情報化を更に推進するため、2002年にNPO上越地域学校教育支援センターが設立した。本NPO法人の理念は、「地域の子は地域で育てる」であり、地域連携をテーマに活動している。本理念を実現するには、単に学校単位の狭いユニットでの発想ではなく、地域全体として底上げを考えていく必要があった。
このことを実現する際に、GISは地図情報とともに子供たちに身近な地域資料を即座に活用できるようなデータベースとして最適であると注目され、本NPOを中心として産官学による協力のもと、上越地域GIS活性化プロジェクトが始まった。
(地域がともに子供をはぐくむ環境づくりを)
本プロジェクトは、決して1団体で実現できるものではなかった。本プロジェクトを実現させるために、NPO上越地域学校教育支援センターの呼びかけにより、趣旨に賛同した産官学の各団体が集結した。そして「上越GIS利用環境整備協議会」が2003年2月に設立された。2004年11月1日現在の本協議会のメンバーは、下記の通りである。
上越教育大学、新潟大学、上越市、新潟県立看護大学
上越商工会議所、上越GIS技術研究会
NPO上越地域活性化機構
NPO上越地域学校教育支援センター・上越教育大学
ESRIジャパン(株) ソフト
サン・マイクロシステムズ(株) ハード
(株)ジェー・ミックス 運用支援
(財)資源・環境観測解析センター 衛星データ
上越ケーブルビジョン(株) インフラ
中央グループ(株)GIS事業部 地図データ
東日本システム建設(株) 開発支援
本協議会が設立され、教育現場へのGIS普及のインフラが整備されたが、具体的にまず何から活動するかが協議された。教育現場でのGIS利用を活性化するには、まず上越地域に関する各種データをデジタル化し、こども達が地図に興味を持つような環境を整備しなければならない。そのため、2003年、2004年の2年間で、上越地域の各種データを収集・整理し、データベース化することが決定された。具体的には、下記の役割分担に従い、プロジェクトは動き出した。
現在、各研究テーマに従い、徐々にデータベースが整備されている。上越地域の情報がたくさん詰まった本データベースが整備されれば、こども達は上越地域についてこれまで以上に深く知ることができる。上越地域を知り、興味を持つようになると、その中から自分でもコンテンツを作成し、情報発信する子どもも出てくると思われる。そして、そのような子供たちが徐々に増え、新たな双方向のコミュニケーションが成立していく。GISは人と地域をつなぐ情報ツールである。
子供たちがGISを通して自分達の住む上越地域を知り、自らも情報発信し、そして新たな地域コミュニティが形成されるような双方向の地域情報共有システムにGISがなることを期待している。
新潟県上越市
高田公園の夜桜は日本三大夜桜に数えられ、ライトアップ
された三重櫓は見どころの一つ。